第4話
「勘違いだなんて、恥ずかしいなー」
誤解が解けてから、ひなたは顔を両手で隠しながら屋上の床を転がり回っている。その妙に器用でおかしな行動がいつも通りでこんなに安心したのは、東野君への恋煩い以来かなぁ。その横では、息も絶え絶えの東野君と南雲君が床に寝ころんでいる。まあ、私もちょっとまだ立てそうにはないけれど……
「早とちりで面倒かけてごめんね。許してくれる……?」
「ひなたのせいじゃないでしょ」
「あの、笹木さん……本当にずびばぜんでじた……」
「東野君は海よりも深く反省してください」
「伊予ちゃん、嵐君に容赦ないねぇ……」
「これは彼の自業自得だもの」
「元は青空のためを思って、行動したのにぃ……」
「南雲君と違って君は調子に乗るからですよ」
「ううっ……ほんと、申し訳ありませんでしたぁ……」
それに、私と東野君を交互に見ているひなたには、もう二度と勘違いしないようにきちんと態度で示しておいた方がいいだろうから。東野君のことは何とも思っていないって、どんな手を使っても分かってもらわないと。
「でも伊予ちゃん……好きな人はできたんだよね!」
「いや、」
「なるほど、まだ付き合っていないと。そういうことなら、私にお任せだよ!」
私と南雲君を交互に見て私の袖を引っ張ったひなたは、輝いた瞳で親指を立てた。
「春風ひなたが、伊予ちゃんの初恋を全力で応援して、伊予ちゃんに春をお届けしちゃうからねっ!!」
話すようになったのは昨日だし、好きってほど南雲君のことは知らない。特段親しくもないと思っているから、これは新たな勘違いが生まれた気しかしない、けれど。
まあ、親友の彼氏に気があると勘違いされるよりはいい……のかな?
『親友の彼氏の親友』 陸原アズマ @ijohsha_s
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