第2話

ふぅ…バレたかと思った。

僕は少女の家の天井に座って一度深く息をつく。隣を見ると9匹のトナカイと大量の包装されたプレゼントと目が合う。僕がこの国に来れるのはこの時期だけ。真っ白な雪が僕を歓迎してくれている気がして空に向かって微笑む。キラキラとライトアップされた町並みを見るのはちょうど1年ぶりだ。


さて、このあとも仕事が立て込んでるからな。夜明けまでにみんなの元に届けないとね。


先頭のトナカイの頭を撫でると彼は体をブルブルと揺らし、体に薄く積もり始めていた雪を振り払う。座って休んでいたトナカイ達に次の目的地を告げると楽しみだと皆立ち上がる。僕がソリに乗って綱を引っ張るとトナカイは空へと駆ける。


次は…男の子か。今はもうよく寝ているみたいだな…。


子どもたちのお願い事が書かれたリストを内ポケットにしまい、赤と白のもふもふの上着を風が入らないようにしっかりと前のボタンをしめた。下を見ると所々電気がついた建物がある。頑張っている大人にもプレゼントを渡したいんだがな…、と少し申し訳なくなる。前を向くと頑張って空を駆けるトナカイのうちの1匹と目が合う。


皆、毎年ありがとう。


そう声を掛けると皆は一度止まって振り返ってきた。だが何も言わずにまた走り出す。感謝が伝わったみたいでよかった。来年もこの景色が見たいな…。そう去年と同じように願ってもう一度下を見て僕は呟いた。


メリークリスマス。

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今日だけの僕。 上高地 日時 @ni10

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