SIREN編

第40話 好色と幸せな結婚

 返された生首をクリスタに渡し預けた。罪悪感がいつまでも、ある。この子は私に出会わなければ、数日、数年、数十年、悪魔だから数千年、幾万年生きれたのかもしれない。


「大事です」

「そうかい、そう思ってくれているのなら、ボクはあげたかいがあるよ」

 にこやかに、淡々と話されるが、急かされてるのだろうか。


「この褒美大切にいたします」

「うむ、それじゃあ、ボクは忙しいし。公務もあるから帰ってもらってもいいかい」


「はい」

 掃き出されるように、王の間を後にした。至高の酒の事を聴こうと思っていたのだが。



 暗い一室、本棚から書物が崩れ落ちている。全て悪魔に関する学術本であり、部屋の中央に円形と星形、その頂点に蝋燭がともされている。そして、胴体だけとなった悪魔が、中央に仰向けで寝るように置かれている。


  「我が名はジャンディ・ガオ・ゴール。不定の安寧を齎す悪魔。復活させしは、不貞の御心に疑問を問う者の末裔。『マタ・ドール・ベルフェ』我が名を関し復活したまえ、『』と……」

 

 生贄は娼婦から買った特性МPポーション6キロ、動物の堕胎した子6匹(羊に類似)、そしてこのボク……妖精としてあるまじき恋をした愚かな生贄。さぁ、ボクともう一度、一緒に……


「……………………ッ」

 頭が再生し、生贄となった者は消滅した。生き返ったベルフェは途轍もない魔力を有し悪寒とプレッシャーを一瞬、周りに与えた。


「………ここは」

 蝋燭が当たりを照らすが、見当もつかないその部屋に混乱する。裸なうえ、壁一面ずらりと自身の名前が書かれていて、不気味であった。





 宮殿の廊下を歩いていると、身震いと共に圧を感じた。


“人格が一つ減った”

 ラミアが私の中でそう呟いた。


「どういう事?」


“妾の人格は元より悪魔を封印した事で生まれた物、ラミア本人の人格となる[私]が封印し人格の器とした。つまりは、封印が解かれたという事”


「そんな封印する程の厄介者だったの?」


“厄介所の話ではない。そやつら1人1人が淵源の悪魔、妾と同等かそれ以上だからな。世界を終焉に導くなど容易く出来てしまうほど”


「今の何だったんでしょう?」

 あの圧に動じなく、首を傾げているだけのクリスタ。神経がず太いのか。


「ラミアが封印してた悪魔が解き放たれたらしい」


「それって、もしかして醜悪の悪魔!?」

「なにそれ?」

 


 醜悪の悪魔、ラミアがこの地に降臨した時代、世界を掌握していた10人の淵源人悪魔、ラミアが知恵と策略と力で封印した者達。



『強欲マメン』

『暴食バアル・ゼブル』

『色欲ベルフェ・ゴール』

『貪欲マモン』

『傲慢ルシファー』

『怠惰ロキ』

『嫉妬レヴィア・タン』

『虚栄アスモ・テウス』

『憤怒サタン』

『禁欲アモール』




 その内の1人色欲の封印が解かれた。





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