第4話 JKのユウ霊

「こちらの部屋には女子高生のユウ霊が出ます」


 俺を部屋に案内してくれた分有不動産の吉沢さんはそう説明する。そしてその視線は俺の腰の辺りに注がれていた。

 

「では、健闘をお祈りしています」


 そう言って吉沢さんは帰っていった。

 

 俺はあらゆる除霊グッズを揃えて夜に備える。各種お守り、お清めの塩、お経の暗記もバッチリだ。

 

 そして深夜零時を回った頃、壁をすり抜けて女子高生の幽霊が現れた。

 

「あれ? 新しい人? ばんわー」


 軽い口調でそう言うのは、金色に染めた髪をツインテールにした小麦色の肌のJKだった。身に着けているのは学校の制服である。

 

「南無妙法蓮華経――」


 俺はすぐさまお経アタックを仕掛けた。しかし――

 

「アハハッ。なに言ってるかわかんねーし、ウケるし」


 JKはまったく意に介した様子はない。

 

「それよりお兄さん、アタシとイイコトしない?」


 JKは俺に詰め寄り、上目づかいに見上げてくる。

 

「はぁ? なに言ってるんだ。実体が無い幽霊の分際で」


「これでも?」


 JKは俺は俺の腕をとった。そして自分の胸へと導く。

 

 ムニュン。

 

 柔らかく、それでいて弾力のある感触が手のひらに伝わる。

 

「なっ!?」


 俺は幽霊についていろいろ調べた知識を思い起こす。一般的には立体映像のように実体が無いとされている幽霊だが、稀にその身体に触れたという体験談もあった。中国には幽霊との間に子供を作ったという話もある。

 

「お兄さんが私を満足させてくれたら、成仏出来るかも」


 そう言ってJKはネクタイをほどいた。そしてシャツのボタンを外していく。

 

 なるほど……はっきり言って俺は女性との経験がないが、欲求不満の童貞を舐めるなよ。

 

 俺はズボンを下ろしてパンツを脱ぎ捨てると、JKの身体を押し倒した。

 

「あん♡」


 ・・・・・・

 

「おはようございます。ご無事ですか~?」


 翌朝、分有不動産の吉沢さんが部屋を訪れた。

 

「……」


「あら~」


 吉沢さんは全裸で床に倒れている俺を見下ろして声を上げる。

 

「お疲れ様です。この部屋に現れるのは『パパ活』をしていた女子高生で、霊ですね」


 二桁まで搾り取られ、精根尽き果ててミイラのようになった俺に、彼女の言葉は届かないのだった。

 

 ~完~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ワケアリ不動産へようこそ! junhon @junhon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ