第15話
僕はこの1週間ほど休むことにした。
流石に体力魔力共に使い果たして少し動く気にもなれなかった。
どうもここは過ごしやすい。空気中に含まれる魔力量が他の場所に比べ比較的多いように感じる。
「アイナ。ここで少し休息することにするよ。ここ最近移動しっぱなしだったから少し休憩しよう。幸いここの空気は魔力が多い。我々エルフにとっては過ごしやすい。」
「分かりました。アルト様。では、どこか見に行きましょう!」
僕は少し気になることがあったので、アイナとその原因がありそうなところに赴くことにした。
「多分、この辺のはずなのだが。」
僕は、魔力の流れの根源の方向に向かって足を動かしその中心がありそうなところについた。しかし、そこには何も無かった。
「一体どう言うことだ。」
何もない。そう見える。しかし、この一帯が発生源であることは確かなのだ。
僕は一旦この場を後にすることにした。気になるので少し情報を集めることにした。
まずは、この街にある冒険者組合に出向くことにした。
受付嬢に話を聞いてみたところ。
「それは、昔ここで実験があったみたいでその名残だそうです。今の所危険はないと言うことでそのままにしてあるそうです。」
とのことだった。
一体何があったんだ。僕は、アイナにもう一度調べるといい残し、彼女は宿を取りに向かった。
この3日間で分かったことはここで昔魔力の生成実験があったことがわかった。
どうやらその際に事故が起きて現在ではこのように無から生成しているようだ。それがこのように残ってしまっていると言うことだ。そして本当にこの形を維持しているところが消滅するまで生成を続けるみたいだ。
これでは1週間と言ったが、流石に1週間では足りないくらい必要になる。
僕はこの時この発生の原理が知りたいと考えていた。
「お主、悩んでおるな。」
振り返るとそこには、人間の老人が立っていた。
「お主、ここが何か知りたがっておるな。」
老人はついて来いというジェスチャーを取った。
僕は直感を信じて老人の後に続いた。
少し歩き大通りを出てまっすぐと進み細い小道を歩きまた大通りを出た。
明らかに遠回りをしていることに気づいたがなにも言わずに後に続いた。
程よく散歩気分になり気分よくしていると間もなく目的地についたようだ。
そこは、この町で一番大きい教会だった。
「ここから入るぞ。」
そう言われて案内されたのは、裏門だった。
「おかえりなさいませ。」
「ただいま。」
「そちらは?」
「客人じゃ。少し、話をするだけなので大丈夫じゃよ。
その人は下がっていった。
「こっちじゃ。」
その老人は先に行って待っていた。
「ここは、わしの書斎じゃよ。少し、まっておれ。」
その老人は何かを探し始めた。
ぼくは、この部屋を一周した。
一見すると普通の書斎にしか見えないが、やはり宗教色が強い。
「あった。」
老人は鍵をさがしていたようだ。
「さて、ついてまいれ。」
老人は、書斎を出てまたどこかに連れていくようだ。
部屋を出て連れてこられたのは、ただの物置のような場所だった。
おもむろに老人は床にある鍵穴に鍵を入れ蓋を開けた。
階段が現れ明らかに秘密基地の入り口という感じであった。
階段を降り、老人が明かりをつけるとそこには見たことのないものがあった。
「君に見せたかったものは、これじゃよ。」
老人は椅子に腰かけるとゆっくりと見てくれと言わんばかりにくつろぎ始めた。
私は、一時間ほどでやっとのこと理解できた。
ここは、彼が集めた資料と実験と推測の塊だった。
「これは!」
彼が人生をかけて蓄積した、あそこの魔力量の計測結果と考えられる理論の推測だった。
「私は、そこまでだった。それは、君に託すよ。」
ここを自由に使っていいとのことだった。そう、老人は僕に話すとこの部屋を出ていった。
僕は、あらかたの資料をまとめアイナに合うことにした。
「アルト様!」
幸先のいいことだ。当人がこっちに来るではないか。
「ちょうどいいところに来た!アイナに用があったんだよ!」
「そんなことより大変です!宿泊していたところに教会の異端審問官が来まして、アルト様を探しているようでした。」
私は、なにかしたのか。確かに、さっき教会に入ったが悪さしていたわけでもないし。
「とりあえずアイナ。逃げよう!」
「分かりました!」
僕とアイナは逃げるようにして、この町を離れた。
境界の観測者 やーしん @ToukaRay
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