25首の短歌連作の中に、25首分の言葉を遠く超えた世界が広がっているのが確実に感じられます。雪の様な儚さと静謐さのある言葉の中で、少年と少女の他愛無く、それでいて美しい出会いが目に浮かびます。その感じを是非読んで、体感して欲しいと思います。
短歌の連作で綴られるある冬のできごと。「冬」と聞いて思い浮かぶ、凍てつく寒さ、底知れぬ暗さ、そして、清浄な白さ。そんなものが巧みな言語感覚とストーリーテリングにより、瑞々しく、穏やかに描かれています。今は恐ろしい時間を震えながら過ごしていても、いずれ朝が来る、いずれが来る。そう考えると冬の素敵なところが見えてきて、じーんと冬の音が心から聞こえてきた。そんな素晴らしい気持ちになれる作品です、貴方も是非!