話をしよう
コンコンー
「ちょっと待ってろ」
そう言って、常さんは入り口に向かった。
「飴ちゃん」
「はい」
「夏生に会いたい」
「はい」
「今、事務所が大変なのはわかってる。だけど……。もう、気持ちを抑えて生きるわけには行かない」
佐古さんは、真剣な目で俺を見つめていた。
「わかってます。夏生さんには、時間がありません」
「そうなんだ」
佐古さんと話終わると、常さんが誰かを連れて現れた。
「佐古、飴、悪いが、また明日来てくれるか?俺は、ちょっとこの人と話があるから」
「わかりました」
「行こうか、飴ちゃん」
「はい」
俺と佐古さんは、常さんに頭を下げて店を後にした。
「駅前で、タクシー拾おうか」
「はい」
俺は、佐古さんについて歩いて行く。
「飴ちゃんは、美麗とは一度話し合った方がいいんじゃないか?」
「そうですね」
ハリーさんがいなくなった事務所を立て直すのは簡単な事じゃない。
「どれくらいかかるかわからない。信用も失うだろうし……。マスコミは、押し寄せるだろうし……」
「そうですよね」
「それでも、ハリーさんが築き上げたものを壊すわけにはいかないよな」
そう言って、笑う佐古さんの目に決意が宿っているのがわかった。
「俺、二人が会えるように協力しますから……。だから、佐古さんは夏生さんに沢山会って下さい」
俺の言葉に佐古さんは、フッと笑った。
「自分の経験上言ってるか?」
「そうですよね」
「だったら、協力してもらうよ!俺は、夏生をもっと
そう言って、佐古さんは自分の胸辺りを強く握りしめる。
「刻みつけて下さい」
夏生さんと永遠のお別れなんかしたくない。だけど、あれだけ痩せ細った体を見るとどうしても最後を考えてしまうんだ。
もし、最後になっても俺のように後悔をして欲しくない。最後の時まで、佐古さんには夏生さんの傍にいて欲しかった。
「タクシー乗るぞ」
「はい」
気づいたら、駅前についていた。俺と佐古さんは、タクシーに乗って病院に向かった。
俺達は、夏生さんの病室へと足を運んだ。
コンコンー
「はい」
中から声が聞こえて、俺は扉を開いた。
「あーー、飴君」
俺は、佐古さんと病室に入って扉を閉めた。
「と、十龍!!?」
夏生さんは、驚いた顔をして固まった。
「夏生、会いたかったよ」
「何で、こんな痩せた私を見に来なくたって」
夏生さんは、ボロボロ泣き出した。
「痩せてようが、太ってようが、どんな姿になったって俺は夏生に会いたかったんだよ」
佐古さんは、夏生さんに近づいて行く。
「馬鹿だな。今は、大変な時期だろ?ニュースで見たんだよ」
「そんな事、俺には関係ないよ」
佐古さんは、夏生さんを抱き締めに行った。
俺は、二人を見つめていた。
「飴ちゃん」
「外にいます。終わったら、呼んで下さい」
「飴ちゃん、喫茶店にでもいてくれ!連絡するから」
「わかりました」
俺は、病室から出た。
外に出ると観月さんが立っていた。
「ありがとうございます」
「いえ、いいんですよ」
俺は、笑って歩き出した。
夏生さんは、すごく嬉しそうだった。
二人を見ていたら、佐古さんと夏生さんがどれだけ想い合っていたかわかった。
俺は、病院近くの喫茶店に行く為に歩いて行く。
ブー、ブー
「はい」
『もしもし、飴ちゃん』
「恋かどうした?」
『飴ちゃん、事務所の事……』
「あーー。そうなんだよ」
俺は、目の前に現れた
「ごめん。また、連絡するよ」
『わかった……』
俺は、恋との電話を切った。
「雨宮さん」
「よく、ここがわかったな」
「探す方法なんていくらでもありますよ!そんなカッコいい台詞を言いたいのですが……。法が入院してるんですよ」
「意識不明なんだろ?」
俺は、宗方を見つめた。
「そうだね。刺されたからね」
「何があったか知ってるのか?」
宗方は、俺を睨み付ける。
「何があったか俺が知りたい!」
宗方は、俺を怒鳴りつける。
宗方にとって、神楽がどれほど、大切な存在なのかがわかった。
飴ちゃんと恋ちゃんの嘘~この愛を守る為ならこの身を全て捧げよう~【彼×彼と彼女×彼女のお話】【仮】 三愛紫月 @shizuki-r
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。飴ちゃんと恋ちゃんの嘘~この愛を守る為ならこの身を全て捧げよう~【彼×彼と彼女×彼女のお話】【仮】の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます