保護犬を迎えて

@reokoutwo

第1話

「ねぇ、ねぇ夜ご飯どうする?」


「日曜日だし、食べに行こう。」


もう2人だし日曜日はだいたい決まって行きつけのお店に食べに行く。普通の毎日。


 「あっ、近くで犬の譲渡会やってるんだよ。」


昨日孫と見に行った私は旦那に見に行くだけ行こうよと誘って見た。


 「俺、見たら情が沸くから行きたくないなぁ。」

「家には猫が居るから見るだけだよ。」


「やめとく?」


旦那はあまり行きたくなさそうだった。飼えないのに、見に行くと言う選択肢がないようだった。でも、私に合わせたのか、


 「いいよ。行っても。」


見に行く事になった。


 私は、ウロウロ周りながらすべての犬を見て回っていた。旦那はそのあいだ一匹の犬から目が離せず、ずっと見てたみたいだった。


「 俺、この犬が凄く気になるって。」

私も、見てたら保護団体の人が抱いて見ますかって声をかけてくれました。


 「あっ、はい。」


その犬は他の犬がケージの中を走り回っている中ただ丸まって一瞬たりとも動かない犬でした。顔回りは毛はあったけど、体はほとんど剃られていて、この寒い中なんでこんなに毛を剃られてしまったんだろうって。多分、保護された時には、相当悲惨な状態だったのかなって。


 抱っこをさせてもらったら凄く震えていて、余りにも弱々しかった。大人しい。


 「ありがとうございます」と言ってケージに戻すと、さっきまでうずくまって丸まっていたのに、座って抱っこした私の事をずっと見てました。


 「そろそろ行く?」


「うん。」


 後ろ髪を引かれつつ、その場を後にしました。家には猫が居る。

  猫と犬を一緒に飼うのは無理だよね。

なんて、会話をしながらお店に入った。


 たわいもない話しをしながら、食事をしてたのに、あの犬の話しが出てきた。


 「俺、あの犬が凄く気になる。」


「抱っこしたらずっとこっちを見てたね。」


  時間は6時、譲渡会が終わるのは6時半。


 すぐに、決断出来る話しではない。家には猫が居る。


 「とりあえず保護団体の、パンフレット貰って来る?」


「うん。」


お店を抜けて、パンフレットを貰いに走った。飼えないよなぁ。家には猫がいるもん。


 また、お店に戻りパンフレットを、2人で見た。保護団体の場所は高尾の方だった。

 

  「遠いね。」


「・・・」


6時20分。もう、譲渡会も終わってしまう。


 「やっぱり、まだ残ってたら連れて帰ろう。」


「えっ、えっ、本当に・・・?」


「早く、行ってこい。」


「えっ〜、もう終わってるかもよ。」


とりあえず、走ってまた行く。


 後片付けをして居た。


「あのー、まだ、大丈夫ですか?」


「気になるわんちゃんがいて。」


「どの子ですか?」


やっぱり、うずくまって震えてまだいた。


 「この子です。」


「まだ、時間大丈夫ですか?」


「あっ、はい。」


その短い時間に、猫ちゃんと一緒に飼う事は出来るかとか、お留守番は出来るかとか、

 余りの時間の短さに色んな事を聞く事ができなかった。余りにもいきなりの展開で私も焦ってた。余りにも・・・。


 色々な書類にサインをしたり。


ペット保険に入ったり、寄付金としてお金を払ったり。余りにも、考えなく、勢いで動いてしまった。


 そして、保護団体の皆さんに見送られて、連れて帰ることになりました。


 そして、旦那と合流。本当に不思議な一日になった。すべてが変わった日のはじまり。


 


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