奴隷になりました。助けてください。
『いたぞ!』『捕まえろ!』『かこめかこめ!』
「はぁ、はぁ、しつこい!」
ラストイア王国、その東に存在してるスラム街で俺、ギルは全力で疾走していた。
スラムはいわゆる無法地帯で、誘拐、窃盗、挙句の果てには殺人がいつでも起きる。そのためスラムに住んでいる子供はよくさらわれやすい。そんな事を考えながらただ全力で走る。
ここで捕まってしまえば奴隷として売り渡されるかサンドバッグとしか使われないという、いわゆる詰み状態になる。
そんなのはゴメンだと、疲れた足を動かしながら、
1つ先の道を右に曲がる。
『早くアイツを捕まえろ!』
『誰か先回りしてねえのか!』
『足首を挫きましたー』
「……誰が先回りされてるの知ってながらそっちに行くんだよ。」
思いながらも足を動かす。目指すのはスラム街から出る事。
スラム街から出てしまえば騎士団が街を巡回している。そこまで行ければ追ってくる事は無いはず……
そんな慢心をしていたからこそ気づかなかった。
屋根の上から手をかざしているやつがいる事に。
「ぐうぅ!?」
直後体中に流れる電気、脳すらも焼こうとするほどの痛さに耐えきれず倒れてしまった。
「ガキがうろちょろしやがって。」
言いながら髪の毛を掴み持ち上げてくる。逃げたくても体は動かなく、今にも意識が飛びそうだ。
(クソッタレ……)
人類の英知、魔法。使えるものは何時一生を生きていられる程。
わざわざガキ連れ出すために使うなよ、そう思いながら意識はフェードアウトするのだった。
「……クソ、やっぱりこうなったか……」
薄暗い場所でギルは目を覚ました。そして、自分に付いている首輪を見て、悟ってしまった。自分はもう奴隷になったのだと。
「……このままこの身を買ってくれる人が現れるまでここにいれって?……冗談じゃない。」
こんな場所よりもスラムにいたの方が何倍もマシだそう思いながら自分の現状を整理し始めた。無論、脱出のためである。幸いにも足が速いただのガキだと思われたのか、首輪は着いておらず、1つの独房に入れられているだけのようだ。
後は、この場所がどこか分かれば……そう思っていると1つの足音がコチラに来る。その方向に目を向けると自分を捕まえた、金髪で高そうな服をきた男がコチラに来た。
「おきてんのかこのガキ……まあいいや、いい練習台になるし」
「……………あ?………ああああアアアアアアアアア!?!?」
男が言ってる事が判らない、と思ってたら見えない何かが自分の手を切り裂いた。
10歳には耐えきれない痛みにその場に蹲る。
「お?いい感じに泣くじゃん……イイねぇ。だけど治さないと商品にならねえし…な。」
「アアアアアアアアア……え?」
痛みに耐えていたギルだったが痛みが一瞬にして消えた事に驚くが直後、再び腹の肉がえぐれ、声にならない音を口から上げる。
「今日はお前を捕まえるだけだったしな……魔力は有り余ってるんだ……痛めすぎて死んでくれないでくれよ?」
助けた王女殿下様に再び癒やされ共に歩む話 ミコト @17832006
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