第7話 彼女と朝

「聡~あんたを待ってる子がいるよ。さては~彼女かい?」

「そっそんなわけないだろ!!」

「まぁあんたに彼女ができるわけないか。とりあえず人待たせてるんだから早くしたくしなさいよ」

部屋で学校に行く準備をしているときに母さんが一階から叫んできた。自分の子供に対して言う言葉かい?と思いつつ、こんな朝早くから待ち合わせしている人はいないはずなのに誰だろうと思った。しかし、『彼女かい?』の一言で楓じゃないかと少し期待をしている自分がいる。ただ昨日待ち合わせした覚えはないし、ウチによってから学校に行くとなると遠回りになるはずだ。そんなことを考えていると更に母さんにせかされたので身支度を済ませいつもより少し早く家をでた。

「朝早くからすみません聡さん」

「いや全然むしろ可愛い彼女と一緒に投稿できるとか最高よ。」

「ならよかった。私も一緒に登校したいなと思って今日家まで来ちゃった。」

そう言いながらマンガだったらテヘッっていう効果音がでてそうな顔をしていた。正直可愛い。あぁうちの彼女は今日も可愛いです。神様、この子と両思いにしてくれてありがとうございます。

楓の顔を見ながらそう思っていると家の玄関から視線を感じた。

「お兄ちゃ~ん、家の前でいちゃいちゃしないでもらえますかぁ~」

「うげっ結衣!いたのかよ」

「私も学生なんだから学校にいくに決まってるじゃん」

「あ、楓さん!おはようございます」

「結衣ちゃんおはよう」

「お兄ちゃんを迎えに来たんですか?相変わらずらぶらぶですねぇ」

結衣はすぐにぷいっと楓さんのほうを向いてちょっかいを出していた。

こういうときばっかは妹に悪魔のしっぽがついてるように見える

「あんま楓さんこまらせるなよ~」

『お兄ちゃんもしかして今「俺の女にちょっかいかけるな」っていいました?』

「ばっそこまでいってね~よ///」

「お兄ちゃん照れてるwwじゃ!私は学校行ってくるけどお兄ちゃんたちも遅れないでよね~」

こうして台風を巻き起こして結衣は学校へと向かった。

「結衣ちゃん可愛いね」

「楓さんからかってます?」

「いいえ~?私もあんなに仲のいい姉妹か兄弟が欲しかったなってちょっとうらやましくなっちゃった」

「楓さんがお姉ちゃんだったらめちゃくちゃ頼りがいありそう」

「じゃあお姉ちゃんになってあげようか?う~ん...聡今日帰ったら何か食べたいものある?」

「いやそれお姉ちゃんじゃなくて......」

「ん?お姉ちゃんじゃなくてなぁあに?」

「結衣のそうゆうところまねしなくていいんですよもうぅ」

「バレちゃった笑でも私はそうゆう関係にいつかなりたいと思ってるよ?」

お互い顔を赤らめてしまった。

楓さんがだんだん結衣化していっているのを感じながら僕たちはゆっくりと学校に向かい歩き始めた。

「この街でおすすめの場所ってある?私まだ来たばかりでこの街のことに疎くて」

「それなら放課後街案内するよ」

「ほんと!?うれしい!」

「あ!どこ案内しようか考えて授業うわの空聞いてたらダメだよ!集中してよね!」

「大丈夫だよ~可愛い彼女が隣の席で授業を受けているのに授業に集中しないなんてこと致しません」

「ほんとかなぁ~まっ!考えてくれるのは嬉しいけどね!」

ふと、公園の時計を見ると8:20になろうとしていた。

「まずい!遅刻するかもしれない、ちょっと急ぐぞ」

「ふふっこれも青春だね」

たしかに大人になった時に思い出すのはこうゆう一瞬なのかもしれないと思いつつ少し急ぎ足で学校に向かった。

校門に着いたとたん学校のチャイムが鳴り始めた。

校門で待機していた生徒指導の先生に怒られてしまったが、嫌な気分には不思議なことにならなかった。

それは楓も同じだったのか

「今日の放課後楽しみだね」

そう言い残して彼女は先に教室に戻っていった。

「さぁて、放課後のデートプランでも考えますか。」

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転校生が初恋の相手だった 浅木蒼依 @asaki_aoi

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