第50話.操り人形の鎖
イーリスの魔法が
無数の炎の球が宙を舞い、炎によって自らの
炎の球は避けるしかなかったが、幻影と炎の大蛇に対しては
どちらも魔力が造り出したものなだけに、
「まったく、
そう言って、イーリスは炎の球をアルフレッドに集中させる。
いくら
絶えず動きながら、アルフレッドは炎の球を
それでも、走りながら
「ちょくせつ狙ってダメならこれでどうだ?」
アルフレッドは、イーリスの右にあった金属で出来た
だが、あっけなく魔力障壁に阻まれてしまった。
「
本当に妖精が守っているのかは分からないが、イーリスの周りを自由に飛び回る十数個の小さな光は、本物の妖精のようにも思えてくる。
どう見ても、イーリスの意識とは関係なく動いているように見えるのだ。
「この魔導具、身を守るという意味では、私が造った魔導具の中でも
ずいぶんな自信なのだろう。イーリスは余裕の表情を浮かべる。
それでも、アルフレッドの心はまだ折れない。
「必ず、カティは返してもらう」
タァーン!
今度は、イーリスの周りに浮いている光を狙って
だが、当たる直前にその光の球はすぅっと動いて、弾丸を避ける。
しかも、魔力障壁も張られ、結局
「なっ」
小さな光の球に、あっけなく躱されたことにアルフレッドは驚いた。
本当に生きているように動いたのだ。
「くそっ、どうすればいいんだ?」
アルフレッドは悔しそうに呟いた。その目は、
「アル、しっかりして」
そんなアルフレッドを
「アルが
そう言いながら、イーリスに
単純なスピードだけなら、アルフレッドのそれを軽く上回り、ルーファスにも引けを取らない。
そのスピードから繰り出される
だが、それでもイーリスに届きそうな攻撃は、
ガラスのような光の障壁が輝くたびに、リリアーナの細剣は、はじかれてしまう。
「もう、障壁が
リリアーナが悪態をつきながら、連続して突きを放つ。だが、そのことごとくが、光の障壁にはじかれた。
その時、イーリスの表情が、悲し気に曇った。
「もうやめて、おねえちゃん」
その声に、リリアーナの剣が、そして動きが鈍る。ほんの一瞬、一拍にも満たないわずかな時間だったが、リリアーナの剣に迷いが生じた。
イーリスが口が笑みの形に
その手首には、黒く変色した銀のブレスレットが付けられていて、そこからは、細い
その
それは、一瞬の隙をついてリリアーナの手足に巻き付いた。
「何、これ……?」
リリアーナは
「ふふふ。動けないでしょう?おねえちゃん」
そう言って、イーリスは左手を
「これは
イーリスが意地の悪そうな笑みを浮かべる。
その直後、リリアーナはイーリスに背を向け、アルフレッドに向かうと細剣を構えた。
「ちょ、どうなってるのよ、これ」
リリアーナが慌てた声を出すが、身体は思うように動かせない。そのまま、アルフレッドに対して、細剣を突き出した。
「アル、避けて!!」
それだけ言うのが精一杯だった。
アルフレッドも何が起きているのか分からなかったが、かろうじて
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