第43話 友と共にご馳走様

 私の名前は沈み、黄昏と共に宿に戻ると、みんなは夕食を眺めながら、私を待っていた。


「先に食べてても、よかったのに」

「一人、寂しく食事をする辛さは……いえ、皆で食べる食事は楽しい。だからエルナを待ってたんですよ!」

「師匠を待たせるなんて、ほんと不躾ぶしつけ

「妾も…………もぐもぐ」


「ラミアは待たずして、食ってるし」

「ラミア様はいいの、あ、口拭きありますよ!」


「私にも、優しくしてよ。その見た目で一千歳とかしてたら、性格丸くなってもいいと思うんだけど」


「そんなに年取ってないし!! まだ23歳よ! ぴっちぴち!」

「だいぶ、年上だった」

「エルナは何歳なのよ」

「7歳……」

「天使の七歳なんてまだ抱っこされてる赤ちゃん以下じゃん! ぷぷぷ」

「今なら、勝てそうなきがするなぁ、赤ん坊に負ける準備はできてる?」

「喧嘩しない! 毎回毎回。いい加減に!」

「チッ。いただきます」


 いつもクリスタは、仲裁してくれる。ラズリやラピスがいたお陰か。私は長女だったけど、妹が喧嘩っ早いからいつも、殴り合ってたな。流石に成長するに連れて大人しくなった。毎回私が勝ってたし。


 昔に耽ていたら、思わずニコニコと笑っていた。

 満腹になったら、自室に戻り、就寝の時間。各々好きな体勢で夢をみる。









「……エル……ナ、起きて、エルナ! ケモット村に着いたよ」



「んん、あぁ、行くか」

 

「ようこそいらっしゃいました、辺ぴな田舎ケモット村へ!」


 ピンクの兎と水色の獣人が歓迎をしてくれた。いつもなら、武器を構えられたりするのに。



「うちの名は、『デアリンガー・ホールド』と申します。此方は『デオ・チェルノベロ・ボーク』旅の方、おつかれでしょう、宿はこちらにあります! いきましょ、デオ」




 宿に連れていかれていると、仮面を被った子供達がいる。


「あれは、奇形治療の仮面です。触れたりしないであげてくださいね!」


「そう」

 ピンクの兎に、案内され宿に着き、食事と清掃は自分等でやるか、任せるか、選べたので、食事だけ任せることにした。部屋に入り少しばかりゆっくりした後、村を巡回した。


 畑を耕すケモット村のおばあちゃん、それを手伝う、息子と孫、風流である。


 そんな風景を見ていると、子供が野菜を持って私に近寄ってきた。


「これ、美味しい……から、食べて」


「うん、ありがとうね!」


 野菜を渡した子はまた、畑に働きに帰って行った。渡されたのは、胡瓜に酷似した野菜、味は少しの苦味と水々しいだけ。


 そして、私の名前は沈み、黄昏と共に宿に戻ると、みんなは夕食を食べながら、談笑していた。


 私をクリスタは出迎え、席に座らせた。おそーいと発言するガーリン、ラミアは食べ終わって、部屋に戻っていた。


 話しながら、時間が過ぎ、私らも満腹になり、皿などを片付けて、部屋に行く。


 ベッドに寝付いた。夢の中でトイレが現れ危うく漏らしかけた。急いでベッドから起き上がり、現実のトイレへ駆け込む。尿意から解放され、台所の前を通ると、齧り付く音が聞こえた。誰かが夜食を食べているのかと思い見に行った。

 丁度、小腹も空いてきていた。


「何食べてるの」






「君の……





 台に隠れていたのは、あのデオと呼ばれていた獣人。中途半端に、骨までしゃぶられた、クリスタの姿が目に映る。

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