第18話 ひみつの面接
朝ごはんを食べて、階段の掃除当番だった私は落ち葉をはいていた。けれどどれだけちりとりに入れても、落ち葉は風で飛んでいく。
袋に入れなくちゃ。そう思って同じく階段掃除のなっちゃんを探しているのに、まだ来ない。
なっちゃんはひみつの面接に呼ばれているのだった。
どうやらひみつの面接はいきなりやってくる。この間も、お風呂で恐竜のシャンプーを床にたらしてスライディングして遊んでいたら鬼マークと雪子さんがやってきて違う部屋の子を連れて行った。
いくら人がいないときをねらっていたとはいえ、お風呂の端から端まで、体が三センチ削り取られるんじゃないかと思うくらい、すべっていたから、鬼マークのカツ、カツと響く足音がほのかに聞こえたときは寝そべったまま動けなかった。どんな罰が待っているだろうか。
なのに、鬼マークと雪子さんはその女の子を呼んでさっといなくなった。
その女の子も私と同い年くらいに見えた。いつからいるのか、分からない。きっと向こうも私が来た日をきちんとは知らない。それくらい、女の子はやってきて、そしていつしかいなくなるのだった。そんなこの世界でおばあちゃんたちだけは、いつまでも、地球ができるまえから、ここにいるようだった。
「なに聞かれるんやろうな。ひみつの面接って!」
そうなっちゃんも言っていたのに、とうとう今日、なっちゃんも呼び出された。
私は落ち葉をほうきで集めてまあるい形にする。「なっちゃん、どこいったん」シロちゃんがちいさいほうきでそのまるをつついた。「ひみつの、面接」「なんで」「なんでやろう」「なんで」「なんでも」私たちは言い合う。
するとなっちゃんがとことこ帰ってきた。私はすぐに言った。
「なに聞かれたん?」
けれどなっちゃんは残念そうに言った。
「言っちゃダメなんだって」
「そうなんかぁ」
「でも、ほら、次ははるちゃんの番みたい」
--えっ、と言って振り返ると雪子さんが待っていた。呼ぶでもなく、じっと立っていた。私はなっちゃんにほうきを渡した。「なんか、怖いなあ」と言った。けれどすぐ、「なんで?」とシロちゃんに聞かれて、少し笑って、進む。
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