兄の儀式@僕の部屋

完結予定はサラサラないです!

女子からの視線が痛い。

なんならあの子ほんとに凛久りく様の弟なの?なんていう陰口も聞こえてくる。そんなの僕が一番わかってる。

でもこの兄も ねぇ瑠唯るい。とだけ言って頭を撫でてくるのはおかしいと思う。

いくら弟とは言ってもあそこの女子達からしたらライバルになるっていうのをいつになったら理解するんだろう。

もう僕が中等部になって早1年何ヶ月。もっと言うと、この場所に来てもう7年何ヶ月かが経ったというのに、いまだなお兄から逃げることができてないし、高等部の凛久がわざわざ中等部に来る理由もわからない。弟の僕のことを守る対象と見てるわけじゃないらしいからほんとに理解不能。

小中高と一貫のこの学校を少し恨みがましく思うのはお門違いというやつかな。

ってかなにが悲しくて大勢の前で兄に撫でられなきゃならないんだよ。

凛久とはいろんな意味で種類が違うじゃないか。

母が一緒だった、っていうこと以外共通点なんかどこにもありはしないのに。半分くらい血が繋がってるっていう理由だけで僕のところに来ないで欲しい。

どう頑張ったってどう足掻いたってどうせ帰る家一緒なんだから会わなきゃいけないんだしさ。今駆け寄ってくる必要性なくない?

そのせいで本当なら上手くいくはずだった学校生活もこうして7年の間妨害されてるわけだし。

こんなこと漫画でしか聞いたことがない。

「もう行こ!」

この場を去らなければという謎の使命感により数少ない友達と共に教室に戻ろうとする。

とする、っていうのはできなかったってこと。

平均身長は越してるはずの僕よりもさらに頭0.5個分くらい高い兄に手を掴まれたらどうなるのか。その答えを僕は前から知っていた、そして今も改めて体感している。

そんな体験いらねぇよ、などの言葉を迂闊に言うでもしたらどうなるもんか分かったもんじゃない。そんなこと言った日には僕の味方がいなくなる、消える。

……そもそもいたっけ。


「ねぇ、聞いてる……?」

ねぇ、ねぇ、と繰り返す兄に聞いてるよ!と返したくなるが、返事をしたらしたでまた面倒なことが起きる気がする。

そろそろほんとにやばい時間なのをいいことにごめん!とだけ言ってダッシュした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ふと書きたくなった、どうせすぐに書くのを飽きてしまう物語集 碧海 ぴいす −Aomi− @pontanuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ