2章 空白の前日と兄からの目的

「は?」「一体俺に昨日何があったんだ!なぜ気絶したんだ!兄さん!」思わず焦るほど問う。『わかった。一旦落ち着いて話を聞け。』『俺は昨日の昼にタカトの家に遅めの誕生日祝いをしに行った。仕事の都合上、23日当日には行けなかった。連絡できなくてすまなかった。』「うん。全然問題ないよ。それで?」『それで、俺はタカトの家に入ってタカトの好きなチョコレートを多めに渡し、一緒にケーキを食べながら談笑していた。ただ、急にタカトは暗い顔になって「毎日何もなくて辛い。」と言い出したんだ。まあ、友達の少ないタカトの性格から対して予想はできてたけど。』兄の顔が真剣みを帯びていく。『とにかく、急に言うものだからびっくりしたよ。まあ、その後言ったが改めて言う、俺は街を救うために一人で活動していた。』街を救う?兄さんが?不思議な感じだ。『具体的には裏で暗躍する悪徳業者や企業、政治家、芸能人、一般人等だ。』「一般人?」『そう、一部の一般人も裏では麻薬や武器の輸出入に加勢したり、不正な投票援助や情報隠蔽をしたりと挙げればきりがない。もちろん、さっきも言ったように一般人以外も対象としている。当然、一人ではとても手に負えないため、一応タカトに協力して欲しいと頼んだ。』兄は少し間をおいてまた話した。『お前に頼んだ直後、突然リビングの窓が割れて人が入ってきた。そいつは銃を持っていてタカトに狙いを定めた。タカトは驚いて足がすくんでいたから、すぐさま俺はケーキ用ナイフとフォークを奴の銃を持った手と首に投げて命中させた。で、タカトはそれも見て驚きすぎたのか気絶したよ。』「あッ!」その瞬間徐々に昨日の出来事が思い出してきた。そうだ!あの時私は日々募っていた悩み事を思わず口に出したけど、まさか返答が街を救っているだなんて意外だ。しかも頼まれるなんて…。はっ!今でも信じられない!いやっ、その直後いきなり殺人鬼が入って来たんだ。しかも兄さんが殺したんだ。何だか恐ろしい竜巻に私は自然と飲み込まれていたんだなあ。ん?「ところで命中させた人は?」『あの後、奴はひざまずいて少しだけ銃を下したがそれでもタカトを撃とうとしていたから、俺が飛びついて首の骨を捻らせて折って殺した。』「そ、そう。」言葉が出てこない。『その後、警察を呼んで奴の遺体を回収させた。俺たちは警察が来る前に遠くの病院でお前を診察させ病室に入れてもらった。つまり、俺は表沙汰でいう犯罪者だ。』

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黒い力 辻田鷹斗 @ryuto7ryu

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