👼👼👼👼👼👼👼

数メートル先に、夫と子供がいた。


二人とも真美に助けを求めている。


真美は二人のもとへ必死に駆けるが、距離は縮まらない。


ようやくたどり着いたら、二人は既に血塗れだった。


ジリジリという頭が痛くなるような音で目を覚ました。


ゆっくりと起き上がり周囲を見回すが、カーテンの隙間から射す光に照らされた薄暗い部屋には、誰もいない。

毎日同じ夢を見るのに、いつまでも慣れずにいる。


襟元の黄ばみが目立つシャツ、よれよれのスーツを着、化粧もせず、髪も手櫛で整えただけの姿で外に出る。

最近は出社する際も、身だしなみを気にする余裕すら無い。


青空を仰ぎ見ると、そこには奴がいた。


現在、真美がさゆりから百万円で購入した札は効いていないらしい。


その前は十万円だった。


札のレベルが上がると、自然値段も上がる。

真美は金に糸目をつけないつもりだ。

手持ちの金が無くなれば、サラ金で金を借りてでも用意するつもりだった。


夫と子供を自分のミスで死なせた罪悪感、天使の顔をした死神への復讐心だけが、今の真美を生かしている。

復讐のためなら、金銭的破滅など安いものに思えた。


札のレベルが十万に上がった時、さゆりは札の効果のため食事制限が必要だと言った。

豆腐や大豆、ひじき等の海藻類しか口にしてはならないという。


ろくに栄養を取っていない真美の頭は、まともな思考を失っている。


今はただ、苛む罪悪感から逃れるための復讐、奴への憎しみのみへ過集中していた。



今持っている札よりも効果の高いものを買いたいと聞き、さゆりは快く承諾した。

今度は二百万円かかるというが、払うと即答した。

さゆりは、「無理はしないで」と言って微笑んだ。

真美には、まるで天使の微笑みに見える。


さゆりに礼を言うと、真美は空を仰ぎ見て、不気味な笑顔を張り付かせたもう一人の天使を睨みつけ復讐を誓った。


ここ最近、空に天使のいる時に事故が起きていない事実に、真美は気付いていない。









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天使 めへ @me_he

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