第35話 さよなら

 「どか~ん!! 「「ボカボカボカ!! 「「いて~!! 

「「バギバギ!! 「「ボン、ボン、ボン、 「「ボカボカボカ!!

  「「どか~ん!! 「「ボカボカボカ!! 「「いて~!! 

「「いて~!! 「「ぎゃ~!! 「「どか~ん!! 「「ボカボカ!! 


 俺が殴った賊が宙を舞う。

 今度はちゃんと手加減したぞ!!

 たぶん…。


 後を振り向くと父親は目を見開き、口を開けている。

 まあ、そうだろうね。

 ただそれが族に襲われたことなのか、俺に驚いているのかはわからないけど。


 俺の役目は終わった。

 さあ、帰ろう。


 俺は被膜を広げ風に身を任せる。

 ダニエラが待つ、屋敷に向う。


 コン、コン、コン、


 俺は窓ガラスを叩いた。

「まあ、レオ。どうだった?」

『心配してたとおり族に襲われたよ』

「え?!そんな。それでお父様は?」

『無事だよ、襲った賊は10人。全員倒したから後はお父さんに任せてきた』

「本当、ありがとうレオ。あなたは私だけでなくお父様の恩人でもあるのね」

『そんな大げさな…』



「おい、戻ったぞ!!」

「お父様の声だわ。お帰りなさいお父様!!」

 嬉しそうな声で出してダニエラは部屋を出て二階の階段を降りていく。


 しばらく話声がした後、ダニエラは戻ってきた。

「お父様から話は聞いたわ。あの後、憲兵を呼び賊を引き渡したそうよ。今日はもう遅いから、取り調べは明日のなるそうよ」

『そうなんだ。早く依頼主がわかるといいね』


「それとお父様がいってたけど、助けてくれたのは赤い中折れ帽とマントを着た何かだって。お前のいった通りだったと…」

『さすがに見られないわけにもいかないからね』

「今回は暗くて助けてくれた人が、見えなかったということにしたの」

『まあ、そうなるだろうね』

「今夜はもう遅いから寝ましょうか?」

『う、うん』

 モモンガの俺は夜行性だから別に夜更かしでも…。


 翌日、憲兵に呼び出されたダニエラの父親は、詰め所に向ったようだった。

 そして帰ってくるとダニエラに話したしたそうだ。

 今回のことは急激に大きくなっていくロメイ商会を、脅威に感じた貴族が手を回しことらしい。


 貴族のことなので、すぐには手がだせず追及するには時間が掛かるようだ。

 しかしもう狙われることもない。


 俺はダニエラにさよならを告げることにした。

「えっ?ここを出ていくの?」

『あぁ、そうだ』

「どうして?ここにいてくれればいいのに」

『俺は世界を見てみたいんだ。だからさよならだ』

「そう、ざんねんね。近くに来たらまた寄っててね」

『もちろんだよ』


 俺は窓を開けてもらい飛び立つ。

「さよならレオ」

 ダニエラはそういうと、窓から身を乗り出し何度も別れを告げた。


 屋敷の上空を大きく三回周り離れれる。

 さあ、これからどこにいこうか。


 俺は風を受け空高く舞い上がった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 応援頂いてありがとうございます。

 物語はここで、完結となります。


 応援して頂いた方、楽しみにして頂いた方、ありがとうございました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【完結】空飛ぶハンカチ!!-転生したらモモンガだった。赤い中折れ帽を被り、飛膜を広げ異世界を滑空する!- ジェルミ(Germi) @utamayu2014

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ