第39話 大人の階段をまた一段から
「前へ進もう、私は何も出来なかった。エルナが悪魔を殺す時。だけどあれはエルナじゃ無いことはわかった。だから誰も貴方を責めたりしない」
「私は人を殺したりしたいわけじゃない。誰かが死ぬ所を見たいわけじゃ無い」
「我儘ですねぇ。犠牲無くして人生とは呼べませんよぉ」
「犠牲……」
私の集落を襲って、壊滅させた禁酒公。奴らの様にはなりたくない。だからせめて悪魔の子を無碍にしない。無駄な犠牲とは言わせない為に、私は世界を護る。
「ガーリン様、ラミア様の治療は……」
「内臓ズタズタだから、時間かかる」
私はみた、初代勇者の人生を、その中で獲得した魔法を、古代の魔法も、禁忌の魔法も、そしてそこにあった数多の犠牲も、救いも、だから先ずはラミア君を。
「生命の
酷いあり様だった身体が擦り傷ひとつ無い。苦痛に塗れた顔は安らかになり、息も安定してきた。
「エル……ナ……」
「そんな、魔法教えてないんだけどッ!?」
「初代勇者の走馬灯が見えて、その影響だと思う」
「何よそれ! あたしが師匠じゃなくなっちゃうじゃない‼︎」
「いや、でも全部使える訳じゃないし……多分」
「いいですかぁ? 王子に会いに行きますよぉ〜」
「王子が変人じゃなければいいけど」
今は15時ほどだろうか、そういえば何も食べていない。お腹が空いたが、我慢しよう。
王子に面会するため、城に戻った。また囚われるかもと心配していたが、そんなことはなかった。
王が死んだあの場所に戻り、王子に会った。そのお姿は煌びやかであり、女性とも見え、男性とも思える。茶髪とミディアムヘアーははねっけがあるが、清潔感はある。そういう髪型なのだろうか。そして、紳士とオペラ役者を足した服装であった。
「ふむ、よく参られた。剣豪の姫君よ! そしてボクの父を殺した悪魔を見せておくれ」
「はい、ここに」
首だけとなった悪魔を兵士に持って来させ、恍惚とし始めた。
「ベルフェよ、ボクの愛しき人…… おっと、失敬、それで褒美は何を望もう?」
「この悪魔を倒しましたのは、隣にいらっしゃる酒豪勇者、エルナでございますので、彼女に褒美を……」
「そうか、では、酒豪勇者エルナ殿、褒美は?」
「王子、お一つお伺いしても」
「よい、ボクに何を聞きたい?」
「その悪魔の頭をどう処分されますか」
「……本当であれば晒し首だろうけど、ボクの大事な人を羞恥に晒すのは、望まない。だから、ずっとボクの隣で飾られる。美しい、可愛い、死を迎えても衰えない妖艶……っと、そんな訳でボクの部屋で宝になろう」
「そう、ですか」
「ごほん、では褒美は?」
「褒美はその悪魔の頭を……」
「ボクの宝を欲するのか、う〜ん、剣豪このベルフェの体はどこにある?」
「体まではもってこられませんでしたのでぇ、旧教会にまだあるかとぉ」
「騎士達、悪魔の身体をボクの部屋に運んできてくれたまえ。そしてこの頭は君等に返そう」
同じく兵士に首を持たせ返した。受け取ったエルナは大事に抱えた。
「君も、その悪魔大事なのかい? ボクの宝でもあるからね」
ベルフェ、父の愚策で被害に遭った悲しきそして幼き悪魔。君をみて恋に落ちた。妖精は天使の魔力から産まれた者なのに、悪魔である君を愛してやまない。 悪魔は儀式によって復活できる。その時、記憶はない。だからボクと大人の階段をまた一緒に……
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