ダンジョンで出会った天使と最底辺探索者は空を見上げる。～モンスターカードを集めてハズレ才能カードコレクターは覚醒する～

第91話 レベル３５

　三十一層に通うようになって数日が経過した時、ついに僕達のレベルが３４から３５に上昇した。

　三十一層はものすごく人気がなくてモンスターを自由に狩れる強みがあり、僕のカードバーストで一掃できるし、メンバー達もそう苦労せずに戦っている。

　それも相まって着いた頃はレベルがまだ３１だったが、すぐに３５に上げることができた。

　――【レベルが３４から３５に上昇しました。】

　――【新しいスキル『カード合体』を獲得しました。】

「にぃ～！　レベル上がったよ～」

「ああ。僕も上がったよ」

「ふっふっ！　今回覚えたスキルも中々凄いかも～！　とくににぃならね～」

　いつも思うんだけど、六花って毎回獲得するスキルは本当に強い。さすがというべきか。

　今回のスキルもとても楽しみだ。

　何かを詠唱し始めた六花の周りにキラキラと光る粒子達が躍り始める。

「――――ブレッシング！」

　僕達の体に虹色の光の粒子が包み込まれて、体の内側から大きな力の気配を感じた。

「これはね――――運気（・・）を凄く上昇してくれる魔法なんだ」

「「「「運気？」」」」

　【運】という要素って……あったっけ？

「あらゆる事象に対して運がよくなるの。多分だけど、にぃのカードドロップ率とかも上がってるんじゃないかな？」

「あは、あははは…………六花？　冗談……だよね？」

「えへ～やってみよう～！」

　現在僕のドロップ率からハイゴブリン百体を巻き込んでカードバーストで一掃した時に落ちるカードは大体三枚くらいだ。

　多い時で五枚とか落ちたりするが、基本的なドロップ率はそれくらいだ。

　三十二層のハイゴブリンの群れに向かってカードバーストを繰り出す。

　一撃で殲滅できて、そこに大量の中型魔石と――――モンスターカードが複数枚ドロップした。

「えっと、いち～に～さん――――十二！」

「十……二？」

「十二！」

「ああああ！　ドロップ率が三倍になってるよおおおお！」

「やった～！」

　喜ぶメンバー達が魔石とモンスターカードを回収しに行ってくれる。

　僕はと言うと魂が抜けたかのように、その場に座り込んでこれからどうするべきか悩み続けた。

　うちの妹……チートすぎませんか？

　◆

　屋敷に帰ってきて、早速会議となった。

「はい！　今度はケントくんの新しいスキルの発表の場だよ～！」

「あはは……僕は六花みたいに凄くないかも？　あまり期待はしないでね？」

「ふふっ。そういうことにしておくね？　どんなスキルだったの？」

　メンバー全員が目をキラキラと光らせて見つめてくる。

「今回のスキルは――――カード合成というスキルだよ。合成といっても色々混ぜるとかではなくて、同じカードを五枚合体させることで、アップグレード品にすることができるだけだよ？」

「えっ……？　じゃあ、このカード五枚を合体させてみて！」

　そう言いながら前に出したハイゴブリンカード五枚を合体させてみる。

　全てカードホルダーの中に入れて、合体を実行してみる。

《『ハイゴブリンカード』５枚を『ハイゴブリン＋』１枚に進化させました。》

　アナウンスと共に、カードホルダー内に『ハイゴブリン＋』が現れた。

　それを取り出して凪に渡す。

「はい」

「ちょっと装着してみるね？」

　凪の手元から違うカードが現れて、ハイゴブリン＋カードが消えた。

「っ！？　す、すごい……これなら誰でもアップグレードしたモンスターカードを装備できる！？」

「あ……それならできるけど、五枚も使うからそんなによくないんじゃない？」

「ケントくん！？　六花ちゃんの魔法にまだ興奮してて気づかない？　このスキルのとんでもないことに」

「ん……？　そう……か？」

「だって、私達だけでなく、ミナちゃん達にも全員アップグレードカードを五枚ずつ装備させてあげることができるんだよ！？　しかも、ハイゴブリン＋カードって……力と器用さが３０ずつ上がるんだけど…………？」

「あ……あ……そう言われれば…………って！？　それってみんな１５０ずつ上げられるってこと！？」

「そういうことだよ！？」

「う、うわああああああ！」

　僕はその日、熱を出して寝込んでしまった。

　◆

　レベル３５になってから数日が経過した。

　これまで手に入れたハイゴブリンカードは全てアップグレード品に変えている。

　ミナちゃん達メンバー全員に装備できるように一人五枚ずつ作り渡した。

　ステータス力を１５０も上げられる利点は非常に多く、より楽に狩りができると全員喜んでくれたし、事実、ゴブリンカードや魔石を持ってきてくれる数もどんどん増えていった。

　さらに、もう一つ、とんでもない事実が発覚することになった。