黒い力

辻田鷹斗

1章 平凡は辛い

「・・・・。」今日もそう思いながら朝、日の光を浴びる。「私」は地方から都会に越してきた男子大学生だ。今は一人暮らしをし、大学とアルバイトのシステム化された日々を送っている。かれこれ、2年生となった。大学では友達ができ、家族仲は対して良好だ。バイトで貯めたお金を映画や服に本等と費やしている(まぁ、1人好きだから友達と遊んだり飲んだりは中々しないけど)。ただ、自分の実現したい夢があり、諦めてしまうのが「私」には辛い。現実という信じたくないことを直視せざるを得ないからだ。そうして自然と道に迷い、森から抜け出せずに迷い続けるまま自分を責める。かくしてして生きる意味を時には見失う。ある時兄からこういわれた。「とりあえず何か興味を持つことから始めたら?」と。私には歳が3年離れた兄がおり、兄は大のサッカー好きであり、今ではある地域のサッカークラブでトレーナーをしている。一時は選手として躍動してたが、重度のケガで選手生命を諦めた。容姿も性格も良くて隙がないという印象だ。自分は兄と違い、性格も暗めで少々普通ではない。スポーツ経験も全くない。決して運動神経は悪くない。今でも体力を衰えないよう、ごくたまに3キロ走ることだってある。また、私は本が好きだ。家や図書館で静かに時間が過ぎるのを待ちながら、活字を読み想像の世界に入る。その世界に入って現実を忘れる。なので今の私の大きな楽しみは読書ぐらい。面白いと思う作家の本は全て読破する。推理小説やエンタメなど様々。しかし、読書が私の人生に直接繋がったことはない。何かしら繋がっても将来に影響しなかった。ただ一つ歳を取った。皮肉と感じながらいつもの一人用の布団に入る。


《《夢》》


《明るい朝なのか…。知らない病院で私は息を切らしながら彷徨う。》

《何かを目指し、廊下を歩く。》

《廊下の突き当りにある部屋のドアを見て口が大きく開くほど驚愕する。》



薄っすらと目を開ける。ここは……?天井が白い。!!!!! 「一体何が!」気づいた時には目を開けて起き上がり自分の口から言葉が出ていた。痛みはなかった。落ち着こう!周りを見渡した。横の患者用の棚の上に黒い弓矢が置かれていた。思わず顔をしかめる。それぐらい身に覚えがない。「どういうわけだ?」自分は昨日?に家で寝ていたはず…。いや、昨日ではない。もう一度横の棚を見る。棚の上にはさっき見た黒い弓矢と置く型の日めくりカレンダーがあった。その日めくりカレンダーにはこれまでの日にちが経過したのをわかるように1日ごと斜線が引かれていた。斜線からなぞらえて恐る恐る見ると今日は20××年9月25日だ。確か自分が寝たのは9月23日、私の誕生日だ。年数も決して間違ってはいない。つまり、昨日に何かあったのか。今の時刻はちょうど午前4時半。空白の昨日は現在からごく最近。一体昨日は何が起きたんだ?自分が入院に黒い弓矢、そして外傷どころか体調には全く問題がない。目覚めからの突如として現れる疑問に頭の整理がいっぱいだ。必死に思い出そうとしている中、突然遮るように部屋の入口からドアを開ける音がした。無意識なレベルでドアを見る。そこには元気な顔を浮かべた兄がいた。『タカト?大丈夫か?顔色がよくないぞ。しかも驚いたような顔までして。』「ああ、大丈夫。何で兄さんがいるの?」兄さんは普通こんな都会にいるはずがない。『そりゃあ、弟の見舞いに来たに決まっている。本当に大丈夫か?』その後2秒くらい沈黙が流れ、兄が少し息を吸って溜めて話す。『まあ、昨日あんなことがあれば常人だろうと気絶するわな。』「は?」ここから聞く話で私の人生は今後大きく変わる。平凡が辛いと思うのが噓のように。そして、大きな目的を達成するために。

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