第6話
「君は宝くじの当選確率はどれくらいか知っているかな?」
男性は遠い目で空を見ていたがその視線を俺に向けた。
「知らないな。当たり時は当たるし、当たらない時は当たらない。そういうものだと思っているな」
俺も先ほどのオーラを纏いはじめた男性に答えた。
「そうだろうね。私もそれくらいの認識だった。当たっても当たらなくても、どっちでもいいなら、それでいい。だけどね、当てようと思ったら、それじゃダメなんだ。それに気づいた時にはあの子も随分と大きくなっていた。君にはもっと早くに気づいて欲しい。だから私がサポートすると言ったのさ。あの子のことは許してやって欲しい。すまなかった」
真っ直ぐに俺を見て男性は言った。
「許すも何も悪いのは俺の方だった。だから謝られるとこっちが心苦しいですね」
アーケード型の商店街の入り口にある休憩スペースで、宝くじ売り場が近くにある。ここから俺の物語は始まった。
Fin
宝くじを買ったら見知らぬオジサンに声を掛けられて高額当選を目指すことになりました 望月ひろし @mochizuki_hiroshi
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