Rap star
xo
第1話 Rap star
「ジリリリッッ!」
スマホの目覚まし時計が、朝の6時半にしつこく鳴った。
ゆっくりとベッドから降りて、机に向かう。
まだ、目が覚めたばかりでボーとしてしまう。そんな中、昨日何時に寝たかを
ふと考えると、まぶたが重くなり机におでこを強打した。
「痛って」
思わず声が出てしまった。
筆箱からシャーペンを取り出し、「リリックノート」に昨日書いたことを見返して、「だめだな」と思った部分を消して書き直す。2行文くらい。
ハッと思い出したように、ベッドにスマホを取りにいって開いた。
まぶしい光が顔に当たる。
スマホには大量の通知「それ」に関するものがあった。
「かっけえなあ、なんでこんなかっけえんだろ。マジで。服かー?靴?ジュエリー?分からんなあー。とにかくかっこいいわ。」
ブツブツ1人で喋りながら部屋を出て、風呂場に向かった。
風呂場近くにある、引き出しからほぼ黒に近い赤色のパーカーとタンクトップ、ダボダボのジーンズを出して、右手に持ちながら引きずって歩いた。
左手では、今朝の通知の処理を行う。
ある通知を見て足が止まった。通知の内容は、
『ラッパーKing Man 麻薬中毒で死去。享年30』
と書いてあった。
「は?え?ガチ?は?」
驚きで動揺が隠せなかった。
ラッパーKingManは1990年東京生まれ、神奈川育ち。略してKM(ケム)
180cmの身長と少なすぎず多すぎないジュエリー達。右耳にカバランチの1つ20万円のダイヤモンドピアス。右腕には、300万円のリング。
左手に2000万円のモレックスの時計。
首には、細いドンドドンキの2000円のネックレスと色々凄い。
SouTubeのあるチャンネルでは、「2000円のネックレスは初めて自分で買ったものだから、共にスターになる。」と語っていた。
さらに、最近にはテレビや個人のSouTubeチャンネル、ラジオ番組など、とても幅広い層から人気で、pikpokでは曲がダンスに大ハマリしたりなど。知らない人はこの世に居ないのではないかと言うレベルの人気度を博している。
さらに、人柄はとても良く、タトゥーなどは一切入ってない。個人チャンネルでは、ホームレスに5万ずつ500人近くに配るなど、頭がおかしい。しかし、そういうところが面白いとSouTubeでは、人気である。
そんな次世代アーティストが亡くなったのである。
「は?マジで分からん。あのKMが?」
そう思っているのは、オレだけじゃない。世界中が思ってる。
とにかく、急いで風呂に入り、リビングで朝食を作りつつ、飼っているペットに飯をあげて、自分も朝飯を食べる。
「もう無理や。生きていけん。」
ブツブツ言いながら、家を出てスマホを見ると時間は15分いつもより早く家を出ていた。
「まあ、いいや…。」
あからさまに悲しい顔をしていると自分でも分かる。
いつも誰もいない寂しい住宅街をいつもより寂しく感じながら歩く。
「あー。死にてえ。無理かも。やめようかな『ラップ』。」
すると、後ろから女の声が聞こえた。
「何言ってんの?」
振り向きながら言う。
「あ?」
「何言ってんのって。おはよ、奏ちゃん。」
彼女は、同じクラスで隣の席で中学から一緒の古賀鈴(こが りん)だ。
とても人柄がよく、嫌いな人がいないとオレは思う。頭も良くて、運動は出来ないっけな、確か。ワンスタグラムは10万人フォロワーがいてモデルをやっている。
普通にかわいい。でも、オレはタイプじゃない。いやマジで。
「なんだよ。お前さ知らねえの?」
「何が?」
「KM死んだんだよ。麻薬で」
「え?マジ??あのラッパーさん?」
「そう。マジで終わり。」
「えー。麻薬で?そんな感じじゃなかったよね?」
「そうだよ。」
そうだ。なんで麻薬中毒なんだよ。あのKMがだぞ!?っとオレの頭はごちゃごちゃになっていた。
そうこうすると、学校に着き、教室に入るとみんなが楽しそうに朝の時間を過ごしていた。
「オレは朝からこんなんなのに。」
というと鈴が言う。
「みんなさ。流すんだよね。私も知らなかった。結局過ぎた話はしない。」
こう言う鈴に奏歌が言う。
「だよな。結局その業界しか盛り上がらないのか。hiphop業界はまだまだということか。ふざけんじゃねえよ。」
鈴はささくさと、席に着いていた。
4時間目までの授業が終わり昼飯時になると、2組のアイツが来る。しかし、
「あれ?あいつ休みか?」
隣の教室に行くと大村純平が机にくっついていた。
「おい、純平。起きろ飯食うぞ。おい。起きろって。」
うーとか言ってるけど全く起きない。
「コイツおかしいな。いつもは自分から来るのに。ん?」
純平のスマホになにやら記事があった。KMについてだった。
『ラッパーKingMan麻薬中毒ではない可能性』
という記事だった。
「は?どゆこと?」
純平には申し訳ないが、スライドして見ることにした。
『麻薬中毒の反応は出たものの、体にいくつかの掴んだ跡よようなものがあり、無理やり飲まされた可能性』
と、書いてあった。
サイトの名前を調べたところ、この世には無さそうなものだった。
そうしていると純平が起きる。
「あん?ん?あ!!見たのか!?」
答える。
「ん?ま、まあな。見ちゃいけないやつ?もしかして。」
純平が言う。
「まあ、いいけど。」
「いいんかい。」
「とにかくやばくね?この記事。マジですげえわ。裏のサイトみたいので見つけた。」
「え?大丈夫なやつ?それ。」
「いや。」
「?」
純平が言う。
「とにかくさ、学校の連中は話が通じん。気持ちか。だから今日クラブ行くぞ。みんなに話して色々情報を聞くしかねえ。」
純平の探偵スキルが研ぎ澄まされているみたいだ。
そういえば、純平は共に『ラップ』をやっているオレの専属DJだ。母親は幼い頃に無くしたが、父親は昔DJをやっていたらしく、
名前が大村 純平(おおむらじゅんぺい)の読み方を変えて頭文字を取ると、
だいむらじゅんぺい。だからDJという意味で付けたらしい。
実際になってるからすごい。
答える。
「もちろん、行こうぜ。」
俺の名前は、皆川奏歌(みながわ そうた)ラッパーだ。
ラッパー名は『LKM』意味は『リトルキングマン』だ。
オレがKMの後を継ぐ。
第一話 Rap star 完
Rap star xo @karasu66
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Rap starの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます