今と昔と新年と
時計を見ると、針は新年まであと5分くらいの場所を指している。今日は
俺は
俺の使い魔たちはどうなのかというと、俺と同様に炬燵の魔力に負けている。
『年越しは起きてるんだ!』と宣言して、いつもの時間に寝てしまうレインと、『今日はちょっと遅くまで起きようかしら』と言って眠気に
どちらも夢の世界で年を越すことにはなるだろうが、ここにいることには変わりない。
一匹狼で生活していた俺にとっては、使い魔のふたりは大切な仲間だ。昔は、家ではないどこかで年越しを過ごしていたものだ。今はあのころとは違って、ひとりじゃない。
ただただ毎日を過ごしていた俺は、色のない世界が見えていた。ラノール・サンでの記憶は、セピア色なんていう
今は毎日がそれなりに楽しくて、カラフルに染まる世界が見えている。もちろん、時間の流れ方も違う。その時々で、時間の速さが変わる。
次の年も、こいつらと一緒に過ごせたらいいなぁ。俺の日常に、
炬燵から出ると、左の方にいるサフィーのそばに行く。そしてサフィーの頭を、彼女を起こさないように優しく
最初に出会ったときは、サフィーも俺も距離があったし、もっと寒いところで頭を撫でていた。
今はこうしてもっと近くに、暖かいところにいる。寝ているからかもしれないが、警戒感は感じられず、そのまま頭を撫でられている。
今度はサフィーの反対側に移動し、布団をめくってレインの顔を見る。レインの顔は、炬燵の熱源の赤い光で照らされている。
最初に出会ったときは、もっと暗いところだったし、レインも俺もお互いの表情はよくわからなかった。
今はこうしてもっと近くに、明るいところにいる。心地よさそうに眠っているその表情もよくわかる。
めくっていた炬燵布団をそっと戻すと、どこからか鐘の音が響いてきた。サフィーの耳がぴくっと反応するが、起きる様子はない。
時計を見ると、2本の針が重なっている。新しい年の
「明けちゃったかぁ」
まぁ、いいか。変にこだわるよりも、なんとなく年越ししたほうが俺ららしいもんな。
寒くて暗くて、誰もいないところで年越しするよりも何倍もマシだ。こうやって、誰かのいる場所で一緒に、年越し出来ればそれでいい。現に、今この瞬間それを迎えたところだ。
今年もまた、こんな感じで年越し出来たらいいなぁ。
そう思いつつ目を閉じて、使い魔たちと同じ夢の世界へと飛び込んでいく。
――きっと今年も、いい年になる。
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