第42話 かわいいかわいい、ぴんくの兎

「ようこそいらっしゃいました、辺ぴな田舎ケモット村へ!」


 私がおりてきて、騒いだり、武器を構えられたりされたが、最初から歓迎されたのは、初めてだ。


「うちの名は、『デアリンガー・ホールド』と申します。此方は『デオ・チェルノベロ・ボーク』旅の方、おつかれでしょう、宿はこちらにあります! いきましょ、デオ」


 ブドウの髪飾り、リンゴとバナナを手に持ち咀嚼している。数回もぐもぐし、飲み込み、返事をした。


 首を左右に振り、村を見ていると獣の顔、体、人間特有の二足歩行、だけど仮面を被っている人がいる。その人らを見入ってしまう。


「珍しいですよね。私たちは、子供の頃は動物で、時間が立つほどに、獣人になるんです。仮面をつけているのは、成長の途中で奇形になってしまう子がいるので、治療と奇形を見られたくない子がいるからつけているんです」


「そう……か……」

「悲観するものでは、ありません。あの子らは今を耐え、治療に励んでいます。後遺症はあれど、奇形は治りますから」


 見世物ではないし、じろじろ見るのは失礼だと、目を逸らすが、中にはおしゃれで、つけていそうな子もいる。



「ここです! 一泊50銅貨500円になります!」


「ほう、他の村より、安いけど、手入れが行き届いてる」


「お食事や清掃は各自で行って頂いて、もし、必要なら、仰ってください。相応の値段でやらせていただきますので」


「どうする? いる?」

「お食事だけ、お願いしましょう! 私も疲れて、お料理できそうにないので」

「あたいは、料理できないから、召使がしてたし」

「食事だけ、お願いします」


「畏まりました。お食事は朝、昼の2回で1銀貨1000円です」


 四人二部屋の料金を支払い、クリスタ、エルナとガーリン、ラミアと別れる。


 その後、村を巡回し、この村に住む人達とも話した。ちびっ子と話している感覚だけど、私より年上が多い。ドワーフ族なら髭が生えたり老いを見て取れるが、それでも若かったりする。この世界は見た目で年齢を判断できない。

 

「平和やぁ、なんだか、デジャブだけど、田舎っ子だったからかな」


 畑を耕すケモット村のおばあちゃん、それを手伝う、息子と孫、風流である。


 そんな風景を見ていると、子供が野菜を持って私に近寄ってきた。


「これ、美味しい……から、食べて」


「うん、ありがとうね!」


 野菜を渡した子はまた、畑に働きに帰って行った。トマトを細長くした形の野菜、一齧りすると、甘酸っぱい、似ているというなら、ぶどうの味がする。


「うま、」

 

 また、その子と目が合い、手を振り畑を去った。

 この世界の果物や野菜は新鮮で食事も美味しい。大概、フランスやアメリカなどの洋食に似通っている物だけど。和食が恋しい小麦粉をチネチネしようか、悩むぐらい。パンの味しかしないけど……

 

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