シャーデンフロイデ

@nainatu-movie

悵恨

腹がさけるほどの痛み、今まで感じたことのなものだ

そんな感覚に襲われ意識が戻る

呼吸が上手く出来ず、体を丸め込み必死に痛みに耐える

ただひたすらに痛いと言う感覚が感情が身体中を蝕むのみ

突然に目を指で捕まれたような感覚に襲われ体を無理やり起こされる

体を丸め込もうとしたが目を引っ張られそれが不可能だ

やっと理解したのは紫のマフラーに白いダボダボの服が目立つ子供のような童顔の子が立っていたことだけだ

「あ~僕の名前は祝福を司る神シャーデンフロイデ

よろしくオスの人間

そこで幸せになって」

パッチという指をならしたような音が耳を刺激する

銀色の尖ったものが近づいてくる

命の危機を感じたのか、汗が身体中から出て心臓が一瞬軽くなる感覚に襲われがそれもつかの間顔に槍が飛んでくる

そして激痛と共に意識を失った


「あああああああ」

体を勢いよ良く起こす

息が上手く吸えず、心臓が強く鳴り

全身が汗だくだ

お腹と顔を抑る

しばらくし呼吸を深く吸えるようになり汗が引く

周囲を見渡す白いアパートや三角屋根の一軒家

その裏手である

周囲にはゴミが散らばっているがは俺が知っているものでは無かった

足を確認し立ち上がると地面から冷たさを感じた

近づき恐る恐る拾い上げてみると

プラスチックのようなスマホのような固さの板上のものだ

いやスマホだ

そこには白髪の髪を携えた美少年がスマホに反射し写っていた。これ俺か

ボタンを押すと動いたのか光出し使えるものだ

それ以外にも多くのスマホが落ちていた、まぁ1つあればいいので他は無視した

とりあえず観光だな

一本道を進むと異様な光景を目の当たりにした

それはスーツを着用し一定の速度で歩いている人

だがそんなものは何の疑問にはなく死んだ魚のような目に視界に入る限り全員がパンやおにぎりを持ち食していた

珍しいな

そんなことを思いながら流れに飛び込み逆流する

だがかなり流れが強くまるで川の氾濫だ

人と人の隙間を上手く抜け一歩ずつ進む

ついに出ることが出来た

周囲を見渡すと色々な店が並び車道が境界線のように伸びていた

だがそこにも首をかしげるなぜならスマホ店やテレビのような電子機器ばかりだったしかも安価だ

腹がすいたので食品店を探し数分歩きついに飯屋を見つけワクワクしながら商品を見る

「え、たっっか!、なんだよこれ」

周囲に聞こえるほどの声を漏らしたせいか店主が出てくる

ほうれい線がくっきりとしていて、頬が垂れ下がっている年配の女性が出てくる

「そりゃあそうよ

食事なんて贅沢なもの」

「何言ってんだ?

まぁいいやどっか安いとこない?

今持ち金500円しかなくて」

「インターネット?で買えるよ」

「まじかよ」

しかたなくスマホを開きブラウザを開くがネットが繋がっていなかった

「外じゃ繋がらないよ、会社に行かなきゃ

外でするならそれ用を買わなきゃ」

「はぁ」とため息をつき頭を下げ立ち去る

しばらく歩いていると路地から少し大きめの足音が響くそれも音と音の間隔が狭い

「なんだ?」

「うおおおお」

暗がりの路地から人が飛び出す俺に直撃しガードレールにぶつかる

「う!」

頭を押さえてたお陰で何とか無事だ

だが手はズキズキと痛みが残っていた

突っ込んできた男は俺の服をつかみ目から水を流しながら「な、なぁ頼む

動画を見してくれ!」

なんだこいついきなり人にタックルかました次は服を濡らしてきやがった

しまいにはスマホだ

「はぁ?」

「た、頼む三日も見てないんだ死んじゃう」

中毒者かよ、しかも汚い服だな黒Tの白いズボンかよ

「引っ張んな服破けるだろ」

そんなことを言っても無駄らしくただただ引っ張り続けていた

「お、おいは、はなせ」

「ス、スマ、スマホ!

よこせ、よこせ、よこせ、よこせ、よこせ」

そして太った男は膝をつき涙を流しながら懇願する

「頼む頼む頼む頼む死んでしまう」

治療をしようと思ったら禁断症状が出て今これか?

タックルされて、服を濡らされ、服を引っ張られる、俺が一体何をしたんだ、

罪人でもない俺にこんな、むしろ被害者だ。

「離れろ、キモいんだよ

病院にいけ」

相手の腹を蹴り何とか距離を置く

「おい!」

俺が通ってきた方向からどなり声が聞こえ体がビックと動いた

「なんだよ」

「彼に動画を見してやったらどうなんだ?」

低い声が鼓膜を刺激した

「はぁ?」

中毒もわからん変人が来たのか

振り向くと男がチェック柄の服に

眼鏡を書け少し茶色が混ざった白いズボンをピッシリと着こなしていた、いかにも意識高い系だ

「なぜその男に動画を見してやらない?」

「依存してんだから、我慢した方が良いだろ」

「何を言ってるんだ、君何日見てない?」

そう言いながらメガネの男は太った男に近づく

「み、三日!」

「なんだと、とりあえずこれ良かったら」

メガネの男は腹の大きい男に近づき長方形の薄い板を取り出し渡す

恐らくスマホを渡してしまった

そんなもの渡したら

腹の大きな男はスマホを受け取ると電源をつけ

「おおおおお」

やっぱりなと思いながら叫んでいる男を見る

画面に顔を押し透けスマホに飲み込まれているようだ

さらにはヨダレを滴し床に寝そべり息を荒くし「あああああああああああああ」

とまた叫ぶ

やっぱスマホ中毒者にそんなもん渡すからこうなる

横目で眼鏡の男を見ると頭がおかしいんだ

眼鏡の男は広角を上げ歯をみせ笑っていた

「良かったな」

数分異様な光景を見ていると、太った男はスマホを2つ割る

「は?」

自分でも押さえられなかったのかそんな声がでる

こいつまじか

眼鏡の男は急に態度を変え怒鳴り声で

「君...」

そう言いかけた瞬間俺は後ろを振り返りその場から逃走する頭がおかし男の説教など聞きたくもない

「どこに行く!」

「じゃあ~な」

獣に追われてるかの如くその場を去る

そして数分走しったか息が切れるがなぜかそこには清々しさがあった、笑みがこぼれる。

運動ってのは良いもんだ

ふと横を見ると恐らくは本屋だ

面白いものがあるといいなと思い中に入る

中を見ると本棚には大量の本がある当たり前だが、

俺はそんな空間にいて我慢できるはずもなく本を手に取る

「なるほど」

何分経ったのかいつの間にか本に気を取られていた

真っ白な壁に掛かっている時計を見ると18時と表示されかなり読んでしまったな

戻ろうかと出入口方向に体を回転させると

黒い淵の眼鏡をかけ首の中部まで伸びた緑の髪を携え紺色の前掛けの下に白い色の服に黒いズボンと恐らくはここの店員だろう

更になんだか見覚えがだがそれより謝罪だ

「すみません」

店員は何も言わず黙っていた

なんだ違ったのか?謝罪はいらないのか?

「えっとすみません、本なんて久しぶりで」

「そうなんですか、本お好きなんですね」

「は、はい」

え、なんでさっきの無視されたの?

「良かった、最近は食べ物という贅沢品がでて

本を読まなくなりましたから」

あ、やっぱさっきの無視か

ん、今なんて

「え?」

俺の耳がおかしいのか、いや確かに食べ物を贅沢品?と言っていた

急にあの童顔の子の声が頭に響く

「この世界から出たいなら間違い探しをしろ」

そんなことを聞くが特に何も浮かばない

しかし頭の中に一つの考えが浮かんだ

餓死だ、スマホが安くても食品が高いのなら腹を満たすことが出来ないのだ

でも店員さんに全て聞くのもありだがそんなことしてもつまらない

そうだ

「えっと店員さんって何時までバイト?」

「え?」

「え?」

「あっと少しで終わりますけど」

「では待ってます」

「え?ありがとうございます?」

何か不思議なことがあったのか?

なぜか首をかしげていた

まぁいい待つかそして再び本を手に取る


肩を叩かれた感触、音を感じ振り向くと先程の店員さんが立っていた。

前掛けはなく代わりに黄色のパーカーを着こなしている

「終わった?」

「はい、終わりました」

「なんで敬語?」

「初対面ですし」

「え?確かにでも本好きだし

もう友達みたいなもんでしょ」

「陽キャですか!」

「え?」

「あ、いえなんでも無いです」

「そっか、行こ」

「どこにですか?」

「遊びに行くに決まってるじゃん」

「え、まぁはい」

なぜかこの店員さんはずっと目を細め何かを疑っていた

「そういえば、名前は?

ああ、俺は米田 否嘘(いなふく)

否定の否に嘘ね」

「そう、ですか

私は...布井 憐です。」

「よろしく憐」

「は、はい」


本屋を出るだがデパートに行こうと思ったが場所がわからない

「デパートってどこ?」

「じゃあ、、着いてきてください」

なぜ彼女はさっきから敵意があるのか

まぁ分からないことを考えても無意味だし

そんなことを考えながら後ろに続く


「よしついた、デパート」

「と言うかなぜデパートに?」

こことは違う世界から来たといっても恐らく信じないだろうし「やっぱ遊びって言ったらデパートでしょ」

「そう言うものでしょうか?」

「うん」

さすがに無理があったのか彼女は首を傾げている

まぁファンタジーな話よりはまだましだ

だがデパートは色々な物が売っているため何かヒントになるはずだ

そう思いデパートの自動ドアを潜り抜る

恐らく全体は長方形だろうか、壁や床は白く

床には六角形のタイルに天井は一面青い空が広がっていた。恐らく3、4階まである

店は至るところに存在していた

「地図とかない?」

「それでしたらそちらに」

指を支えれた方に進むとこのデパートの全体図が写し出されているモニターが床と平行に一台

やはり長方形でしかもかなり広い、テーマパークよりは狭いが。

店を見るにだいたいは電子機器だ。

服屋が3店、家具の店が2、食品関係が4

やはり少ないな。

そしてここまで見てきてわかったが会社や公園

電子機器店ぐらいしかなかく、たまに食品関連のみだったことから一つの答えにたどりついた

まだ憶測だが候補としては挙げられるな

「そうだな、服屋とか家具とか見たいな」

「珍しいですね、趣味でやってるんですか?」

やはりか「ああ、そうだ」

店を色々周り楽しい時間過ごした


すっかり空はオレンジ色に変わり、それに見とれながらデパート外を歩く

「楽しかった」

「そうですね、本以外にも結構面白い物ってあるんですね」

憐は少し前に出て俺の方を見ながら満面の笑みでそういった

「あたりまえだろ」

警戒しなくなったのか憐の表情が柔らかくなった気がする。

この世界にずっといたい

突然憐の手を掴み俺の方に寄せる

「え?」

その直後目の前にかなりの速度で薄緑の車が横切る

「あぶね、大丈夫?」

「ありがとうございます」

にしても危なかった進んでいたら引かれていた

だがなぜわかったのか車が出てくると

前は違った、いや引かれたことなどないはず


30分くらい歩いたか?

何十人という声が耳に響く音源の先を目でとらえると

ドーム型の白い門に建物が並んでいた

好奇心か何かに吸い寄せられ歩みよった

「ちょ、そっちは」

憐が何かを言っていたが上手く聞き取れず

そして俺は目に入ってきた光景に驚愕した

「は...」

余りの酷さに声が出てしまう

目の前には男女関係なく人が倒れていた

中には血を流し呻き声をあげるもの

そして倒れている人を踏みつけている人が黙視できた

第六感か何かが逃げろと告げる

後ろに一歩下がるが壁に当たったのかこれ以上下がれず

振り返ると憐がいた

「すみに置けませんね」

「え?」

視界の端に何かが飛んでくる

側頭を強く押される、倒れる

骨がヅキヅキと痛み当然のことで頭が追い付かない、なぜこんなことを

俺の視点からは憐から飛んできたものだ

「な、なんで」

「両思いだったんですね

だからあの時私をナンパしたんですね」

いきなりのことで頭がおいつかないのか言っていることが理解出来ないのか、いやその両方だ

「う!」

腹に足が飛んできた更には腹を押され呻き声が出る

苦しく息ができない

「どうです」

「な、に、がどうですか、だよ!」

声を捻りだし足の側面に向かって拳をふる

「い!」

足が横にずれ解放される立ち上がり相手の頭めがけて自信の頭を打ち付ける

「がぁ」

相手は後ろに下がりその隙に入ったところに向かって走る


息が切れるほど走った、彼女はもういない

スマホを確認すると19時と表示されている

壁に横たわりさっきのことを考える

なるほど

取り敢えず早く元の場所に戻りたい

腹が鳴る、当たり前だ一日中何も食べてないのだ

もう動きたくない、ダルい寝たいと言う邪念が生まれる

だが何かを俺を突き動かし戻らなきゃいけないんだ

とそう決心させた

重りでも背負ってるかのように立ち上がり次座ったりしたらもう二度と立てないそんな事を思いながら一歩前

歩き続けた


ビルがならび立つ場所に大勢の人が密集していた

スマホを確認し23時と表示されていた

長時間あるき続けた疲労と眠気が襲ってくる

だがそんなもの俺の前には無力だ

そしてスマホを上に向けている人々が視界に入ってきた

何かに取り憑かれたように

そしてみな「いいね、いいね」と口ずさむ

スマホを見ていると恐らくsnsで写真や動画を投稿していた

そんな異様な光景を見ていたら視界に一瞬落下物が映る

何が落ちたのか気になり時でも止まっているかのような人の群れに入る

石のような固さの人々をかき分けやっとの思いで落下物の前に立つ

最悪だ、俺は後悔した

心臓が早くなり息がうまくできない

床の模様に剃るように流れる赤い液体

落下物周辺は赤い液体で床が隠れている

そして数秒もしないうちに私はそれを理解する

それとは人だ、血だ

倒れた人は紫色の髪を携え赤く染められていた

更におかしなことに誰もそれに見抜きもせずただスマホを上に向けている

「な、なぁあんた救急車を」

「...」

俺の声が聞こえてないのか何も反応しなかった

「誰か...」

霞んだ声が耳を刺激した

音がした方向は血を流している人の方からだ

急いで倒れている人に歩みより「だ、大丈夫ですか?」

「た、助け...」

まだ生きていたようだが長くはないはずだ急いで何とかしなくては

「大丈夫絶対...」

言葉を口にしたとたん喉が詰まったのか声が出せなくなる

無理なことを口に出すものじゃないと心の奥底で呟かれた

俺は一体なに言ってるんだ、でも確かにそうだ無理だ

突然頭がフラフラしてきた、気を失いそうだ、なぜ

ただ頭の中には助けてと言う言葉が響く


意識が戻る

静寂に包まれ目の前には人が倒れている

また先ほどとは違い一ミリたりとも動きはしなかった

ま、まさか死んで!

更に心臓の鼓動が強くなる体から汗が流る

まて、まだ決まったわけじゃ

「あの男が女を殺した」

そんな声が響く。

周囲を見渡すが声の主は誰だかわからない

だが空に突き刺さるように立つビルについているモニターに映像が写っていた

それは俺だ

人が近づきてくる

それも女性だ複数人も

そして次の瞬間目の前に拳が飛んできた

反応はできたものの防げず、鼻に直撃する

「う!」

血が垂れた鼻を抑え、

痛った、何しやがるが声が出ず心の中に止まってしまう

視線を上げた瞬間頭に何かが当たり床に顔が激突する

頭がずきずきと痛むが気絶するほどじゃない

一気に立ち上がり、拳を精一杯ふる

だが視界が揺れており、拳は空を切った

側頭部に鉄ほどの固い物にぶつかったほどの痛みが走る

床に倒れ意識が遠退き頭がズキズキと痛む感覚を感じながら目蓋を閉じた


目を開ける当たりは明るく人はいない

四方八方から鈍器で殴られたあとのように痛む

激痛が走る頭を動かし何とか状況を把握する

腕や足からは血が流る

そして

「...」

しゃべることも出来ない、起き上がれない

このまま死ぬんだと痛感した

次の瞬間頭の中に声が響く聞き覚えのあるものだ

「うわ~ボロボロだね」

本屋の店員の声だ、いや段々と声が代わり子供のような声になる

ここの世界につれていきたあの少年だ

「そろそろ答え聞いてもいい?

正解すれば元の世界で生きれるでも間違えれば

死だよ」

これで運命が決まる

痛みに耐えながら頭に浮かんだことを口ずさむ

「正解

良かったね、これで僕が幸せになる」

見えていた世界が白くなり体が暖まり痛みが消える

背筋が凍る、それを理解し声に出す

「ま、待って!」

「あはははは

落ちろ!」


視界の端に映る私の紫の髪

空から降る冷たい水に徐々に体温が奪われる

上手く呼吸が出来ない苦しい

目線を横に写し緑色の髪を携えた友達が血を流しながら冷たいコンクリート上で倒れていた

雀の涙ほどの力を使い近寄ろうとしたが腕だけでは無理だったない足を使おうとするが当然無理だ

それでも、もがき血が出ても進もうとする

口に水が入ろうと気にせずもがく力が抜ける

「助けて...」一言呟くが私の声など雨の音にかき消される、もう力が入らないのか体が動くのをやめた

そして間に合うはずのないサイレントが身体中に響く

目蓋を閉じた











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