おまけ (after story)

 オレがこの施設に入所して半年が経った。

 盲目の生活にも何とか慣れてきた。


 今オレは、隣の部屋の男と共同で生活している。

 隣りの男は事故で声帯と鼓膜が損傷して、人と話すことが出来なくなっていた。目は見えるので自由に移動は出来るが、相手に自分がして貰いたい事が伝えられなくて困っていた。


 何故かオレがその男に触れると、男がして欲しい事が分かる様になっていた。

 オレが代わりに声を出して職員や介護士に男の気持ちを伝えた。


 また男は触れていると、オレの気持ちを理解してくれて、オレの行きたい所へ案内してくれる様になった。


 オレはこの男と一緒なら、平穏な生活を続ける事が出来そうだ!

 いつの間にか「あの男」顔は浮かば無くなっていった……



 俺がこの施設に入所して半年が経った。

 沈黙の生活にも何とか慣れてきた。


 今俺は、隣の部屋の男と共同で生活している。

 隣りの男は事故で両目を損傷して、目が見えなくなっていた。声や耳は正常なので人と会話は出来るが、自由に移動が出来なくて困っていた。


 何故か俺がその男に触れると、男が行きたい所が分かる様になっていた。

 俺が手を引いて案内をしてやった。


 また男は触れていると、俺の気持ちを理解してくれて、俺の言いたい事を代わりに職員や介護士に伝えてくれる様になった。


 俺はこの男と一緒なら、平穏な生活を続ける事が出来そうだ!

 いつの間にか「あの男」声は聞こえ無くなっていった……





 マスターはカクテルグラス 彼女 を磨きながら囁く。

「何時もの常連客が貴女に会いたいそうだ」

「どう? もう一度会ってみるかい?」


 マスターの持っていたカクテルグラス 彼女 は急激に冷たくなった。

「分かった、分かった! 一見さん専用のままにするね」

 カクテルグラス 彼女 は普通の温度に戻った……

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願いの叶う店 わたくし @watakushi-bun

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