第53話.援軍
「アル、大丈夫か?」
「アル、カティは?」
その時、アルフレッドの後方からルーファスとリリアーナが現れた。ルーファスの服は血で染まっているが、その
おそらく回復薬が効いたのだろう。ただ、血を流し過ぎたのか、少し顔色が悪い。
「ルーファスさんこそ、もう動いて大丈夫なんですか?」
「まあ、なんとかね」
そう
「それより、どういう状況?」
「やつはアルフスという名の魔族です。カルロスさんを殺して、ずっと彼に成り変わっていたようです」
「そうか……カルロスが……」
ルーファスは一瞬だけ天を
「それで、やつの目的は?」
「分かりません」
「そうか、まあいい。とにかく、カルロスの
いつも冷静なルーファスからは、考えられないほどの
口調こそ冷静さを
「僕が突っ込むから、アルとリリアーナさんは援護を」
ルーファスは
そのスピードは、今まで見た彼の動きの中でも、
風のように早いその一撃は、アルフスの
アルフスの腕が
アルフスは大きく後ろに飛びすさった。だが、ルーファスの攻撃は止まらない。アルフスを追いながら、腕を伸ばして短槍でアルフスの足を
槍の穂先が
さらに追い打ちをかけようとしたところで、ルーファスの前に数本の炎の矢が出現する。
その隙に距離を取ろうとしたアルフスの背後に、リリアーナが回り込む。同時にアルフレッドが、
リリアーナの攻撃が鈍る。
気絶しているイーリス、いやカテリーナの身体を傷つけるわけにはいかない。リリアーナが
「やっと来おったわい」
その時、ルーファス、アルフレッド、リリアーナの三人が、同時にゾクリと
それは、
本能が
その直後、螺旋階段へと続く扉から何者かが現れた。
現れたのは三人。最初の一人は、一対の
雪のように真っ白な肌が、そのドレスに
だが、それらをおいても、彼女の最大の特徴は、燃えるような美しい赤い髪だろう。背中の羽にまでかかる、その長い赤毛は本物の炎のように
一目見ただけで、その赤毛の女が魔族だと分かる。
ルーファス達三人が感じた圧倒的な気配と恐怖の出どころは、間違いなくこの赤毛の女だった。
二人目は、
赤髪の女性には
この男も、間違いなく魔族だろう。
三人目は、
だが、赤髪の女性の妖艶な美しさと存在感の前では、その女性の美しさもかすんで見える。
アルフスは、赤髪の女性の前に進み出ると、
「イーリスというのは?」
赤毛の女性はアルフスを
それでも、アルフレッド達は動けない。
「こちらにございます」
アルフスは、肩に担いだイーリスをそっと床に降ろすと、もう一度頭を下げた。
「そう……。よくやった」
「ハウレス、彼女を頼む。丁重に扱え」
「はっ」
ハウレスと呼ばれたのは執事風の男だ。彼は、イーリスの背中と膝裏に腕を回して抱き上げた。いわゆるお
「アルフス、セーレ。ここは任せた。できるだけ時間を稼げ」
それだけを言うと、赤髪の女性は入って来た扉ではなく、イーリスが居た方。奥の扉に向かった。ハウレスがイーリスを抱いたままそれに従う。
「動け……動け、動け」
アルフレッド達は、赤髪の女性の存在感に飲まれて、まだ動けないでいた。
今、動いたら殺されるかもしれない。そんなイメージが三人の脳裏によぎる。
それでも、今、このまま見送ったら、二度とカテリーナの身体を取り戻せないような気がした。
アルフレッドは、なんとか
タァーンという音だけが、静まりかえったドーム状の部屋全体に響き渡る。
赤髪の女性は、向かってくる
そして、たったそれだけの動作にも関わらず、
「……!?」
アルフレッドには何が起きたか分からなかった。先ほどは、一瞬だけ赤毛の女の姿が
熱?
そうだとしても、金属の弾丸を空中で溶かすなど、どれだけの熱量が必要なのだろう。アルフレッドには想像もつかなかった。
赤毛の女性は、アルフレッドに
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ここまで読んで頂きありがとうございます。
第七章、終了です。
ようやくイーリスを捕まえられるというところで
魔族に奪われてしまいました。
次の章で、ひと段落つく予定です。
アル、リリィ頑張れ!
カルロスかわいそう!
魔族が憎い!
と思ってくださいましたら、
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