第34話 襲撃

はあ、はあ、はあ、

私の名はグレン。

ロメイ商会という店をやっている者だ。

幼少の頃から父に商売を学び街に出た。

そしてお客が望むなら遠くの街や、いいや国を渡ってほしいものを手に入れ届けた。

危険も多く命が危ないこともあったが、なんとかやってきた。

その功もあっていつのまにか政界にも精通し、上級貴族とも懇意になり信頼を得ることができ一代で財を築いた。

その間に妻が他界し一人娘が残った。

何度も再婚を勧められたが、娘が嫁ぐまではその気にはなれなかった。


男手一つで娘を育ててきたが、私がいうのもなんだが気立ての良い娘の育った。

だが、その娘も良い縁にも恵まれず20歳を過ぎてしまった。

婿養子を迎え店を継いでもらうという、私の理想が高いのだろうか。

話はあっても中々、上手く運ばない。



半面、周りからの反発は日に日に強くなっていった。

私は命がけでやってきたから、ここまでになれたのだ。

それを街にいるだけでなにも努力しない商人たちのくせに。


ある日のこと近くの公園を散歩中に、ダニエラが賊に襲われそうになった。

赤い中折れ帽とマントを着た、リスのような小動物が助けてくれたという。

気が動転していたのだろう。

きっと通り掛かった誰かが助けてくれたらしい。

しかもその人は何も言わずどこかに消え、顔も見せていないという。


捕らえた4人の暴漢は、手足や口の骨が折れて起き上がるのも話すのもやっとだ。

助けてくれた誰かもきっと必死だったのだろう。

そんな思いをして助けたのに見返りも求めず、自分の危険をかえりみない人がいるなんて。

世の中まだまだ捨てたもんじゃないと思った。


翌日の夕方、会合かいごうに出かける用事があった。

護衛はすぐには集まらなかった。

なんとか6人を雇うことができ出かけることになった。


ダニエラや侍女に止められたが、私がまとめ役をやっている以上は休むわけにはいかない。

昨日の今日で襲うわけはないと高をくくっていた。

それが間違いだった。


「えへへへ、どこにいくのかな?もう逃げられないぜ」

私は賊に囲まれていた。


その時だった。


〈〈〈〈〈 シューシュー、カチカチムササビ流星拳 〉〉〉〉〉


「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!

  「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!

   「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!


「わっ!な、なんだ?!」

「グェ~!!」

「あべし!!」

「いてぇ~!!」


するとどうだ?!

私を囲んでいた男たちが吹き飛ばされるように次々と倒れていく。

そして私の目の前には全長30cmくらいの、赤い中折れ帽とマントを着たなにかが浮かんでいた。


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