くまのこローラの幸福な一日

大好きなあの子との一日

ローラの一日は

ママのおかあさんの声で始まります

「みよちゃん、あさよ」


みよちゃんはローラのママです

木でできたキッチンで

プラスチックのごはんを作ってくれる

優しいママ


みよちゃんは目をごしごしこすって、

「ローラ、おはよう」

と笑ってくれます


その細まった目と とろけた声を合図に

ローラの幸福な一日が始まるのです



みよちゃんは 朝ごはんのときも

ローラを隣に置いてくれます


ローラのために用意されたちいさなイスに

ローラをちょこんと乗せて

ご飯をあーんとしてくれます


おかあさんは時々いじわるなので

「ローラにはご飯はいらないでしょ」

と言いますが

みよちゃんはローラのくちに

やわらかいご飯が乗ったスプーンを寄せてくれます


ローラのくちは糸なので

食べることはできませんが

みよちゃんの気持ちでおなかいっぱいになれることを

おかあさんはわかっていません



ご飯を食べて みよちゃんはお仕事に行かねば

なりません

「ようちえん」という場所で

工作をしたり うたをうたったり お昼寝をしたりといった 仕事があります


みよちゃんはローラも連れて行ってくれようとするけれど

おかあさんはやっぱりいじわるなので

「ローラは置いていきなさい」

と言うのです


みよちゃんは渋々 時々泣きながら

ローラをお家に置いていきます


でも ローラはがまんできます

だってみよちゃんは 絶対かえってきてくれるから


「ローラ すぐかえってくるからね」


その言葉だけで ローラはうれしいのです



みよちゃんは夜におかあさんと帰ってきて

ローラと遊んでくれます


ローラはつよがったけど やっぱり一匹でいるのは 寂しかったので

みよちゃんがプラスチックのご飯を作ってくれることが たまらなくうれしいです


おかあさんの作ったご飯より

みよちゃんが作ってくれるご飯の方が好き


ローラはやっぱり食べられないご飯でも

みよちゃんが作ったご飯の方が好きでした



みよちゃんはママだけど まだ赤ちゃんだから

夜は早く寝ないと大きくなれません

ローラを先にお布団に入れてくれて

隣にみよちゃんが寝転がります


おかあさんがみよちゃんの隣りに寝て

絵本を読んでくれます

みよちゃんはローラが見やすいように

ローラをきゅっと抱き寄せてくれます


冷たい布団があたたかくなる瞬間が

ローラは大好きでした



みよちゃんはローラより早く寝てしまいます

おかあさんはこっそり部屋を出ます


ローラがほんとうに大好きな瞬間は

このあと


みよちゃんは寝相がよくないので

お布団も 時々ローラも吹き飛ばします


ローラはむくりと起き上がって

しかたないわね とお布団を掛けてあげるのです

ぽんぽんと綿の入った手で みよちゃんを撫でます


そしてまたみよちゃんの横にぽてんと転がります


こうして ローラの幸福な一日は幕を閉じます

明日もきっと みよちゃんはローラを大事にしてくれるから ローラもみよちゃんを大事にして

そして幸せな一日となるのです

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おとぎばなし 明星浪漫 @hanachiri

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