第五章 また家族と
俺が目を覚ましてから1か月が経った頃・・・
母が何やら嬉しそうな表情で俺に駆け寄ってきた。
俺は母に『どうかしたのか?』っと聞いた。
すると母は嬉しそうにこう答えた。
『実はね、さっき俊也のお医者さんと退院出来るかどうか話してきたの。』
『うん。』
『そしたらねお医者さんに退院しても大丈夫ですよって言われたの!』
『・・・えっ?!本当に?!』
『本当よ!』
『・・・本当に俺また父さんと母さんと一緒に暮らせるんだね!』
『そうよ!また一緒に暮らせるわよ!』
『うぅ。良かった・・・本当に良かった・・・』
俺は気が付くと、涙を流していた。
本当にようやくまた家族一緒に過ごせるという事が
嬉しくて嬉しくてたまらなかったのだ。
『俊也。今までよく頑張ったわね。』
母のその言葉を聞いて俺はなおさら涙が止まらなかった。
『・・・ちなみにいつ退院できるの?』っと聞くと
母はこう答えた。
『5日後よ。』
『そっか。』
『うん』
『そういえば父さんは俺が退院する事知ってるの?』
『さっき教えたわ。もう大喜びで。』
『そんなに喜んでたの?』
『もちろん!早くまた俊也と暮らしたいって言ってたわ。』
『そっか』
『そういえば今日は父さん来ないの?』
『行きたいけど仕事があるから無理だって。』
『そっか』
『ちょっと母さん家に帰って退院の準備してくるわね。』
『分かった』
『すぐ戻ってくるわね。』
『はーい』
そして母さんは準備しに病院を後にした。
しばらくして母さんが戻ってきた。
『ただいま。』
『おかえり。』
『よいしょ・・・タオルとか必要な物ここに置いとくわね。』
『うん。ありがと。』
『どういたしまして。』
『・・・ねぇ母さん。』
『ん?何?』
『母さんはさ俺とまた暮らせるの嬉しい?』
『何言ってるの~。当り前じゃない~。どうしたの急に?』
『いやなんかさ、俺思ったんだ。』
『えっ?』
『今までは父さんと母さんが俺に看病をしてくれた。』
『うん。』
『でもそれと同時に思ったんだ。いつまでも頼りっぱなしは駄目だって』
『だからさ、その今度は俺が父さんと母さんを楽にさせたいんだ。』
『要するに俺働こうと思う。』
『・・・えっ?!いやそんな無理しなくてもいいのよ?』
『ありがとう。でも大丈夫。俺二人を楽にさせたいから。』
『・・・俊也がそこまで言うならいいけど。』
『本当?!ありがとう。』
『ただしこれだけは守ってちょうだい』
『何?』
『1.決して無理はしないこと』
『2やると決めたら最後までやり通すこと。』
『3.辛い事とかがあったらすぐに話すこと。』
『この3つよ。』
『分かった。』
それからしばらくして俺は退院した。
父さんと母さんと連れられておよそ10年ぶりにわが家へと帰宅した。
『俊也・・・お帰り。』
『父さんと母さん・・・ただいま。』
10年の時を経て俺は家族との再会を果たした。
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