第28話 ナイーダの想い
どうして、どうしてこんな風になってしまったんだろう。
いつから、いつから彼に普通に接することができなくなってしまったのだろうか。
明らかにここ最近は以前よりもお互いがお互いを良き相棒同士としていい雰囲気を保っているはずなのに。
なぜ、自分だけがこんなに意識してしまうのだろうか。
アルバートが笑った。
ただそれだけなのに。
彼が自分に笑いかけたことはほとんどなかった。
ずっとリリアーナの側について彼のそれを見てきたではないか。
今さらこんな気持ちになるなんて、絶対変だ。胸の痛みにまた泣きそうになる。
『君は、彼を意識しているんだよ』
以前言われた、エリオスの言葉が頭をよぎる。そんなことあるはずない、そう思いたい。
「あ、あの方が変なこと言うからだ」
そうだ。あの日からだ。
自分がおかしくなったのは。
そう自分に言い聞かせるようにナイーダは自身の頬を力いっぱい両手で打った。
「目を覚ませ、ナイーダ。そんなことは絶対にないんだ」
絶対にない。
あの騒がしい貴婦人方のようにアルバートに心を動かされているはずがない。
そもそもこんな気持ち初めてだった。
だからこそナイーダは気のせいだということにした。
(でも……)
それでもあの時、リリアーナに嫉妬した。
あの時の気持ちだけは否定することができなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます