第15話 嬉しく楽しく優しく

 装備を整えた後は、辺りを散策することにした。エルナには珍しい物ばかりで、心躍っていた。クリスタに年甲斐もなく、[あれなに!?]とかはしゃいだりして、それに笑顔で答えてくれるクリスタにつられて笑顔になってたり、これでいいのに。私は首に付いた魔法のせいで勇者を演じなければならなくなっている。


「お昼時だね。何か食べる?」

 暗い顔をしていた私に、気遣ってくれている。

「うん」


 昼食を取るべく、食事所へ赴いた。といっても近くにあったのは、ギルド&クラン協会の食堂だった。

 歩きながら話をする。

「協会でご飯食べるの久しぶりね〜」

「どういう場所なの?」


「ここは、仲間を集めてモンスター討伐したり、旅に出たり、お宝で儲けたり、ができる場所」


「ほーん。クリスタは冒険者って言ってたけど、仲間いたの?」

「いない。1人でやってきたよ」

 目を合わせず、典型的な嘘のつき方を見せる。深堀はせず、話を続ける。

「登録はしなくても、冒険していいんだよね?」

「もちろん」

「よかった」

 カウンターに着くと、メニューから好きな物を頼む。


「ジャガムを一つください! それと、エルナは何にする?」

「同じ奴で」

「すみません。ジャガム二つで」

 銅貨2枚をカウンターに置く。


「横にずれてお待ちください」


 ジャガム二つお願いしまーすと、オーダーが通る。ジャガムが一体なんなのかはわからないが、一応失敗しないためにも、合わせておこう。お腹が減り、料理が待ち遠しく感じる。


「ぺこぺこ」

「エルナあんまり食べないから、すぐお腹減るよね。私が使ったおやつも食べちゃうし」

「クリスタの料理すっごい美味しいから」

「お上手ね♪」


 そんな、イチャイチャしながら、待っていたら、ようやく料理ができたらしく、[ジャガム二つ頼まれたお客様]と呼ばれたので、取りに行き、受け取った料理をもって、空いている椅子に座りテーブルに料理を置く。


「これって、サンドイッチ?」

「美味しいよ!」


 出された料理は、サンドイッチに類似するものだった。両サイドパン2枚に、中には目玉焼きとベーコンが挟まれている。とても単純だけど美味しそうである。


「いただきます」

 小さい口を大きく開けてかぶつく。ベーコンの塩加減。パンの焼き加減。どれもがいい仕事をしている。


「英気が出る様に、料理は一級品なんだよ!」

「なるぼど」

 飲み込む前に喋ってしまい。口ごもる。もぐもぐとよく噛み飲み込む。


「確かに美味しい」

「私の料理とどっちが美味しい?」

「また、その話? そりゃ、クリスタの料理!!」

「ありがと!」


 2人はジャガムを食べ終えて、帰路に着くことにした。エルフの所へ向かうための準備をする為に。

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