追体験するような臨場感のジェットコースターホラー

シンプルな文体で読みやすくも、人物の心理がよく描かれていて上質な物語です。
序盤に実の父を「親戚の凄い人」と表現した主人公に、少し笑いつつもぐっと惹かれました。

展開としては正統派と呼べると思いますが、予想できるからこそ裏切られる部分もあり飽きません。身内から事件が展開し、翻弄された後に再び身内に収束して核心に迫る様が見事でした。リプレイ動画を見ているような感覚で一気に読んでしまいました。

結末も実に、らしいもので神性の嘲笑が目に浮かぶようです。やはりこうでなくては、と思わせられる余韻でした。どうか彼らが夢から覚めませんように。