78 玉座に着くための道
「
「今、仙山はどこに? 彼等は朝に対して名乗りは?」
険しい表情で問う
「上げていない。今後も上げる事はないんじゃないかな。――仙山は四年前に、恐らく図らずもといったところだったんだろうが、
「そうか……そういう事か」
「仙山が今どう動いているのかは、はっきりとはわからない。前の白浪の拠点がああも簡単に
悟堂は、しばらく考え込んでから、長い溜息を吐いて「成程」と吐き出した。
「仙山という奴等は、辺境の民と
食国は
「状況的に見て、そうとしか言えないだろうね」
「――概ね同意ですが、御子がそうお考えなのですか? それとも白浪が?」
「僕が、と言いたいところだけど、
「名高き
「知っているんだ?」
「
現朝廷禁軍右将軍の名を口にしながら、悟堂の脳内は急速に冷えてゆくのが分かった。
「白浪は今後、仙山とどうしていくつもりなのですか?」
食国は目を閉じて首を横に振った。
「臥雷の腹積もりは分からない。でも、あいつああ見えて執念深いからな。やられた事は倍にして返すつもりだと思うよ。――あの件で白浪が
皮肉な笑みが食国の頬に浮かぶ。
「そうなったら、白浪ごと仙山に投降すればいいんだ。どうせあいつらが欲しいのは、自分達は国家の正統であったという再評価なんであって、別に僕自身を
中々の暴論に悟堂は呆れ顔を見せる。
「それが、御子のお考えなんですか?」
食国は今度こそ本当に吐き捨てるような笑い声をあげた。ずるりと長い髪が
「五百年も
悟堂は、噛みつくように睨みつけてきた食国の視線を受け止めた。そして、ゆっくりと噛んで含めるように言葉にする。
「御子――それが見えている貴方になら、俺は天下を託してもいいと思う」
食国の口から「はっ」と嗤いが吐き出される。
「
挑発と侮蔑に近いその言葉に悟堂が返したのは――真顔だった。
「
無言を返す食国に、悟堂は改めて向き直ると、一度深く頭を垂れた。
「この辺りは既にご承知の事かも知れませんが、俺の名は
「――なに?」
「御子にも分かりやすく言うなら、母は
思いもかけなかった話に、食国は絶句した。
「
「――それは、野犴達は知っていることか」
「ええ、当然知っているでしょうね」
「それは、そんなものはお前の
「出生よりも、その後の行動でしょう。御子が御存知ないだけで、俺は
困惑に顔を
「こんな不出来な狗でよろしければ、
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