こんにちは。遅ればせながら破章の方も読了させていただきました。設定がどんどん明かされていくのを追うのが大好き且つ途中で止まると忘れかねない、あのキャラは今どこで何をしているかの詳細が気になりまくる性分なので駆け抜けたのですが、より深みの増した物語に圧倒されつつ、楽しい時間を過ごさせていただきました。本当にこの世界観と歴史、その設定が好きです。
死屍散華は木花咲耶姫由来というのが「あー!なるほどなー!!」と、色んなところでストンと嵌まる心地がして、心地良い衝撃を受けてしまいました。かぐや姫が残した不老不死の薬を焼いたのは富士山、その富士山の神様は木花咲耶姫ですものね……八重ちゃんの名前も、八重桜を連想させるなーと思っていたのですが、咲耶姫由来だったりするのでしょうか。そして木花咲耶姫と石長姫は元々赫玉であったところを、瓊瓊杵に引き裂かれてしまった、という流れだったのでしょうか。ずいぶん柔らかな雰囲気になっていた白玉の言っていた「あの子」は、石長姫なのではという気がしています。
また、天孫降臨のエピソードや黄泉下りのエピソードが絡まってきた上に、乙巳の変や天武天皇にまつわる史実も絡まり合ってきたこと、そして実際に神々が登場しただけでなく、人間の史実に登場する人物たちも関わってくるという展開が衝撃的で、一気に世界が身近な物に感じられました。序章ではふんわりとしていた事柄が鮮明となって迫ってくる感覚に、数多を学んだ八咫と同じ感覚を共有していたようにも思えます。
神話との関わりも明らかになってきた上で、橘の実とその神話名にも改めて目が行ったのですが、弟橘姫のエピソードも関わってくることがあるのでしょうか……何分神話でも好きなエピソードでして……無事だった悟堂さんもその香りが記憶として刻まれていること、思えば彼は海で行方知れずとなったことなども共通点があるように見えてしまいました。がっつり神話に詳しい!という訳ではないのと設定が緻密なのとで、考察には全く自信が持てないのですが……笑
加えてそこに濃密で緻密な人間関係と心模様が描き出されているのが、読み進める手を止められない一因になっていました。歪んでいく、軋んでいく姿の痛ましさは、皮肉にも行動の理由を確固たるものにしていて、凄まじい説得感に満ちていたと思います。熊掌さんの地獄は筆舌に尽くし難いもので、故にその憎悪や脆くなっていく精神にも理解がいく、というように。それだけに限らない軽やかな関係性も描写されているので、息詰まることがない読み心地の良さがまた巧みさを感じ取れました。
成長を遂げながらも、心がついてこない、ついてこないから置き去りにしてしまったような痛ましさや冷たさ、それによる軋轢は胸が苦しくなるものでありながら、そこに覗く淋しさめいた影や、今にも壊れてしまいそうな危うさや切羽詰まった必死さに心を傾けずにはいられなくて、未来を見上げてそれぞれ歩き出した人々への好感度がより一層高まってしまいました。
そして、別々の道を歩いていたかと思っていたら、その行先が限りなく近く、あるいは同じ場所に続いているという繋がりの結末も圧巻でした。そういうの大好きなんですありがとうございます。梶炎が臨赤の大将軍となったことが、彼の育て親にまさかの形で繋がってくるとは……作中でさらりと提示されていた伏線の回収にテンションが上がってしまいました。
序章終盤で離れ離れとなってしまった、その前に深い絆を一瞬で焼き付けてきた八咫と食国の絆や信心の揺るぎなさも、関係性にやられがちなオタクとしては短い断末魔が出てしまいました……分かり合えなくなっていたら決別するだろうという可能性さえ鮮やかに浮かぶ、それもまた信頼の表れなのかもしれないなと。二人も含め、複雑に絡み合う関係に背景を背負い、険しい道程を経た人々が再会した暁には何が起こるのか、また次章も楽しみです。
めちゃくちゃ長文になってしまって申し訳ありません……改めて、凄まじくも楽しい読書をさせていただき、ありがとうございました!
作者からの返信
葉霜雁景さま
いつも神の読解を本当にありがとうございます。
もうほんと脚を向けて寝られません。
乙橘姫に関してはツイートでも言及した通り、悟堂と熊掌の関係性になぞらえてある部分があります。不死の果実である「非時香木実(ときじくのかくのこのみ)」の別名である点に加えて、こちらはあまり目立たない要素抽出だったはずなのですが、いやすご、すご、となりました。
>「あの子」は、石長姫
正解です。
それから八重さんはフルネームが天照之八重桜(あまてらすのやえおう)なので、正しく木花之佐久夜姫にかかります。
熊掌の地獄の行き着く先と、八咫食国の行き着く先。
どうぞ見守ってやってくださいませ。
ほんとうにありがとうございました。
遅くなりましたが完結おめでとうございます!本日読了いたしました。
実はわたし歴史や政治が絶望的に不出来で、国が三つ以上出てくると敵と味方の区別さえもつかなくて💦 なので政治的な部分がほとんど理解できていないと思います。不甲斐ない読者ですみません💦
それでも最後まで読めたのは珠邑様の文章が美しいから!それに尽きます。
作者からの返信
あしわらんさま
ほんとにほんとにすいませんありがとうございます(ノД`)・゜・。
もう色々あちこち増えすぎて意味わかんないですよね!?
なのにほんとにほんとーにありがとうございます!!
次は楽。多分楽……。
面白かったです。ありがとうございました。
作者からの返信
月森 乙さま
この長距離を本当にありがとうございました。
足跡を残していただけるたびに、背筋が伸び、心底ありがたく幸せだと感じていました。
今一番思うのは、月森様に鼻白まれるような筋のものを書き散らしては絶対にならぬと言う事です。
最後まで、がんばります。
本当にありがとうございました。
破の章 完結おめでとうございます。
もう色々と手札が揃っていく中、急がどうなるのか……すごく気になっていきます。大きくことが動いていく中、八咫たちが合流すると……どうなるのでしょうか。彼らは生きているといいけど……(汗)
日本神話が好きなだけで古事記には精通はしていないのですが、読んでいて「おおっ!」と思うものが多くて拍手したくなりました。いや、本当に面白い。本屋にあゆハードカバーの本を読んでいるみたいです(笑)
面白いお話をありがとうございます!
急の章……更新待ってますが無理なく執筆なさってください!
作者からの返信
アワインさま
ほんとーーーに、この長距離をありがとうございました!!(´;ω;`)
最終的にどういった形になるか、いい意味で予想を裏切れるような、そんな作品をお届けできるように頑張りたいと思います。
『急章』は現在改稿前の状態でおよそ二十三万文字。あまりに一節が長すぎるので二節仕立てになります。
それぞれがそれぞれらしく、信念に基づいて動いた結果が反映されてゆく。
そんな様子を丁寧に描いて参りたいと思います。
編集済
破章完結、お疲れ様でした。
物語として楽しむのはもちろん、古事記や日本書紀との関わりも楽しませていただきました。
ウケモチノカミとイワナガヒメには憐憫の情を抱きつつ育ったので、幸せになって欲しいなと思いつつも…一読者として見守ります。
読み応えのある骨太なお話、本当に面白かったです(これに尽きます)。
続編も楽しみにしております。
作者からの返信
魚崎 依知子さま
この長距離、本当にありがとうございました。
ええと、次話は保食メイン回です。石長に関しても少しずつ触れて行きます。
本当に、あの二柱には自分も相当に肩入れしておりまして……ええ、見事に反映されております。
引き続き、背筋を正して、きっちり仕上げて参りたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
まずは一言。めちゃくちゃおもしろかったです!!片手間では読みたくなくて、時間と気持ちに余裕のある時の読書になっちゃったので相当時間がかかってしまいました。申し訳ないです。
本格的な群像劇ってこんなに面白いんだなと。登場人物たちの書き込みがこれでもかという程深くて抉られて、入り込み方が尋常じゃなかったです。
もうね、やっぱり熊掌。熊掌の壊れっぷりがもう……なにも言えないんですけども(涙)
最後にひとつだけ。八重の夢に出てきた「あきつしま」にニヤニヤしていたところ、熊梶前世譚の言葉を見て「あちらの世界線とももしかして繋がりが!?」と2度ニヤニヤしました。関係無かったら恥ずかしいですけどw
蘇った南方の爺さんにも期待しつつ、続きもまた楽しませて頂きます!
作者からの返信
tomoさん
ありがとうございました!! お返事遅くなりました!!
熊さんほんとう、酷い目にあわされるばかりで、わたし鬼ですね。鬼です。
南方の爺さん、ターミ〇ーターばりに復活してくれましたので、これからきっとご活躍……の可能性を残して、よろしければ急もお待ちしております!