第7話 捜索

ステファニーに付いていた護衛騎士2人と御者は、剣で斬られて絶命した状態で、まもなく川の中で見つかった。


その知らせからしばらくして、気を失っていたジャクリーンがとある教会で保護されたと王宮に一報があった。なんでもその教会の前で倒れていたらしい。ジャクリーンの意識がすぐに戻らず、身元が不明だったので、知らせが遅れたのだ。


「それでジャクリーンは、なんと言っているんだ?」


「彼女を殴った賊の顔と頭は布で覆われていて見えなかったものの、体格のいい男だったことだけはわかったそうです。ただ、他にも仲間がいたようです。後は殿下とエスタス公爵令嬢に申し訳ないと必死に詫びていました」


「わかった。もう下がってよい」


近衛騎士の報告にはステファニーにつながる情報がなく、エドワードはがっかりした。


3人の遺体発見地点とジャクリーンが保護された教会は、王宮からエスタス公爵家までの一番近い経路からだいぶ外れた場所にあり、お互いの地点も離れていた。


ステファニーが乗っていた馬車はまだ見つかっていなかった。何も進展がないまま、まもなく夜明けになろうかという時に近衛騎士が新しい報告を持ってきた。


「王太子殿下、報告です!乗り捨てられたエスタス公爵家の馬車が王都郊外の森の中で見つかりました!ただいま、鋭意、森の中を捜索中です」


エドワードは、はやる気持ちを抑えながらご苦労と騎士をねぎらった。


その頃、近衛騎士達は馬車が見つかった森の中を捜索していた。そのうちの数人が打ち捨てられた木こり小屋の前に新しい足跡を見つけた。万一、犯人達が小屋の中にいた場合、刺激するといけないので、辺りを静かに取り囲んで先遣部隊が小屋の中をこっそり伺い、隊長に現況を小声で報告した。


「隊長、誰もいないようですが、床に何か転がっているように見えます」


「わかった。では、俺を先頭に小屋へ突入しよう」


木こり小屋に唯一ついている窓は布で目張りがされていて、その隙間から覗き込んだ限りでは、床に転がっていたステファニーは物陰に隠れてよく見えなかった。


警戒しながら突入した隊長の目に入ったのは、見るも哀れな裸のステファニーが気を失って床に横たわっている様子だった。

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