聖夜に贈るプレゼント

砂漠の使徒

大切なあの人へ

「「メリークリスマスーー!!!」」


 二人で、クラッカーを鳴らす。

 あたり一面にカラフルな紙吹雪が舞った。

 とてもきれいだ。


「それじゃあ、ケーキ食べようか!」


 シャロールは席を立ちかける。


「待った!」


 僕は慌ててそれを制した。


「どうしたの、佐藤?」


「僕から、クリスマスプレゼントがあるんだ」


 そう言って、僕はプレゼントボックスを取り出した。

 赤色の包装紙に、黄色のリボン。


「はい、どうぞ」


「ありがとう、佐藤!」


 シャロールは驚きながらも、箱を受け取る。

 そして、丁寧に包装を剥がしていく。


「なにが入ってるかな~?」


 箱が開かれる。

 そこに入っているものとは。


「マフラー……!」


 彼女はそれを手に取り、広げた。

 オレンジ色で、真ん中に白色が入っている。

 きっと彼女に似合うはずだ。


「僕と一緒に着けられるように、長めのを買ったんだ」


「佐藤、ありがとう!!」


「どういたしまして」


 このマフラーで、寒い冬も一緒にお出かけできる。

 考えただけで、楽しくなってきた。


「それじゃあ……」


 シャロールはひとまずそれを自身の首に巻いた。

 それから……。


「はい、今度は私からのプレゼント!」


「あ、ありがとう……!」


 当然といえば当然だけど、彼女からもプレゼントをもらえるんだった。

 自分のプレゼント選びに必死で、なにを貰えるかなんて考えてなかったな。

 すごく嬉しい。

 中身はなんだろう。

 僕ははやる気持ちを抑えつつ、包装を剥がしていく。


「開けるよ」


 ワクワクしながら、箱を開けると。


「マフラー……!」


 なんと、驚くべきことにこの箱にもマフラーが入っていたのだ。

 だが、色は違う。

 空のような青で、端の方に赤いチェック模様がある。

 これはこれでかわいい。


「ごめんね、佐藤……」


 シャロールが申し訳なさそうに呟いた。


「どうして謝るんだよ?」


「だって、同じ……」


「いいじゃないか」


「え?」


「二つあると、もっとあったまるだろう?」


 そう言って、僕は自分の首にマフラーを巻き、余りを彼女に差し出した。


「……そうだね!」


 シャロールの顔がパッと明るくなる。

 やはり彼女には笑顔が似合う。


 シャロールも、自分の首に巻かれているマフラーの余りを僕に差し出した。


「「……」」


 お互いに相手の首にマフラーを巻いてあげる。

 巻き終わると、僕達は見つめあい、同時に微笑んだ。


「うん!」


「あったかい!!」


 身を寄せ合って、一つになる。

 心も体も温まる、素敵な……。


 グ〜〜〜〜〜〜。


「あ……」


「ふふ」


「せっかく、いいムードだったのに……」


「私もお腹空いてたの。ケーキ食べよっか!」


「うんっ!」


 こうして、聖なる夜は更けていくのであった。


(了)

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