第41話 囁くSIREN
「でも、誰がそんな悪魔の封印を……」
“わからぬが、恐らく王子だろうな。忙しなかったし、隠し事をしている様にも見えた”
「憶測で人を判断しちゃいけません!」
「一度ラミア様に負けて封印されてるんだから、どうにかなるでしょ!! ざこに興味はないから」
「ベルフェ・ゴールって事は、あの子か。生き返れたのか」
なんだか、安堵が体を休めてくれる。
赦しは請わない。あの子が私をどうしたくても。
「今からどうする? もうつては、途絶えてるけど」
「いきなり、至高の酒をくれ、なんていってくれる馬鹿は早々いないだろうし、勇者としての名も売れてないし」
「名を売るならやっぱり、冒険者になるのが1番ですけど、その間に禁酒公たちが待ってくれるはずが、ないですね……」
「あれ、詰んだ? 完かな?」
悩み混んでいると、初代でもラミアでもないまた新たな声が脳内に聞こえてきた。
[西へ……いくのでふ、いくのです……]
噛みながら。
「あぁ!!!! 次は誰ですか!? あ? 私に何人いるんですか!?」
「急にどうしたの? エルナ?」
「ついに、イカれた?」
[わたくしは、◯◯エル、あなたの魂のカケラの一つ理想、驚かせるつもりはなかったのですが、いつ話そうかと、気を伺っていたら、こんなにも年月が経ってしまいました]
要件を聞くと、◯◯エルは西、セイレーンや人魚がいる四方制海の一つ『ラバフロー』に行けと言う。そこに待ち受けるは、私に対しての試練があり、初代勇者の言っていた魔王サタンに対抗する力も眠っているという。
「いや、ラミアと似たような感じ、ちょっと動転しただけ、訳は歩いて話すから、ラバフローに向けて出発したい」
「それはいいですが、結構な距離ですよ? 2ヶ月はかかちゃいます」
「村を転々として行けば、行けなくはないんじゃない? ま、あたいなら、余裕だけど!」
「ガーリンの方法で行こう、お金ならまだある。十五分すぎるぐらいもらったし、あの犬に」
エルナは皆に理由を話、外に行き馬車屋に手配をお願いした。メアリーとブラッドには、ここで別れを告げた。いつも通り乗り込み、また変わらぬ風景を眺めていた。
1週間。2週間。3週間と日を跨ぎ、様々な種族が交配し生まれてきた村を経由していく。
時には巨人族と悪魔の交配種ギガンテス族、5メートルの巨体とムキムキの筋肉をした種族の村や
大抵、獣人族が混じっていたが、動物的な本能が高いのだろうか。
そう、次の村でも、獣人が混じった小人族、ケモット族がいる村。低身長というより、全村人が子供にみえる。
その中で、私たちを出迎えてくれたのは、水色の髪に白色のメッシュが特徴的な子とピンク色の髪にうさ耳が生えた、たれ目が特徴的な子。どちらも可愛い。娘にしたいぐらいに。
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