第6話 彼女と妹

楓さんと妹が、僕を色々な服屋へと連れまわす。ショッピングモールの利点を生まれて初めて享受したかもしれない。

「楓さん。決まりました?私はもう決まりましたよ!」

30分経ったところで結衣は僕に似合う服というのが決まったらしい。その隣では楓さんが「こっちも捨てがたいな」といいつつかなり迷っている様子だった。

「どれも良くてまだ迷ってるの。次のお店に行ってみてもいいかしら?」

「そうですね。まだ映画まで時間があるようなので、次のお店に行っちゃいましょう!」

「にしても結衣は元気だなぁ」

「妹ちゃんとこうやって買い物に来ることはあったの?」

「いや、結衣とこうやって買い物に来たことはないかな」

「じゃあ大好きなお兄ちゃんの服を選べてもしかしたら嬉しいのかもね。」

「そうかもな~」

「着いたし、妹ちゃんもびっくりするような服私選んじゃおっかな~」

そう言い新たなお店に入っていく。たまに「ちょっとこれ着てみて」といわれ試着したりしながらもついに二人とも満足のいく服が決まったらしい。

ちなみに会計は僕がすることになった。妹曰く「カワイイ女の子に選んでもらってるんだからお金くらいは出してね」ということらしい。

「じゃあ、映画の時間ももうすぐだし先見てからにしますか。」

映画館のある階に行き、事前に取っておいたチケットを二人に渡し、館内に入っていった。

「いや~よかった!ネットで話題になってたから少し期待してたんだけど、それ以上だたね」

「私はあまり映画を見ないんだけどこれは面白かったわ」

「実は冒頭に出てきた烏が主人公の恋人だったんて...」

「いやそんな描写なかったわ!」

と三人で映画の感想を言いながら再びショッピングモールを散策する。途中ゲーセンによってクレーンゲームなどをしているうちに外はもうすぐ日が沈みそうだったので僕たちは帰路につくことにした。

「今日はありがとう聡君、とっても楽しかったよ。次一緒にお出かけするときはその服着てきてほしいな。」

「こちらこそ急に誘ったのに来てくれてありがとう。次一緒に行くときは絶対着てくね!」

映画を見終えた後ファッションショーをしたいと結衣が言いだしたが、そもそも着替えるところがない。と却下になり家に帰ったら着るということで納得してくれた。

そして、楓さんとも無事に別れ、僕らも自宅へと帰った。

このときは気づいていなかった。いや、忘れていたという方が正しいかもしれない。この生活にも終わりの時が来るということを。

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