第043話 陸軍研究團・異能「念」 イクサ&シャロム
落雷の発光と轟音を受けて、泣きが入った末っ子のカナン。
二女のシャロムが、天性のマイペースぶりで穏やかに返答。
「天候を相手……ですか~。さすがはカナンちゃん、目のつけどころいいですね~」
「ふえええぇ……? シャロム……ちゃん?」
緊迫した戦況をものともしない、シャロムのゆったりとした語り口。
それが今度は、長女のイクサへと向けられる。
「イクサちゃ~ん?
「あ、ああ……。カナンの一次試験の、筆記試験中だったな」
「あのとき戦姫さんが~、言ったこと~、覚えてます~?」
「いや……。細かい内容までは、なんとも……」
「あのとき戦姫さん~、わたしたちに~、こう言ったんですよ~。『引力光線撃てそう』って~」
「はぁ?」
「敵が天候を~、操るのなら~。わたしたちは地の力~、引力で対抗しませんか~? 戦姫さんが言ったんですから~、きっと撃てますよ~」
──引力光線。
特撮映画「ゴジラ」シリーズに登場する
愛里が異世界転移時、カナンたち金髪のポニーテール&サイドテールを持つ三つ子をその怪獣に例えて言った、他愛もない
それを、超常現象、妖怪、魔物の伝承をこよなく愛する二女のシャロムが、しっかりと覚えていた。
「あの天候操る妖怪~。わたしたちの引力光線で~、潰しちゃいましょ~! せ~の~っ!」
シャロムが長剣を一旦空へ掲げたあと、切っ先を精霊風の足元へと向けた。
イクサとカナンは、無理やり同調させられるように、同じしぐさで後追い。
三つ子の剣の切っ先が、同時に精霊風の足元を狙う。
──テロロロロッ♪
軽妙な金属音とともに、三人の剣の切っ先から、黄金色の光線が発せられた。
その光線が大地を揺るがし、精霊風へ強力な重力を帯びさせる──。
(※注・この作品はフィクションです。関係各所……特に東宝株式会社への通報は、ご遠慮ください)
──ゴゴゴゴゴゴゴッ!
精霊風の足元のみに、地球の在り方を無視した、強力な重力が生じる。
上空からの見えない重しで圧し潰されるかのように、精霊風が腰を曲げる。
その足元がボコボコと沈下し、精霊風の活動を制御。
この作戦の発案者であるシャロムがほくそ笑む──。
「やっぱり~、戦姫さんの言うとおり~、引力光線撃てましたね~。あとはわたしたちの歌で~、
「う、うむ……。わかった、シャロム!」
「まかせて、シャロムちゃん!」
アイドルとしても活動している三つ子が、デビュー曲である「
三人の歌声に押されるように、一帯の風雨が弱まり、暗雲が薄くなり始める──。
【参考】とんこつTRINITY! 第055話「不撓不屈」
https://kakuyomu.jp/works/16816927860772668332/episodes/16816927862620123467
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