50 独り言 ー経緯ー
*
梶火は、今回の任に着くにあたり、
しかし――だからと言って、焦りがあった訳ではない。
梶火は数の上から軽率に臨赤と手を結ぶ事を決断した訳ではなかった。己の
無論、瀛洲にまともな兵力がないのは
それは、瀛洲でも散々話し合った事だった。
梶火が耳をほじくりながら
無論、口にした梶火もそんな絵空事を本気で考えた訳ではない。これこそ本当にただの数の上の話だ。
が、臨赤の数の話には現実を付加する事ができる。
それほど、
解毒薬の開発は、実は火災以降から
実は、最初に解毒薬の可能性について口にしたのは
あの娘は参拝を一手に引き受けるようになり、それなりに
「いつまでこんなだるい事せなあかんのー。自分で言うたことやけど毎日はやっぱりキツイってー。死屍散華がなくなったらうちら用済みになってまうけど、なくなってほしいー。あー、でもあれか、
――と。
しかし、それまで梶火と長鳴は、死屍散華を
そこからの長鳴の没頭振りは凄まじかった。無論、邑長代理としての役割も、
長鳴自身も、変容した
後に熊掌が
かつて、
恐らく、この世において、明かされない秘事の存在しない事は、決してないのだろう。
熊掌が
解毒薬の話に関しては、
*
夜が明けない生活に梶火が慣れ、
生鮮食品を
明らかに荷の運搬に邪魔であろう木々を伐採しないのは、朝廷側にこの場所が見つかった時に使える道だと判断されては
無論梶火が連れてこられたのはただの
先の水源汚染以降、数の減った
治める者の器量で、やはり大きく違う。この短期間の間だけでも、騎久瑠が自らを卑下しがちである事は梶火にも十分に伝わったが、あまりに過小評価に過ぎると思われた。彼女には、十二分に優れた統治者の素質があると言っていいだろう。
「これ! これがいいの!」
ふいと耳に届いたその声に、梶火は視線を向けた。
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