関連詩(おまけ)
*『仰ぐ月に紅を残して』
時にまどろみながら 永い夜を渡り歩く
留まることも振り返ることもせずに 人間の流れの中を進んでいく
どこからきて どこへゆくのかと 月に問えど
降り注ぐ光のなかに答えは見つからず
地に流れていく赤に月を映して 踏みにじる
はじけた雫は 闇へと溶けた
奇麗な夜に 一輪の赤い花が咲いて
この場所から どこへゆくのかと 花に聞いた
ふたりならばどこへでも 夜が明けるその瞬間まで
時を数えることも忘れて 終わりを探して夜を歩く
咲き誇ってはまたたく間に消えていく 人間の営みを追い越して
風になびいた その髪を照らす光に 永遠を見る
答えは見つからずとも今のままでもいいと
指先に触れる赤を掌で包みこんで くちづける
零れた言葉は 夜へと消えた
この身の赤と その身の赤と
仰ぐ月に紅を残して
*『揺蕩う月を紅で満たして』
始まりの夜を渡り 人波から遠く離れる
昇っては沈みゆく月のように 現世をさまよう
こちら側から あちら側へ 月に誘われども
我が身の赤に惑いがゆらめく
見上げた月に面影を映して 囁く
音無き声は 誰が為か
月明りに照らされた 名もなき宵に
零れた言葉は問いかける 魂の価値を
花は凛と答える ふたりの紅を選んだと
時の移ろいを感じながら 見果てぬ夢を歩く
寄り添い合う月花が紡ぐ 誰も知らない物語
傍らの彩に 久遠であれと 瞳を委ねる
出会いが運命の選択ならば果てまで共に
始まりの零から夢幻の零へ とどけたい
ふたりの影は 夜へと溶けた
お前の赤と あなたの赤で
揺蕩う月を紅で満たして
*『月紅と戯れる』
天に憩いて
地に咲いて
時間を渡り歩き
心は黄昏時に
永劫 ぐるぐるりと移ろう
日に逆らいて
月の下で華やぎ
忘れ形見と共に生きる
紅玉に黒を捧げて夜の中へ
何処へと 尋ねた問いは闇から響く
何処でも 答えた声は月へと昇る
額縁の中に切り取られた時間より
変わらぬ姿で傍にいられること
共に在れること 今はもう虚ろではない
振り返る刹那は永遠に愛しい
幾年が経とうとも 如何様にも世界が変わろうとも
月の下の約束は色褪せることがなく
月は秘めやかに歩み続ける
紅は静かに寄り添い続ける
『あなたとならどこへなりとも』
『お前とならばどうなろうとも』
終わり
仰ぐ月に紅を映して 紫宮月音 @violaceus
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