終章 世界の調律者

 これは遠い昔。まだ二つの世界は一つの世界として存在し、壁に隔たれていなかったころの話。人間と魔法使い、ファビュラスベートが共存し、平和に暮らしていたその頃、オフィーリア・マルクスフィアという美しい魔法使いがいた。


 美しい金色の髪に雪のように白い肌。長いまつ毛で縁どられた瞳は澄んだライトグリーンで、彼女が浮かべる笑顔は女神のように美しく、人にも魔法使いにも、そしてなによりファビュラスベートに大層好かれる魔法使いだった。


 オフィーリアはファビュラスベートをこよなく愛しており、その生態などを調べて本に記した。人間や魔法使いはファビュラスベートの不思議な力を借りて世界を発展させ、世界を美しく彩っていった。


 オフィーリアはどんな人にも手を差し伸べる優しい心の持ち主で、ある日、一人の可哀そうな魔法使いの少年に出会った。


 少年は涙を流しながら、オフィーリアに訴えた。


「僕には魔力がこれっぽっちもなくて、同じ魔法使いに馬鹿にされるんだ。お前は無能だ、何もできない出来損ないだといじめられても、僕はなにも言い返せない」


 いじめられている少年は身体中傷だらけで、可哀そうに思ったオフィーリアはその傷を魔法で治してやりながら、少年の頭を優しく撫でた。


「あなたは魔法使いだけど、魔法使いだからといって魔法に頼らなくてもいいの。魔法は確かに便利だけれど、何よりも大切なのは、その便利な力の使い方。使い方を知らなければなにもできない。無知のままでは宝の持ち腐れ。なによりも大事なのは知識なんだよ」


 オフィーリアはその少年に様々なことを教えた。魔鉱石や魔法道具の作り方や使い方、魔法陣の描き方、そしてファビュラスベートについて。


 少年はファビュラスベートに興味を惹かれ、オフィーリアがどこに行こうが付いて回って、ファビュラスベートについての知識を付けていった。オフィーリアもそのことを大層喜んで、少年を可愛がった。


 そして、少年が美しいオフィーリアに対して淡い恋心を抱くのに、そう時間はかからなかった。


 オフィーリアと少年が幸せな日々を続け、少年が少年のことを無能だといじめていた魔法使いたちよりも多くの知識をつけ、他の魔法使いから一目置かれるようになったころ、悲劇は起こる。


 オフィーリアには、家族にも等しく、唯一無二の友でもある、美しいファビュラスベートがいた。そのファビュラスベートは世界のすべての者を愛し、自分以外のものを助けるためなら自分の犠牲も厭わないような、慈悲深く、優しいファビュラスベートだった。すべての者に友好的で、オフィーリアと少年のことを愛し、見守り続けていた。


 美しい虹色の羽に純白の身体は神々しく、そのファビュラスベートを一目見るだけで、幸福が訪れると言われていた。虹色の羽は一枚持っているだけで、その者に永遠の幸を届ける。


 そんなファビュラスベートに、愚かな人間が目を付けた。そのファビュラスベートを自分たちだけのものにすれば、自分達に永遠の幸が訪れる。だが、ファビュラスベートは世界のすべての者を愛しているため、その羽を誰か一人だけのために与えることなどしなかった。


 愚かな人間たちは、ファビュラスベートを捕らえると、ファビュラスベートの首を切り落として殺してしまった。幸福を呼ぶ羽を自分達だけで独り占めにするために。


 だが、愚かな人間たちが虹色の羽を手に持った瞬間、異変が起こった。


 虹色の羽はみるみるうちに黒く染まり、ぼろぼろと崩れていく。驚いた人間たちがファビュラスベートの死体を見ると、ファビュラスベートの死体はファビュラスベートの首から流れた黒い血に染まり、美しい純白の身体が真っ黒に染まると、首が斬り落とされているにも関わらず、動き出したのだ。


 そして、悲鳴のような甲高い鳴き声を上げると、空が真っ黒に染まった。そのファビュラスベートは不死身であったため、死ぬことができなかった。


 心の底から愛していた人間に裏切られたファビュラスベートは悲しみに溺れ、全てを憎み、呪い、黒い涙を流した。その声は嵐を呼び、その羽は日を隠し、世界は闇に堕ちた。


 世界は崩壊を始め、上空でファビュラスベートの悲痛な叫び声がこだました。


 オフィーリアは自分の友を助けることができなかったことを悔やみ、嘆き悲しむファビュラスベートをなんとか止めなければと考えた。このままでは世界は崩壊する。


 オフィーリアはファビュラスベートと人間が関わることは危険だと考えた。魔法やファビュラスベートの力は人を惑わせ、闇に堕としてしまう。そこで、オフィーリアは世界を二つに分けることを考えた。


 世界を二つに分け、それを隔てる壁を作り、今後一切の関りを禁止する。だが、その壁を保つためには、魔法使いたちが壁を管理し、狭間の者として、世界の均衡を保つ必要があった。


 世界を二つに分けただけでは、悲しみに暮れ、世界の全てを憎んだファビュラスベートは二つの世界を壊し尽くしてしまう。ファビュラスベートを止めるには、封印する以外に方法がなかった。


 そこで、オフィーリアは自分の魂を半分に分け、人としての姿を捨てることにした。捨て置いた身体にファビュラスベートを閉じ込め、魂を魔法の媒体として封印を施す。だが、魂を半分に分ければ、オフィーリアの記憶はおろか、人格が消滅する恐れがあった。


 そこで、オフィーリアはこれまで自分が書き続けていた本を少年に手渡した。


「この世界とファビュラスベートを守るため、あなたには、世界の管理人アドミニストレーターとしての役割を担ってほしいの。今後、二つの世界が関わることのないように、どうか、ファビュラスベートと人間を管理し、見守り続けてほしい。とても重い役割だとわかってる。だけど、あなたにしか頼めない」


 オフィーリアは寂しそうに微笑みながら、泣きそうな顔をしている少年の頭を優しくなでた。別れを惜しむように。


「たとえ、私の記憶が消えてしまっても、あなたのことを愛している」


 オフィーリアの身体が光に包まれたかと思うと、その光が天へと昇っていき、上空で泣き続えていたファビュラスベートを包み込んだ。


 ファビュラスベートの声が徐々に小さくなり、光が小さくしぼんでいくと、ファビュラスベートの姿は消え、上空に小さな赤ん坊が現れて、真っ逆さまに落下する。少年が慌てて赤ん坊を受け止め、上空には、光の玉だけが残り、光の玉は空を覆う黒い影を突き破って天に昇っていき、光の玉が開けた穴から影が消えて行って、澄み渡った青空が見えた。


 少年の腕の中の赤ん坊は少年の顔に小さな手を伸ばし、嬉しそうな笑みを浮かべ、少年は泣きそうな顔をしながら、赤ん坊を強く抱きしめた。


    ◇


「……それが、マライアだよ」


 空が黒く染まり、闇の世界へと姿を変えたファントムパラディの小屋の中、ソフィーとケインがベッドに寝かされたマライアを囲み、ディティの話しを聞いていた。


「マライア・ベティーという名前は僕がつけた名前。マライアは、オフィーリアが捨てた人としての姿なんだよ。封印が解けるのを防ぐため、マライアにはずっと、僕が作った魔力を押さえる飴を食べさせていたんだ」


「……そして、その悲しみに溺れたファビュラスベートが、封印を解かれ、上空を飛び回ってるってことね」


 ファントムパラディの上空で、大きなファビュラスベートが不気味な鳴き声を発しながら飛び回っていた。その姿は大きな孔雀のようで、長い飾り羽を靡かせながら、闇のように黒い大きな風切り羽を羽ばたかせ、何かを探すようにファントムパラディを飛び回わる。首の先に顔はなく、白塗りの仮面をつけていて、仮面の目からとめどなく、黒い涙が流れていた。


堕ちし者ファミーヌ。かつてのオフィーリアの友であり、家族であり、それは、それは美しいファビュラスベートだったんだよ」


「話し込んでいるところで悪いんだが、悠長に話している場合なのかい? 話を聞く限り、このままだは世界が崩壊するようだけど……」


「そう、話し込んでる場合じゃない。わかってるんだけど、魔力を使い果たした僕はすぐに動けないし、マライアを安全な場所に届けたかったから」


「一緒に迷い込んだ女の子は?」


「私があっちの世界に届けておいた。記憶処理を施してね。まあ、今のこの状況で、それが必要だったのかはわからないけれど」


 ソフィーが眠っているマライアの頭を撫でる。


「ねえ、ディティどうするの?」


「ファミーヌを止めなきゃ。じゃなきゃ世界が終わる」


「方法はあるの?」


「……ある。でも、僕だけじゃどうしようもない」


「協力するに決まってるでしょ。どうしたらいい?」


 ディティは少し考えて、おもむろに口を開いた。


「ファミーヌを止められるのは、オフィーリアだけだ」


「どういうこと? それはマライアしかいないということなの?」


「いや。言い方を変えると、世界の調律者トゥナーしか、ファミーヌを止めることはできない」


「トゥナー?」


 ケインが問いかける。ディティはマライアを見つめ、寂しそうな顔をした。


「オフィーリアは魂を半分に分けて、人の姿を捨てた。魂の半分は封印の媒体として捨てられた人間の身体、つまりマライアに。そして、もう半分は、世界を二つに分け、世界の調律をするために、ファビュラスベートとして生まれ変わった。それがトゥナー。もう一人のオフィーリア」


 外からファミーヌの声が聞こえてくる。ディティは目を瞑って息を整えると、目を開けて真剣な表情を浮かべた。


「トゥナーをファントムパラディに呼び出して、止めてもらうしかない」


「トゥナーはファントムパラディにいないの?」


「トゥナーは狭間の大樹アルブル・モンドというファントムパラディでも人間界でもない、世界の狭間にいるんだよ。そこで二つの世界を見守り続けている」


「本で呼び出すことはできないのかい?」


「残念ながら無理なんだ。裁判の番犬たちシヴァン・ド・ギャルド時を渡る者トラヴェルセなどの神聖で世界に自ら干渉できるファビュラスベートを呼び出すには、アドミニストレーターの権限とファビュラスベートの承諾が必要で、ファビュラスベートの王といっても過言じゃないトゥナーを呼び出すには、トゥナー本人に会いに行く必要がある」


「……行く方法は?」


「ファビュラスベートの中でもトゥナーに仕えるとされる妖精や精霊に近いファビュラスベートは、アルブル・モンドから動けないトゥナーの代わりに、比較的自由に二つの世界を行き来できる。そして、そういう類のファビュラスベートはアルブル・モンドに戻る際、光の道という道を通ってアルブル・モンドに戻るんだ。だから、光の道を辿って行けば、トゥナーの所に行ける」


 先ほどまで小屋の中で不安げに羽ばたいていたプティとミミがディティの元に飛んできて、ディティの肩にとまった。


「僕にはプティとミミがいるからね」


 ディティはそう言うと、眠っているマライアの頬を愛おしげに優しく撫でて立ち上がった。その瞬間、ディティの視界が揺らぎ、倒れそうになってソフィーが慌ててそれを支えた。


「一人で行くつもり?」


「……ファントムパラディにファミーヌを解き放ったまま放置できない。なにかあった時に、ソフィーとケインはここに残っておいて——」


 その時、上空のファミーヌがけたたましい鳴き声を上げたかと思うと、その姿が消えた。ディティが目を見開いて外に飛び出すと、ファミーヌの姿が消えた上空を見て青冷める。


「まさか……」


「なに? なにが起こったの?」


「ファミーヌが人間界に行った……⁈」


 ディティの言葉にケインとソフィーが目を見開いた。


    ◇


 ファミーヌが姿を消す数分前、フランスパリの曇り空の下で、ロイド・ティンガー刑事とピエール・ウィルバン刑事が大通りを歩いていた。遠目にエッフェル塔が見える。


 トラヴェルセの横断はロイド刑事の目にさえ映らず、人々は何が起こっていたかも知らずに、いつも通りの日常を送っていた。


 窃盗事件の捜査をピエール刑事とともに行っていたロイド刑事が急に立ち止まり、後ろをついて行っていたピエール刑事がぶつかりそうになって、慌てて立ち止まった。


「どうしたんですか?」


 ピエール刑事が問いかけたが、ロイド刑事はそれに答えず、空を見上げて険しい表情を浮かべている。


「あのう……」


「……なにか、嫌な予感がする」


「へ?」


 その時、ロイド刑事の目の前の景色が急に変わり、黒く染まったファントムパラディの空が映し出された。そして、黒い空を飛び回るファミーヌの姿が見え、ファミーヌが振り返った。


 ファミーヌの白い仮面のような顔が見え、仮面の両目の穴がロイド刑事をとらえる。とめどなく流れる黒い涙が仮面を濡らし、飲み込まれてしまいそうなほどの闇が広がるファミーヌの目と、ロイド刑事の目が合った。


 次の瞬間、ロイド刑事の目の前の景色はフランス、パリの曇り空へと戻った。だが、空で異様な者が羽ばたいている。ファミーヌはけたたましい鳴き声を上げ、空が闇に飲まれて、あたりを歩いていた人々が、不意に暗くなった世界に困惑の声を上げた。


「……」


「わ⁈ なんですか? これ? 異常気象?」


 ロイド刑事は呆然とファミーヌを見つめている。暗くなった世界で人々は困惑しているが、ロイド刑事以外にファミーヌの姿をとらえることができる者はいないようだ。


「ただ曇ってるだけで、こんなに暗くなります? ロイド刑事。お天道様が機嫌を損ねちゃったのかなあ?」


 能天気なピエール刑事の言葉を聞き流し、ロイド刑事は険しい表情を浮かべてファミーヌを睨みつけた。


「……どうにかしろよ、アドミニストレーター……」


 ロイド刑事が呟いた小さな声はピエール刑事の耳には届かず、ファミーヌの鳴き声に掻き消された。


    ◇


「どういうこと⁈」


「……ファミーヌが、人間と目を合わせて認識の壁を越えてしまった……‼」


「それって……」


「プティ‼ ミミ‼ 急いで‼」


 ディティの叫び声に反応して、プティとミミが鱗粉を光らせながら円を描くように飛び、何もなかった空間に魔法陣が出現した。


「ディティ、ちょっと待って!」


 魔法陣の中に入ろうとしていたディティをソフィーが呼び止め「ロイ、ロト、ロキ!」と名前を叫んで、なにもない空間から三匹が飛び出してきた。三匹は嬉しそうに一声鳴くとディティに近づいて行き、ディティの服を咥えると、背中に乗せた。


「乗っていった方が早いわ。急いで‼」


 ソフィーが叫んだ瞬間、ディティを乗せた三匹が魔法陣の中に飛び込んで姿を消した。それに続くようにプティとミミが魔法陣に飛び込み、魔法陣が消える。


 その時、地面が大きく揺れ、ケインとソフィーがよろめいた。ソフィーが驚いて空を見上げると、黒く染まった空の端から亀裂が入り、崩れ始めていた。


「崩壊がもう始まってる⁈」


 崩れた空の一部が落下していき、どこかに落ちて大きな音が響いた。ソフィーは空を睨みつけると、呪文を呟き、両手を高く空に掲げて、空を覆い尽くすほどの大きな魔法陣が浮かび上がって、空で光り輝いた。空の崩壊が止まり、地面の揺れが収まる。


「⁈ 無茶だ! ソフィーさん‼ 広域魔法陣で世界の崩壊をくい止めるなんて、あなたの身がもたない‼」


「……だからなんだっていうの」


 ソフィーの額には玉のような汗が浮かんでいる。苦々しげな表情を浮かべながら、ソフィーは空を睨みつけ、止めようとしたケインに吐き捨てるように言った。


「私は、ディティが守ろうとしている世界を守りたいだけよ。オフィーリアが自分の姿を犠牲にしてでも守ろうとしたファビュラスベートを消滅させたりはしない」


「……ならば、僕にもお手伝いを——」


「ダメ」


 ケインの言葉を遮るように言ったソフィーに、ケインが目を見開いた。ソフィーの頬に汗が伝う。


「あなたにはやって欲しいことがある」


「いったい、なにを……?」


「人間界にファミーヌが解き放たれている。ファミーヌが現れてからファントムパラディの崩壊が始まるまで、そう時間はかからなかったということは、放っておけば、すぐにでも崩壊が始まるってことよ」


「それって……」


「私はね」


 ソフィーがケインに向かって勝気な笑みを浮かべた。


「人間が作った、あの世界が好きよ」


「……この状態に陥っている原因が、すべて愚かな人間のせいだとしても?」


「えぇ。人間は愚かだわ。だからこそ、愛おしいのよ。私たちが守らなければならない。美しいものをたくさん見た。美しい者にたくさん出会った。それだけで、理由としては十分だと思わない?」


「……ええ。その通りです」


「任せてかまわないかしら? お坊ちゃん」


 ケインはあきらめたように笑うと、ソフィーに向かって恭しく頭を下げた。


「仰せのままに」


 ケインの姿が消える。ソフィーはそれを確認すると、再び黒い空を睨みつけた。


    ◇


 フランス、パリの上空に、ケインが現れた。空は黒く、ファミーヌの鳴き声がこだましている。上空を飛び回っているファミーヌを視界にとらえたケインは、ファミーヌの目の前にワープして、ファミーヌが威嚇するように悲鳴のような鳴き声を上げる。


Bonjourボンジュール やんちゃなお嬢さん。少し、僕と遊ばないかい?」


 ケインが不敵な笑みを浮かべた瞬間、ファミーヌを取り囲むように紫色の魔法陣が出現し、ファミーヌが悲鳴を上げる。


「ショータイムと行こうじゃないか‼」


 ケインが高らかに言い放ち、空に次々と魔法陣が出現した。その光はケインの姿を照らし、ファミーヌの声がこだました。


    ◇


 ディティを背中に乗せたロイ、ロト、ロキは、光り輝く道の上を走っていた。辺りは白い木々が生い茂る森のようになっていて、葉のついていない枝や幹には虹色の紋章が浮かび上がっており、神秘的な雰囲気が漂っている。


 三匹の前を先行して飛んでいくプティとミミは迷いなく道を進んでいく。三匹の背中に乗せられたディティは、険しい顔をして前を見つめていた。


 しばらく三匹は走り続けると、目の前に光が差す出口が見えてきて、そこに飛び込んでいったプティとミミを追いかけて、三匹が出口に飛び込んだ。


 眩い光りがディティの目を刺し、ディティが目を瞑って、ゆっくりと目を開けると、飛び込んできた光景に目を見開く。


 そこは、不思議な空間だった。


 宙に浮かぶ浮島のようなその場所は、あたりを漂う虹色の紋章に囲まれており、足元には色とりどりの不思議な花が咲いている。妖精や精霊に似たファビュラスベートが飛び回り、中には虹色の紋章の中に飛び込んでいって、姿を消す者もいた。


 そして、なによりも目につく大きな大樹。純白の幹と枝に浮かび上がる虹色の紋章は、不思議な色彩を放っている。


 その根元に鎮座する、大きなファビュラスベート。黄金の羽毛を持つ、大きなフクロウのような姿をしたファビュラスベートは、美しい女性の頭を持っており、固く閉ざされていたその目がゆっくりと開かれた。


「……オフィーリア……」


 ディティが三匹の背中から降りながら呟いて、ファビュラスベートを見つめた。


「……珍しい。ここに魔法使いが来るなんて」


 ファビュラスベートは微笑みを浮かべながら、ディティに声をかけてきた。動くたびに、金色の羽が光を反射して輝いた。


「私は世界の調律者トゥナー。世界の均衡を保ち、見守り続ける者。あなたは?」


「……僕はディティエール・ヴァン・レモンド。世界の管理人アドミニストレーターです」


「アドミニストレーター……そう。あなたがここに来たということは、何かがあったということ?」


「ええ。ファミーヌが目覚めてしまいました」


「ファミーヌ……?」


「あなたが愛し、愛された者。悲しみに溺れ、堕ちてしまった者。……思い出してください」


 トゥナーはゆっくりと目を閉じて、考えている様子だ。ディティはその様子を見て、少し寂しそうな顔をした。


「……オフィーリア、思い出して。あなたの大切な者を。あなたがその身を犠牲にしても、守りたかったものを……」


「……」


 トゥナーが目を開き、ディティの姿が美しいライトグリーンの瞳に移り込んだ。


「……ファミーヌ……いいえ。あの子はそんな名前じゃない。あの子は優しい子だった。そして、美しい子だった。裏切られ、傷つき、悲しみに溺れてしまった、可哀そうな子。そう……そう。目を覚ましたの。そう……」


 トゥナーが大きく羽を広げ、自分の後ろにある大樹を見つめた。その目は寂しげで、儚げだ。


「トゥナー。ファミーヌを止めるため、召喚に応じてください。あなたをここから人間界に呼び出します」


「ええ。トゥナーという名のもとに、アドミニストレーターの呼びかけに応じましょう」


 トゥナーがそう言うと、ディティの身体が光に包まれた。ディティが驚いて目を見開き、トゥナーを見つめる。


「私はトゥナー、世界の調律者。世界が常闇に飲まれる前に。あなたのことを信じています」


 トゥナーが微笑むと、ディティの身体は光に包まれ、大樹に向かって飛んでいくと、その姿が消えた。大樹が光り輝き、それを見つめたトゥナーは、悲しそうに微笑む。


「大きくなったね、ディティ……」


 トゥナーのつぶやきはディティの耳には届かず、トゥナーは微笑みながら羽で自分の身体を包み込んだ。


    ◇


 黒く染まったパリの上空で、息を切らせたケインがファミーヌを睨みつけていた。出現していたはずの魔法陣の数は大幅に減り、ケインの顔色は悪い。


「キャアアアアッ‼」


 ファミーヌが悲鳴に近い鳴き声を上げ、ファミーヌを取り囲んでいた魔法陣がはじけ飛び、頭に鋭い痛みが走ってケインが頭を押さえる。


 その瞬間、ファミーヌが鳴き声を上げながらケインに向かって来ると、大きな羽を振り上げて、ケインを弾き飛ばした。ケインの身体が吹き飛んでいく。


 ケインが体勢を持ち直し、前を向くと、目の前にファミーヌが迫っていた。ファミーヌの不気味な白い仮面の顔がすぐそばにあり、とめどなく流れる黒い涙は悲しみの色に染まっていた。


 ケインが顔を歪め、くるであろう衝撃に耐えようと身構えた。


「ワオオオン‼」


 不意に狼の遠吠えが聞こえ、ケインの目の前にロイ、ロト、ロキが現れた。三匹は前足を振り上げ、鋭い爪でファミーヌを攻撃して、ファミーヌが悲鳴を上げながら後退った。三匹はケインを守るように立ちはだかり、低いうなり声を出してファミーヌを睨みつけている。


「うわああ‼」


 聞こえてきた悲鳴にポカンとしていたケインが空を見上げると、闇に染まっていた空に亀裂が入り、ディティが落ちてきた。三匹が落下するディティのもとに素早く近づいていくと、背中に乗せて、再びケインの前に立ちふさがった。


「ケイン‼」


「……遅いじゃないか」


「ソフィーは⁈」


「ソフィーさんはファントムパラディの崩壊をくい止めている……が、もう持ちそうにない。そして、僕もファミーヌを止めるのは限界だ」


 そう言うとケインの身体から力が抜け、ケインが落下していきそうになり、三匹が素早く動いて、ロイがケインの服を咥えた。


「ケイン‼」


「いいから、早くするんだ‼ ファミーヌがこっちの世界の崩壊を始めようとしている‼ 早くしないと崩れるぞ‼」


「わかってる‼」


 ディティが本を取り出し、ページを開いた。


「アドミニストレーターの権限として、ファントムパラディおよび、汝の干渉を許可する」


 ページが光り輝き、闇に染まった世界に一筋の光りが差した。


世界の調律者トゥナー‼」


 ディティの声が響き渡り、ページから放たれた光が広がって、暗い空に光り輝く大きな魔法陣が描かれた。そして、その魔法陣からトゥナーが現れ、金色の羽が暗い世界に光り輝く。ファミーヌが驚いた様子で動きを止めた。


 トゥナーはじっとファミーヌを見つめる。だが、動き止めたファミーヌはトゥナーを威嚇するように鳴き声を上げ、空に大きな亀裂が入った。


 トゥナーが悲しげな表情を浮かべる。ファミーヌは黒い涙を流しながら、黒い闇が広がる仮面の目の空洞でトゥナーを睨みつけるように見つめて、その目には憎しみしかこもっていない。


「わからない? 私だよ。あなたの友であり、家族」


 ファミーヌはトゥナーの声を遮るように大きな鳴き声を上げる。


「……そう。名前も忘れ、愛する者も忘れ、全てを憎み、悲しみに溺れた、可哀そうな子」


 トゥナーが羽を大きく広げ、上空の魔法陣が光り輝く。ファミーヌが怯えたように身構える。


「私が助けてあげるから」


 その時、光り輝く魔法陣から、目を閉じたままのマライアが現れた。


「マライア‼」


 ディティが叫んだが、マライアが目を覚ます様子はない。マライアはゆっくりと落下していって、その身体をトゥナーが大きな羽で受け止めると、二人の身体が光に包まれた。


 ケインとディティはなにもできず、ただその様子を見つめている。光に包まれたトゥナーの身体が徐々に縮んでいき、光が弱くなっていって、人の姿が浮かび上がった。


 その姿を見て、ディティが目を見開く。光の中から現れた人物は、オフィーリア本人だった。


 美しく、長い金色の髪を靡かせ、白いマントとつばの広いとんがり帽を身に着け、あたりの光りを反射して光り輝くライトグリーンの瞳がファミーヌをとらえる。美しい笑顔を浮かべ、オフィーリアは驚いた様子で動きを止めているファミーヌに向かって、ゆっくりと歩き出した。


「ずっと、ずっと忘れていた記憶。私は何者で、いったいなぜ、世界を見守り続けるのか。この姿がなんなのか。私は、大切な者を守るために、大切な者を失った」


 オフィーリアがファミーヌの目の前にたどり着き、白く細い手を差し伸べた。ファミーヌは困惑した様子で動きを止めている。


「辛かったね。苦しかったね。ずっと、ずっと、助けてあげられなくて、ごめんね」


 オフィーリアがファミーヌの顔に触れ、そっと抱き寄せる。黒い涙でオフィーリアの白い服が染まっていく。オフィーリアは柔らかい笑みを浮かべて、優しくファミーヌを撫でた。


幸福の調ボヌール


 黒い涙がピタリと止まった。


「幸せを呼ぶ虹色の鳥。心優しい、私の友。大切な家族。忘れていてごめんなさい。乱暴なやり方で、あなたを眠りにつかせてごめんなさい。あの時、私はあなたを守るため、ああするしかなかった。ごめんね」


 ファミーヌの黒い羽がボロボロと抜け始めた。抜け落ちた羽の隙間から、光が漏れだしている。


「守ってあげられなくて、ごめんね」


 ファミーヌの目から、透明の涙が流れた。黒い羽が全て抜け落ち、ファミーヌとオフィーリアが光に包まれる。


 その光は空へと伸びていき、黒い空を貫くと、世界に光が差し込む。パリで暗くなった世界に困惑していた人々が足を止め、空を見上げた。


 不意に、オフィーリアとファミーヌを包む光の中から美しい歌声が響いてきた。その歌声は世界に響き、空を覆っていた闇が消えていき、青空が見えた。


 崩壊しかけていたファントムパラディにも歌声が響き、空を覆っていた闇も晴れ、ファントムパラディの紫色の太陽が顔を出す。ソフィーが空を見上げ、安堵したように息をついた。


 光が消え、何かが空高くへと羽ばたいて、ディティがそれを目で追いかける。


 上空で、純白の羽毛に虹色の羽を持つボヌールが、美しい歌声を響かせながら羽ばたいていた。虹色に光る美しい瞳でオフィーリアを見つめ、オフィーリアが微笑んで小さく頷いたのを確認すると、飛んでいく。


 オフィーリアはその姿を見送ると、振り返り、ディティと目が合った。


「大きくなったね、ディティ」


 柔らかく微笑んだオフィーリアに、ディティが目を見開く。オフィーリアはゆっくりと歩き出してディティに近づいていき、ディティがロイ、ロト、ロキの背中から降りて、オフィーリアに駆け寄っていった。


「……オフィーリア」


「これまで、とても大変だったでしょ? ごめんね。急にとても重要な役割を任せてしまって」


 オフィーリアが寂しそうな笑顔を浮かべた。


「あなたのことを忘れてしまって、ごめんね」


 ディティの瞳から涙が流れる。オフィーリアがそっとディティの頭に手を伸ばし、優しく撫でた。


「……僕は……僕はずっと……あなたのことが……」


「うん。うん。わかってる。わかってるよ、ディティ」


 ディティの涙は止まらず、ディティはオフィーリアの顔を見ることができずに、下を向いた。


「私を、マライアを、愛してくれてありがとう」


 オフィーリアがディティの身体を抱き寄せる。いつからかオフィーリアの身長を追い越していたディティは、オフィーリアの肩に顔をうずめた。


「大好きだよ。たとえ記憶がなくてもディティのことが大好き。今までも、これからも」


 オフィーリアの手がディティを優しく撫でる。


「だからね、泣かないで。私はまたあなたを忘れてしまうけれど、マライアは覚えてる。ずっとあなたのそばにいる」


 遠くからボヌールが戻って来て、歌声が聞こえ始めた。オフィーリアがディティから離れて、ディティは悲しそうな顔をした。


「私はこの世界を、ファビュラスベートたちを守りたい。二度と、こんな悲劇を生み出さないために、世界を見守り続ける者が必要なの」


 ボヌールがオフィーリアに近づいて、オフィーリアの頬に頬ずりをした。オフィーリアが嬉しそうに微笑み、ボヌールを撫でた。


「ディティ、大好きだよ。さようなら」


「オフィーリア‼」


 ディティが叫び手を伸ばしたが、オフィーリアの身体が光に包まれると、光は二つに分かれ、光の玉の一つがディティに近づいて来ると、光は形を作り上げてマライアの姿に変わった。ディティが慌ててマライアを受け止めて前を見ると、光の玉の一つはトゥナーに姿を変え、ディティに向かって微笑むと、ボヌールと共に空高くへと羽ばたいていき、光に包まれて消えていった。


「……ディティ?」


「⁈」


 ディティに抱きしめられたマライアが不思議そうにディティを見つめている。その声はオフィーリアの声とほぼ変わらず、ディティが悲しそうな顔をした。


「どうして泣いてるの?」


「……何でもないよ」


 ディティが涙を拭い、マライアを強く抱きしめた。マライアが驚いた顔をする。


「よかったぁ~! マライアが無事で! 絶対幸せにするからね~!」


「……離して。離して!」


 ディティに撫でまわされ、髪をぐちゃぐちゃにされたマライアが不満そうに言ったが、ディティを突き放そうとはせず、ディティは嬉しそうに笑った。


「私のこと忘れてるんじゃなくて?」


 不意にソフィーが姿を現し、あきれたような表情を浮かべて腕を組んだ。


「ソフィー‼ 大丈夫⁉」


「大丈夫だと思う? もう魔力すっからかんよ。しばらく寝込みそうだわ。まぁ、ファントムパラディの崩壊は防いだから安心しなさいよ。借りは返してもらうから、覚悟しておきなさい」


 ソフィーがフンと鼻を鳴らしながらそっぽを向き、ロイ、ロト、ロキの背中に乗せられてぐったりしているケインの方へと向かっていった。ケインがソフィーに気が付き、顔を上げる。


「ソフィーさん……」


「頑張ったじゃない。上出来よ、ケイン。見直したわ」


「本当ですか⁈」


 ケインが目を輝かせてソフィーを見つめた。


「それでは、僕の妻に——」


「それとこれとは話が別」


 ソフィーが呆れたようにため息をつき、ふっと笑った。


「……まぁ、少しぐらい考えてもいいかもね。百年ぐらい早いけど」


「え?」


「なんでもない。あ~、疲れた。ほら、早く帰りましょ」


 ソフィーが三匹の頭を撫でながら微笑んだ。マライアはなにが起こっていたのかわからず、不思議そうな顔をしているが、ディティが嬉しそうに笑っているのを見て、何も言わずにディティに抱きしめられていた。


 不意にプティとミミが空から降りてきて、嬉しそうにディティとマライアの頭上で数回旋回すると、プティはディティの耳飾りに戻り、ミミはマライアの耳飾りに戻った。


「さぁ、帰ろう。マライア」


 ディティの言葉にマライアが頷き、フランス、パリの上空から、三人の魔法使いとファビュラスベートたちの姿が消える。


 眼下に広がるパリの街並みを歩いていく人々は、唐突に暗くなり、明るくなった空に首を傾げつつ、なにも知らないままいつも通りの生活を送り始めた。


 世界が崩壊する危機に陥っていたなど露程にも思わない。人々の耳に届いたのは、微かに聞こえたボヌールの美しい歌声だけだった。


    ◇


「そうして、二つの世界に平和が訪れたのでした」


 ファントムパラディの小さな小屋の中で、椅子に座り、膝の上に小さな女の子を乗せた美しい女性が、女の子の頭を撫でながら物語の結末を言った。


 女性は肩よりも長い、美しい金色の髪と、美しく輝くライトグリーンの瞳を持っている。膝の上の女の子は、少し癖のある白髪を肩に付くぐらいまで伸ばし、女性と同じ色の瞳を持っていた。


「トゥナーとボヌールはどうなったの?」


 女の子が問いかける。女性は女の子の頭を撫でながら微笑んだ。


「そうだねぇ。二人で幸せに暮らしているんじゃないかな。ボヌールは幸せを呼ぶファビュラスベートだからね」


「二人が幸せだといいね!」


「そうだね」


「お二人さ~ん!」


 聞こえてきた声に、女の子が「パパ!」と叫びながら女性の膝から降り、声が聞こえてきた方へと走っていった。小屋の入口の前には、癖のある白髪に、紺色の瞳を持つ男が立っており、女の子は男に飛びついて「うわあ⁉」と男が情けない声を出しながら、女の子を受け止めきれずに倒れる。


「お帰り、ディティ」


「た、ただいま、マライア……」


「パパ! あのね! ママが面白い話をしてくれたんだよ!」


「うん、そうか~。とりあえず、パパから降りようか~? 我が娘よ~。パパの腹が抉れてるんだぁ~?」


「いやー‼」


「いや~?」


 ディティが「よいしょっ」と言いながら身体を起こし、女の子を抱きかかえながら立ち上がる。マライアが近づいてきて、ディティの頭についていた葉っぱを取った。


「どこに行ってきたの?」


「吹き飛ばされたサークシャの回収」


「なるほどね。あぁ、そうだ。ソフィーさんから子供を連れてくるって連絡があったよ」


「本当⁈」


 女の子が目を輝かせ、マライアがクスッと笑った。ディティは顔をしかめる。


「あの化け物みたいな双子にまた襲われるのか……厄介なのが結ばれたもんだよ」


「ケインさん、頑張ったもんね」


「ソフィーをおとすなんてたいしたもんだよ。まあ、本当に厄介なのが生まれてしまったけど……」


「いっしょに遊べる?」


「遊べるよ」


「やったー‼」


 女の子が不意にディティの腕の中から降りると、小屋の奥へと走っていった。


「うちの子も元気が有り余っていらっしゃる……」


「あ、ソフィーさん来た」


「うええ⁈ 早い、早い‼ ちょっと待ってよ‼」


「早くおいでよー」


「はーい‼」


 ディティが慌てた様子で小屋から飛び出し、娘に向かって声をかけたマライアも小屋から外に出ていく。小屋の窓からは二人の魔法使いと、双子の男の子と女の子の姿が見えた。


 女の子は小屋の奥の自室に入り、ベッドの下から箱を引っ張り出すと、中からスケッチブックを取り出した。パラパラとページをめくり、スケッチブックに書かれた様々なファビュラスベートの可愛らしい絵が見える。


 女の子はスケッチブックを抱きかかえ、小屋の扉を開けようとして、何かに気が付いて振り返った。


 女の子は人差し指を唇に当て「シーッ」とこちらに向かって父親に似た不敵な笑みを浮かべると、扉を開けて外に飛び出していった。


    ◇


 ファミーヌ『堕ちし者』

 黒い羽毛と大きな羽、禍々しい飾り羽を持つ、孔雀のような姿をしたファビュラスベート。白い仮面のような顔を持ち、両目からとめどなく黒い涙を流す。災厄級の化け物。愛に飢え、闇に堕ちし者。かつてはオフィーリアに仕えた、人間が大好きなファビュラスベートだったが、人間に裏切られ、首を斬り落とされたことから憎悪に飲まれてしまった。すべてを憎み、世界を壊滅させるほどの力を持つが、不死身であるため封印する以外に方法はない。


 ボヌール『幸せの調』

 かつてのファミーヌ。純白の羽毛に虹色の羽と瞳を持つ、美しいファビュラスベート。その姿を見ただけで幸せが訪れると言われ、虹色の羽を一枚でも持っていればその者に永遠の幸をもたらすと言われている。すべての者に友好的であり、慈悲深く、心優しいファビュラスベート。その歌声は美しく、世界に平和をもたらす。


 トゥナー『世界の調律者』

 美しい女性の顔に、金色の羽毛と翼を持つファビュラスベート。人間界とファントムパラディの干渉を防ぐため、世界を調律する者。狭間の大樹アルブル・モンドに鎮座しており、二つの世界を見守り続けている。元はオフィーリアという美しい魔女であり、オフィーリアが世界を二つに分ける際、人間の姿を捨て、魂を半分にわけたことで生まれたファビュラスベート。

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ファビュラスベートビブリオテーク 柚里カオリ @yuzusatokaori

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