魔法学院に通うセトアには、ある秘密があった。
とある組織に所属し、『学院の地下には古代遺跡が眠っている』という噂の真偽を確かめるという任務を帯びている秘密が。
こんな風に書くと学院で暗躍するスパイものみたいに思われるかもしれませんが、本作にあるのはそういう種類の緊張感よりも、仲間たちと一緒に噂の真実と様々な謎を知っていくという冒険感、ワクワク感です。
遺跡に関することを調べたかったセトアは、同じく遺跡に興味のある、古代魔法研究同好会のアリーア、クノティアと仲良くなり、まずは古代の歴史に関する知識と見物を広めるため、三人で近くにある別の遺跡へと出かけます。
そこでの発見と出会いによって、三人は思いもよらない真実を知っていくことになるのですが、歴史の裏に隠された秘密が徐々に紐解かれていく時の三人の驚きと興奮が、読者の感情ととてもリンクしていて、とても共感しました。
本作には、激しいバトルがあるわけでも、チートスキルで無双するわけでもありません。ですが歴史というロマンと、それを追っていく興奮、そしてそれを一緒に体験していく仲間たちがいます。
彼女たちと一緒に異世界の歴史の魅力にとりつかれてみてはどうでしょう。
異世界ファンタジーと言うと、最近は転生ものやチート能力ものが主流。
転生もスキルもないハイファンタジー作品は、少なくなってきました。
しかしこのお話はちがいます。これはエンダリアと言う大陸に住む学生達が、魔法や古代文明の秘密を解き明かしていくお話です。
かつては魔物が人々の生活を脅かしていましたが、そんな魔物がいなくなって魔法は日常生活で使う便利な技術となった現代。主人公セドア魔法学園には、ある噂がありました。
この学園の地下には、古代遺跡が眠っている、と。
ある理由で古代遺跡に興味があったセドアは、仲良くなった2人の女子、アリーアとクノティアの所属する古代魔法研究同好会へと入り、3人で噂の真相を探っていく。
そしてその過程で歴史の裏に隠された古代文明の真実、世界に秘密に触れていく。
悪の秘密結社や強力な魔物と戦うわけではなく、自分達のやり方で遺跡を調べて謎を解いていく。
学生同士仲良く、和気あいあいとした感じで謎に迫る様子は、読んでいてとても楽しめました。
仲良し3人組の、異世界を舞台とした歴史発見ミステリー。
ハイファンタジーが好きな方は、是非読んでみてください。