第二章:九話
夏川が初めて俺の作った曲を弾いた日に思いをはせる。その日、俺の中で何かがはじけた。
病院の小さな部屋に置かれた、一台の古いピアノ。調律が頻繁にされていないせいか、お世辞にもいい音を出しているとは言えなかった。それなのに、そこであいつが奏でた音楽は真っ直ぐに、すとんと俺の胸に入ってきた。それはなんだかあたたかくて、優しくて、どうしようもなく泣きたいような、そんな気持ちにさせられる音。
新鮮な感覚だった。
俺の曲を、こんな風に弾く人がいるのかと、興味を持った。
単純な興味、それが始まり。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます