第14話『準合格』
「準合格?」
手紙を開いたメアリーは、1番初めに目に飛び込んできた言葉を口にした。
そんなメアリーの様子が気になり、黒猫がどこからともなくするりと現れて手紙を覗き込んむ。
「下に詳しく書いてるにゃ、読むにゃ読むにゃ」
「えっとなになに……」
手紙の内容を要約するとこうだった。
メアリーは試験の結果、合格ギリギリの点数を取ったため一般合格の新入生よりも早くに学校に通い、特別講習を受け課題をこなさなければならない。
「こ、これって……」
「ま、まあ、ほぼ合格みたいなものにゃし、気を落とさないようににゃ」
声を震わせるメアリーに、黒猫は珍しく気を使って言葉を選んだ。
黒猫が肩をポンッと優しく叩いてやろうと手を伸ばした、と同時にメアリーがぴょんっと飛び跳ね意気揚々に言葉を連ねた。
「私が学校に一番のりってこと!?やったー!!」
「ポジティブにゃのかバカにゃのか」
気を使ったにも関わらず、空振りに終わってしまった黒猫はいつものように呆れた口調でボヤいた。
「それにしても、いつから登校なのにゃ?」
「えっとね、花下の、二十夜?あ!明日ね!」
「忙しいですな」
「前にもこんなことがあったようにゃ……」
つい八日前のことを思い出して呟く黒猫を、梟が笑い飛ばす。
そんな2匹をメアリーは気にせずに、鼻歌を歌いながら服や杖などをチェックしている。
「今日は早く寝なくっちゃ」
「それなら外の看板を裏返しておかないとにゃ、夜に起こされるにゃよ」
「そうね、忘れてた」
扉を開き、外側に掛けられている『悩み事はおまかせ』の看板を『休憩中』に裏返した。
「おやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
「おやすみにゃー」
そしてメアリーは、膨らませた明日への期待を抱きながら眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます