~それは人間関係ではない~

※「人格障碍者にタゲられた!」の1話目読了後推奨ですが、このページだけでも読めます。



 2023年3月、福岡五歳児餓死事件の赤堀被告に判決がでました。懲役十五年。

 犠牲となった五歳児の母親である碇受刑者については懲役五年です。

 家族仲良く暮らしていた碇家に、ママ友という関係から乗り込んでいった赤堀の支配的マインド・コントロールに有責をみとめた地裁判決が高裁でも支持されました。

 

 赤堀被告は「救済者」として碇家に君臨し、それまで平穏に暮らしていた一家を破滅させていきました。

 わが子を結果的に餓死においこんでしまった碇利恵受刑者の側にも母親としての責任と「人の言葉に踊らされやすい」などの軽度の障害があるのでしょうが、事件の経緯はパーソナリティー障碍者が得意とする、人間関係の分断と破壊と支配、搾取の王道パターンでした。


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 人間関係の間に割り込んできて、「ここだけの話」で狙ったターゲット(タゲ)を悪評で沈め、周囲と分断させる。

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 自己愛はタゲを孤立させる必要から、必ずターゲットの周囲の人間に裏から声をかけていきます。

 えーでもそれって悪口でしょ?

 そんなの、たとえ「あの人には気を付けて」と耳打ちしてきても騙されないよ。 

 多分そう思いますよね。


 ところが体感的には98%くらいの人は易々と洗脳されています。

 赤堀被告のように人間関係を反目させ、かき回すことで自己愛は人をコントロールしやすい自分優位の立ち位置を作るのですが、耳打ちされるのは分かりやすい悪口と決まったわけではありません。

 パーソナリティー障碍者は人心を操るプロなのです。


 

 誰が自己愛に洗脳されたか。被害者側からはすぐに分かります。

 その人たちはそれまで見せなかった独特の言動を取り始めるからです。

 人と人

 これが、

 人=自己愛=人

 に変わります。

 間に割り込んだ自己愛が常に介在し、「ああしろこうしろ」と命令を発したり、人付き合いを監視することになります。


 人=(自己愛と自己愛パーティーの構成員)


 この構図になればターゲット包囲網は完了です。人間関係は切れます。すると自己愛は洗脳済メンバーの肩を親切そうに抱いて云います。

「あなたも問題児のターゲットに巻き込まれて、関係を切られたのね」

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 クラスに一人はいると云われている自己愛性人格障碍者。「ここだけの話」を耳打ちされた時には、

「直接、本人に確認するね!」

 と強い声で言ってみて下さい。

 自己愛は「そんな大げさな話ではない」「タゲが過剰反応して発狂するかもしれないじゃんw」などと、大慌てで、直接会うことを妨害して阻止してくるはずです。

 コントロールしやすくする為の「嘘」だからです。

 嘘をつけばつくほど自己愛は、

「ターゲットは嘘をつく」

「わたしは正直者」

「嘘はいけないことだよね!」

 と云い始めますから、罪のなすりつけ役にされる被害者の眼にはとても分かりやすいです。


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 自己愛はひじょうに肥大した自己愛をもつからこそ「自己愛性人格障碍」と呼ばれるのですが、この自己愛は普通の人たちの持つ自己愛(自分を大切にする)とはまったく性質が違います。

 【宗教の教祖】のようなものだと捉えると、分かりやすいかもしれません。


 教祖というのは【神】です。

 一度支配下に置くと決めたターゲットが自分の知らないところで誰かと友達になったり認められたり、ましてや神よりも幸せになったり成功することは、【神】を脅かす行為にあたります。

 自己愛は怒りと不安に駆られて、全力で妨害します。

 被害者が逃げても、逃げた先に自己愛が乗り込んできて、

「ここはあたしが仕切る、あたしが主役よ!!」

 大立ち回りするのもそのせいです。



 人の人生を潰すことは悪業です。しかし、「器の大きいこの自己愛さまは常に完璧で広い視野と人徳を有し人の上に立つ優れた存在だ」と自認している自己愛は自己イメージの中に【悪】はないという前提になっています。

 そこで、自己愛はねじれた行動をとります。


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「ターゲットを潰したい」(本音)

⇒この感情は【悪】


 これでは都合が悪いので、偉大な愛の神である自己愛は脳内で書き換えを行います。


「ターゲットを見守り、応援している」【美談】

⇒行動はことごとく妨害で、ターゲットの価値を下げて努力を踏みにじり印象を悪く落とす【本音】


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 自己愛はターゲットの周囲の人を根こそぎ奪っていき、「監視下にターゲットがいる」状態に整えます。

 自己愛の許にかき集められた人たちは、自己愛からタゲについてのいろんな情報・依頼・注意・先入観を受けます。

 これは、ひとりひとりが互いの立場や感情に配慮しながら時間をかけて少しずつ信頼を作り上げていく健全な人間関係とはまったく異なっています。

 自己愛のつくる人間関係はとても支配的でいびつなのです。

 ターゲットの周囲の人間を総取りして自己愛が操作し、管理する。これにより自己愛は、自身はなんの努力をしなくとも神のような優越感を得る上に、タゲの人生を奪うという強い支配感を得て陶酔します。


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 自己愛は宗教の教祖のようなものです。

 【悪】を上書きして【善】のように糊塗しながら自己愛はタゲを攻撃します。

 ターゲットが誰かと仲良くしていると間に割って入ってきますが、この時、自己愛の脳内では「タゲの成長の為に注意喚起を回してタゲに友だちを作ってあげている」という上書きを行います。

 この書き換えをやることで、自己愛はターゲットの美点や魅力を消去します。ターゲットにある良いものはすべて「偉大な自己愛のおかげ」として変換します。

「おかげ」なのですから感謝を差し出してもらわなければなりません。

 自己愛はターゲットに執拗な感謝の強要をはじめます。



 自己愛が【神】という高い位置にいるためには、ターゲットを下げなければならないのです。


 タゲられると、ターゲットは過去にいちども浴びたことのない悪評まみれにされて周囲の人たちから敬遠されていきます。

 自己愛は自分が引き受けられない汚点をすべてターゲットになすりつけ、自己愛本人の願望(世界の王さま的な内容)とも混合させて大声でしゃべり回るので、ターゲットの実像と噂の中身がとんでもなく乖離するのです。

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 そんな簡単に人は洗脳されないよ~。


 ところが、洗脳されます。

 

 ためしに宗教団体のうちで、一般的には印象の良くない宗教団体をおもい浮べて下さい。その宗教はなぜそんなにも信者を集めて支持されているのでしょうか。その宗教の教義はなんと唱えて大勢の人々を集めているでしょうか。


「自分ひとりだけの力で生きていると思うな」

「感謝が大切」

「成長して、豊かで大きな世界を知りなさい」


 そう言ってるはずです。

 これに正面から「NO」と言えるでしょうか。いいことを言っているのだからよい宗教じゃないか~と想いますか?

 NOとは言えない。言いにくい。

 そのうちに説き伏せられて入信させられ、意志を持つことを禁じられ、財産を全て奪われていくのが、悪徳宗教団体の手口なのです。

「正論」を操り、二択を突き付けるのが悪徳宗教の勧誘手口だと憶えておいて下さい。

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・正しいことを説く自己愛神の言いなりになって「成功」するか

・自己愛に背いて「不幸」になるか

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 ゼロか100かです。そこには対等な人間関係も、豊かな可能性も個人の選択も、自由な意思もありません。自己愛に従うか従わないか、支配か被支配かです。「正論」でNOを持てないように追い詰めるのです。

 この絶対正義と自己愛の「わたしは神だ」の意識はリンクしています。神である自己愛に逆らった人間には【懲罰】が下されるのが当然なので、集団リンチを煽る自己愛は罪悪感も抱きません。



「ターゲットは自分ひとりで生きていると想っている傲慢でプライドの高いやつ」


 自己愛は地域一帯に大声で吹聴します。

 そうなったら後はもう簡単です。洗脳された人びとは自己愛の操るままにターゲットを憎悪して攻撃してくれるのです。その憎しみの凄まじさはまさに宗教に入らない人間を総リンチする人たちの異常さを帯びます。


 単純なようですが、この手法でほぼ100%の人が洗脳されます。実際に北九州監禁殺人事件や尼崎事件で起こった凶悪な洗脳事件において、被害者は、それまで仲良く共に暮らしていた実の家族の手によって壮絶なリンチを受けています。

 肉親の絆よりも、自己愛の洗脳力のほうが強いのです。


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 ちょうどいい例があるのでご紹介します。

「娘が年頃になっても娘に可愛い服やブラジャーを買わない」

 これは、ひと昔前に自己愛の母親がよくやっていたテンプレの行動パターンの一つでした。と過去形なのは後で説明します。


 自己愛親は、年頃になった娘に対して「色気づくな」「この男好き」とことあるごとに罵ります。

 お前には魅力はないんだぞ、男性と親しくなることはいやらしいことなんだぞ、調子にのるな男好き、この尻軽女、と何度も言います。

「心配だから言ってるのよ」と【善】のかたちをとっています。

 娘が複数いたら、その中でもいちばん容姿がよくて真面目で頑張り屋の娘さんが自己愛のターゲットに据えられます。


 娘に「男好き」と言いながら自己愛親は、娘の周囲の男性に対して娘の悪口を吹き込みぐいぐいと割って入っていきます。

「問題児の娘が心配だから情報を共有したい」

「問題児で心を閉ざしたタゲのために尽くすあたしの方がタゲよりも魅力があって自然体のいい女でしょう?」


 娘の親しい男性とべったりすることに成功すると、自己愛親は独りぼっちになった娘のすがたをチラチラみながら嗤います。

「なんであんたは愛されないの?」


 本当に魅力があるのならばターゲットを踏み台にしなくとも愛されるはずなのですが、ターゲットにした人間から「奪い取る」ことが肝心なのです。

 相手が他の人ではだめです。友人関係もあくまでもターゲットから奪っていきます。その行為が、「やっぱりわたしの方があんなターゲットよりも魅力的で優秀だったか」と強い優越感を自己愛にもたらすからです。

 この時自己愛の脳裏では、ターゲットの頭の上に自分がいます。これが何よりも大事なのです。


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 『自己愛の母親は娘に可愛い服やブラジャーを買い与えない。』

 わたしはこれをあえて実例にあげました。

 というのも、ネットのお蔭もあり最近ではこのパターンがだんだんと自己愛親がやることとして世の中に知れ渡ってきたからです。

 すると自己愛たちは娘に服を買い与えて、「よき母親」の演出を始めるようになります。

「娘に下着を買わない親がいるんですってね。そんな不出来な親とは違いわたしはちゃんと買ってますよ」と訊かれもしないのにアピールし始めます。

「汚点のない完璧な神のポジション」

 自己愛はこのイメージに固執するので、外面はひじょうによく、世間に下着を買わない親のことがバレていると知ると、娘にしぶしぶながらも下着を買うのです。


 つまり、自己愛の行動パターンが世の中に周知されれば、ターゲットに対する自己愛の犯罪行為や、虐待的加害行動の一端を抑止できることになるのです。

 自己愛は必ずターゲットの周囲の人を取り込みにかかるのですが、その時に「これはもしや自己愛の手口では」と多くの人が知識として知るようになれば、この障害による被害者も少しは減るのではないでしょうか。

『わたしの人間関係のことでなぜあなたに指図されなければいけないのですか?』

 そう想うのが健全な精神のはずなのです。自己愛が何よりも嫌うのが、この、自己愛に洗脳されない健全な精神です。



 【タゲの人生の主役はこのあたしよ! 注目を浴びるのはこのあたしあたし!】


 福岡五歳児餓死事件の時も、園ママたちは赤堀の言動にうっすらとした違和感を持っていたはずです。でも、自己愛についての知識がないので見過ごしてしまったのです。

 碇さんと他の人たちの間に赤堀がどーんと入り込んでいて、人間関係は完全に赤堀のコントロール下におかれていました。

 不幸にして他人を信じやすかった碇さんは、夫とも離婚し、「ヤクザ関係者のママがあんたに怒ってる」との赤堀の脅しに家の中に監禁状態にされました。

 そして、「あなたのために」「助けてあげる」救済者のように振舞う赤堀の言葉だけを信じて、金銭とわが子の命を差し出してしまったのです。



 さすがにそれは特殊な事件では……と思いたくもなりますが、やり方はまったく一緒なのです。

 自己愛は「ターゲットとは親友」など、油断させる声かけで人間関係の間に割り込み、悪評を拡散するという手で狙ったターゲットを社会的に潰してきます。

 自己愛は他人の人生を潰していくこの過程に、「そこまで叩きのめすことが出来たか」という強い勝利感と陶酔感を得ているからです。


 多くの人が「これは自己愛ではないのか?」と知識を持つことが出来たら、学校や会社やママ友関係でいわれのない憎悪や暴言を浴びている人たちに、「それは裏に自己愛がいるよ」と助言することが出来る社会になるのではないでしょうか。



[了]

 

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