第8話 へなへなぺたり
「ただいま〜」
「あら、お帰り。いいのできた?」
猫の王子様の話を終えた後も傍から離れたがらない子供達の遊びや話に付き合い、日が暮れてからヘトヘトになって自宅に辿り着いた絵里。
エプロン姿で出迎えた母親の言葉に首を傾げる。
「いいのって?………………………………………あっ」
アップルパイの宣伝の事をすっかり忘れていた絵里は、玄関でへなへなぺたり、と座り込んだ。
「忘れちゃってた……あ、ははは……」
「あらら、図書館に何しに行ったんだか。ほらほら、手を洗ってうがいしてきなさい。ご飯、できるわよー」
「はーい……」
絵里は、そんなばかな……とガックリしながらも、図書館での出会いといっぱいの笑顔を思い出し、『ご飯食べて、頑張るぞ!』と気合いを入れ直したのだった。
●
数日後。
絵里は頑張って、納得のいくPOPを完成させた。
優しい王子様はこっそりとこちらでも、猫の手を貸してくれたようである。
更に、後日。
絵里が図書館に行った時に、「お話のおねえさん」「カツオのおねえちゃん」「猫のお姉さん」と呼ばれ、またしても子供達にもみくちゃにされながら話をせがまれる事を、絵里はまだ知らない。
【旧】とある日の絵里 ~カツ夫と海の仲間たち~ マクスウェルの仔猫 @majikaru1124
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