81 白浪首脳部
*
各々の視線は食国に向けられているが、その全ての思惑が
そして恐らく、彼等にもそんな食国の意識的な変化は伝わっていた。それ程に今日の食国の視線には力があった。
食国の眼は隣に座す
「それで? 僕を待つ間にお前の腹案はまとまったのか、
真っ先に名指しされた臥雷がおもしろそうに口の端を歪める。
「俺から出せる最善案は変わらん。器の候補者を全員殺して、次代の
食国は冷たい眼差しで臥雷に
「
「おいおい。そりゃ
にやにやと卓上で頬杖を突きながら
本来食国は、非常に――非常に気が短い。
食国は乱雑に
「なあ、お
ばん! と食国の両掌が卓子に叩きつけられた。
「僕は! さっきから! 軽率にたらればを語る
「馬鹿ばっかり連発すんな馬鹿! 馬鹿しか言葉知らんのか馬鹿!
「あああああもう! ほんっとこいつ厭だ‼」
食国は頭を掻き毟ると、ばんばんばんと、再び卓子に両掌を叩きつけた。
「もう、ほんと好い加減にして⁉ 僕前から一回聞きたかったんだけどさ⁉ お前達もなんでこんな男を頭領に据えたんだよ‼ どう考えても
場に
白浪首脳部は食国を含めた九人で形成されている。
頭領たる
一方、
食国の激高に、
「それは、なあ?」と、
その、紅の引かれた唇が開かれる。
「
隣から「そうだな」と、
肩をわずかばかりすくめながら、
「何か事が起きて万一朝廷に俺達の事がバレたとしても、頭領が一番強けりゃ選抜の理屈としては成り立つし、こいつ程度なら首を取られてもまあ組織としては何とかなる、と。なあ、
一方の話を振られた側の伊庭の返した「
その小さな目を一度だけしっかりと
「公も
さすがにそこで臥雷が軽く
「おいおいおい、お前等、俺本人を前にしてそこまで言うか?」
それに対して「はっ」と
「だってお前、脳味噌からして筋肉で出来てんだもん。はっきり言わなきゃ理解できねぇだろうが」
「
「いや、あんたならありえるわよ」
「然り」
軽快で遠慮のない四者のやり取りに食国は呆れて顔を歪める。
「――あんた達、ほんと仲良いよねぇ」
と、
「我々も、
臥龍の言葉を引き継いだのは
「かつ、
臥龍は、常になく
「公の存在こそが
「――それは僕も十二分に判っている」
食国は重い溜息を落した。
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