第六話 自分の気持ち

昨日、私、満月彩は推しである一樹くんに会えた!ヒャッホーーイ!いやぁ握手会出会うのと違って、突然会うはインパクトが違いすぎて、心臓止まりかけた。浄化によって歩けなくなったが。

送ってもらった宇野にお礼が学校で何を言っても

「めんどくさい」

以外返ってこない。そして何やら落ち込んでいる様子。ライブで足の手当てをしてもらった件もあるし、これはお礼&元気になってもらわねば!

「てことでどうしよう!マリちゃん!」

「何が?」

学校終わり、ファストフード店でポテトを食べながらマリに相談していた。

「だから!お礼!どうしよう!」

「普通でいいんじゃない?」

「普通が分かんないだって!!!!!」

「うるさ」

「普通って何よ!百文字いないで答えなさいよ!それが出来ないならそんなものは存在し無い!」

「世論と私」

「あったよ!」

完全に論破された。普通があった。

「私に聞くより本人に聞く方が早くない?」

「聞いたよめんどくさい以外言われなかった…」

「あ〜ね」

「だから、どうしよう…」

「あ、本は?」

「確かに…アイツって何か好きな本ないかな?」

「うーんオールジャンル見てそうだからなー宇野くん」

「うーん本詳しくないから分かんない」

分かんなくて頭が真っ白になる。

「彩、頭動いてる?」

「全く…」

呆れた様子のマリ。

「はぁ、プレゼントとかだと、そうだなぁ…私リサーチのど日常に使えるじゃないと駄目。無難なのはキーケースとか良いボールペンとかかな?あ、でも匂い系はNG。消耗品だし、好みが分かれすぎる。好きな香りピンポイントなのを選ぶのは博打よ」

「おぉ!流石!マリ先生!」

「物を上げる時にメッセージカードなんかあると良いよ!」

「おぉ!」

「ま、全部付き合ってない奴から貰っても重いけどね」

「うおぉ…」

話の全てが折れた。

「やっぱり本人に聞くのがありだよ」

「女子女子だもんなー男子に聞いた方がいいよなー」

「男友達は?」

「宇野しかいない…」

「はい行ってこーい」

「うわーん!」

マリに完全に乗せられている…言う遊ばれている気しかしない。

「にゃっとで聞けばいいじゃん?なんの為のにゃっとよ」

「既読無視…」

「あーね」

「どうしよぉ」

項垂れると、「焦ったい…」満面の笑みでマリが手を差し出して来た。

「携帯貸して。にゃっと開いて」

「え?」

言われるままに携帯を貸すと、マリはニャットの通話機能のボタンを押した。

「は!ちょっと!マリ!」出る前に携帯を奪い返そうとしたが避けられ、プッツと音が鳴った。

「え?」

『もしもし』

(なんで出るのー!)

「あ、もしもし?宇野くん?」

『琴乃?これ満月のじゃ…』

「うん、彩のだよ。彩が宇野くんに聞きたいことがあるんだって」

『俺に?』

「うん」

マリは私に携帯を突き出し、通話画面が目の前にくる。私は恐る恐る携帯を受け取り、耳に当てる。

「も、もしもし」

『満月、聞きたいことってなんだ?』

「あ、えっと…」

日本語ってなんだっけ?

『言い淀むなんてらしくないな。深刻なことなのか?』

いつもの鋭い声に心配の色が見える。

「や!違う!あの、えっと、昼も言ったけど、宇野にお礼をしたいの!」

『それは、別に…』

「いや!私的にいやだ!絶対に!」

『…はぁ、じゃあ…そうだな…満月、お前が好きな本を一冊くれ』

「え?それでいいの?」

『それでって…お前はお礼がしたいんだろ?だったら俺は新しい本が欲しい』

「あ…うん。じゃあ、私のとっておきのヤツあげる!」

『嗚呼』

ブチ。短い返事の後すぐに電話が切れた。私はワナワナしながらマリを見てマリは音の出ない拍手をしていつもの笑顔だった。

「おめでとー」

「私頑張った?私頑張った⁈」

「うんうん頑張った頑張った」

「やったー」

机を挟んでマリと手を繋いぐ。優しい笑みのマリの腕を大きく振って

「やった〜直接聞いた方が良かった〜さすがマリ大先生〜!ありがとぉ〜!」

「私は何もして無いよー…腕もげる…」

「私、早速買いに行ってくる〜!」

「行動早いね」

少しぼろっとしたマリはよろよろと手を振って送ってくれた。

「思い立ったらすぐ行動じゃないと!」

「そっかー」

私は鞄を持ってファストフード店をでる。ドアで青い雰囲気の少女とすれ違った気がする。まぁ、知らない人か。

(ふふ、宇野のヤツにとびっきり面白い本を渡してやるぜ!これ以上無いくらいの笑顔にしてやるぜ!見てろー!ニシシ!)

近くの本屋について、ジャンルの看板を見ていたら後ろの人にぶつかってた。

「うお!すみません!」

「大丈夫で…ってあれ?君って…」

優しくて甘い声に心臓が潰されたような感覚になる。叫びそうになる口を抑えてゆっくり距離を取る。嬉しさと興奮で手が震えて足が震える。

「な、なんで此処に!」

一樹くん!

収録終わったて情報出してなかった⁈

マスクをしてエムエーワンをている一樹くんはワイルドでカッコいい。

「なんでって…寄り道?ていうか君って零夜に送ってもらった子だよね?」

「あ、あんまし近づかないで下さい!化粧いま落ちてるんで!」

「そう?可愛いと思うけど…」

一歩近づかれて私は壁まで後ずさる。頭の上に本が二、三冊落ちてきたが痛みに気が回らない。

「そこ関係無いです!可愛く無いです!ブスですぅ!あ…あっまんまし近づかないでぇ心臓破裂するぅ!」

「しないよ」

「いや!する!一樹くんは自分にオーラを自覚した方がいい!」

「そ、そこまで言われるとちょっと照れるなぁ」

とあどけない無防備な笑顔を見せる一樹くんに胸打たれながらも、打たれた胸が止まらない。

(こう言う時ってどうすればいい?プライベートを邪魔しない方がいいよな?)

「そ、そう言うことのなのでじゃぁぁ」

ゆっくり壁伝いに歩き出そうとすると、一樹くんが私の腕を掴んで動きを止める。

「ちょっと待ってよ」

「は、はい!なんですか!」

柔らかく、甘い笑顔で一樹くんは微笑み

「怖いことはしないから、そこし落ち着いてくれないかな?お店だし、ナンパしてると思われただけでも困るんだよ」

「あ、すみません」

私は一度深呼吸をして一樹くんに向き合えないので横を向いたまま謝る。

「なんで横なの?」

「顔見ると喜びで叫ぶので」

「なるほど?」

「そ、それで、ど、どう、いう?」

「どう言うって?」

「いや、その、ファンとアイドルが喋るのってあんまし良く無いんじゃ無いかなーって。ましてや、ファン思いの一樹くんです。こんな危険な橋を渡るのはしないんじゃ無いかなーって」

私は視線を泳がせる。目の前には私が宇野に上げたいと思っている一巻完結の長編小説があった。一樹くんの意外そうな嬉しそうな企んだような声。

「おー、さすが俺デビュー当初からのファン。俺のことよくわかってんなー」

「…」

(なんだろ、この緊張感…)

「じゃあこれはどうだ?今いるのは宇野一樹。アイドルでもなんでもない」

低い。宇野よりも低い一樹くんの声。なんだろう、怖い。体が別の意味で震えてきた。推しなのに。体が石になったみたいに動かない。

「な、なんでですか?」

「あ?」

「私になんの様ですか?」

「うーん。面白そうだから?弟にちょっかいがてら、本性出したらどんな顔すんのかなーって………あはは、怯えてんね」

一樹くんの雰囲気が無防備な優しい雰囲気から不良のような怖い人たちに変わった。宇野のあの冷たい雰囲気なんて比べ物にならない。怖い。

「ちょっかいって…」

反抗として嫌味みたく言ったけど意味はなさそうだ。

「いやさぁ、もし弟をとうした俺のストーカーとかだったか困るじゃん?と思って」

「ス、ストーカー?私が?」

どう言うこと?

「そのものじゃなくても、俺目当てだったら困るなぁて思う訳よ俺としては」

「は、話が見えません。私は」

困惑と恐怖でこんがらがる頭を必死に動かして、言葉を捻り出す。

そんな必死の気遣いも今のこの状況で、意味は消える。

「そうじゃなくても、弟経由されんのが癪なんだよねって話。わかる?」

迷惑そうに言う一樹くん。ズキリと、胸の奥に痛みが走る。

嗚呼、この感じあれだ。彼氏にふあれた時だ。

そう思うと

すごく、イラつく。

「私はそんなつもりは…」

か弱い自分の声に私はすごく驚いた。でも、それが一樹くんには苛立ちに繋がった。

一樹くんは苛立った口調で

「てか近くの俺のファンがいるだけで結構迷惑なんだよ…色々めんどくさいから」

「…」

「わかってくれるでしょ?俺のファンならさ」

「…」

「あんまし弟に近づかないでくれる?」

なんでこんなこと言われなくちゃいけないんだろ。私に大好きな人から疑われて、なりたいって思った友達、諦めなきゃいけないんだろう。

ムカつく。

私の体は自然と宇野に渡すつもりの本に手が伸びた。そしてそれをしっかり自分の胸に押し付けて。

一樹くんの胸ぐらを掴んだ。

「うるさい。私も宇野も、友達は自分で決めます。私は宇野と友達になりたいと思った。だから何度も絡んでます。それに、一樹くんは関係ない」

そうだ。宇野は教室でも一人で本を読んでいた。それが綺麗だった。それは彼の孤独からきた綺麗さだったんだろう。高潔で孤島で氷壁で覆われた彼をクラスも学校中の生徒もそう思うだろう。でも、実の両親を「あの人達」と呼んでいた。その宇野を、私は許したく無い。ライブの時の宇野はどこか寂しそうで、つらそうだった。そうだ。迷惑だとしても、一人で辛そうな奴を放って置けないだけ。私のエゴだが、勝手だが、だからどうした。

「…」

「わがままですけど、私は宇野を一人にしたく無いです。私が後悔したくないで」

私はきっと人生で一番睨みるけていると思う。

推しを。宇野一樹を。

できれば最初で最後でお願いしたい。そいてもう言える言葉が無い。

一樹くんが口を開いた時、私の首根っこを強い力で思い切り引っ張られる。

「グェ」

カエルが轢かれた様な声が出て、後ろに引っ張られる。転びそうになって誰かと入れ替わる形で後ろに下がる。

「何してんだ。一樹」

冷たい声。低くて、怖くて、でも今の私には一番頼もしくて一番聞きたかった声。息が切れた背中を見上げると宇野がいた。

一樹くんをものすごく睨んでいる。私と話しかけた時とは比にならないくらいだ。

例えるならウサギとライオンくらい、確実な差と違いがある。引くくらい怖い。

「ふ」

一樹くんは鼻で笑った。

「ちゃんと仲良いじゃん」

「樹に関係無い。帰れ」

息が荒い、地の底より低くて十トンの鉛より重々しい声。一瞬人間かどうかうだがったぐらいだ。

「関係はあるだろ?弟の友達って事で「あいさつ」ぐらいは必要だろ?」

「さっきの雰囲気が挨拶とは、ましてやファンに向けるものとは思えないぞ」

「…」

「一樹、お前は知らないだろうが、満月は本当にお前のこと好きなんだ。俺で遊ぶ為に満月のお前への信頼裏切るな」

(オタク心に優しい…珍しいっ!)

一樹くんは驚いた顔をして私を一瞬見て優しく微笑んだ。アイドルの時とは違う優しい笑み。

「なんでも無いって言ってたのに?」

「じゃー今撤回する。こいつは俺の友達だ。なんもすんな一樹」

「うん。わかった」

「「は?」」

あっけなく答えた一樹君にわた私も宇野も声が出た。

「満月ちゃん、ひどいこと言ってごめんね?」

甘い声で、両手を女の子のようにちょこんと合わせ片目を閉じて可愛く謝られた。

「へ!べ、別に…」

「許してくれる?」

幼女といってもいい様な可愛さでおねだりされる。こんな可愛いの見せられたら許す他無い…そう不可抗力だ。

「はい…許しましゅ…」

隣の宇野が冷たい白い目がこちらを向く。

「お前…」

ギクリ。絶対に私を心配してくれた宇野に申し訳ない気もする。

「そ、そもそもそんなに怒ってないから!イラッとしたし、殴りたいと思ったし、蹴りあげようじゃと思ったけどそんなに怒ってないよ!」

「すごい怒ってるね」

一樹君が少し引いている。

「実際言ってることは事実だし…」

と俯いた時、人差し指で額を小突かれる。優しく温かい人懐こい笑顔で

「下向かない。さっきの威勢はどこに行ったのさ」

「う、あれは…ノリで…」

「それでも、さっきのはすごいカッコよかった。そういうのこの馬鹿に教えてあげてよ」

と一樹君は宇野に肩を組み頭をガシガシと撫でる。男同士に兄弟はこんな感じなんだなーと感心してたら、一瞬一樹君と目があって宇野の背中を思いっきり叩く。

「じゃーね、僕、帰るよ」

と一樹君はすぐに踵を返して去っていってしまった。

(なんだったんだ?)

「はぁ」

安心してため息をついた瞬間、体の力が抜けて座り込んでしまった。

「おい!」

「あ、腰抜けた」

「おい…」

宇野がため息混じりに私を立たせる。

「大丈夫!立ては出来るから!」

「まず腰を抜かすな…」

「えへん!」

「褒めてない」

ジト目で私を見てくる宇野にさっきの自分お言葉を思い出してなんだ照れ臭い。

(あれ?もしかして…さっきの言葉聞かれてた?)

そう思った瞬間顔が一気に熱くなって宇野の顔が見ていられなくなった。

「あ」

自分の胸にずっと抱えていた小説に気づいた。

「宇野!これ、私がお勧めする小説!買ってくるからもらって!」

「え?いや、それ新…」

「会計行ってきます!」

宇野が何か言おうとしたのを気がずそのままレジに走った。

お金を出しながら深呼吸して、店員さんから本が入った袋をもらう。さっきいたところに戻ると誰もおらず、本屋を出たすぐ横にスマホをいじっていた。

「もー動かないでよ!」

スマホから顔をあげ、冷たい鋭い視線が私を貫く。

怖いな。もう慣れたけど。

宇野と私は歩き始めて夕暮れの街並みを過ぎながら私は宇野に本が入った袋を渡す。

「はい」

「ありがとう。中古でよかったんだぞ?わざわざ新刊買わないで」

と。取らない一言をわざわざ付け足した。

「うっさい!今言うな!」

私はポカポカ宇野の腹あたりを殴る。

「お前が聞かなかったんだろうが」

あ、なんか言おうとしてましたね…

「くっ…事実すぎてはらたつ」

「なんでだよ」

と宇野はため息をつき、上げた本を鞄に入れて真剣な声で言う。

「お前、一樹と何話してたんだ?」

「………」

「変なこと吹き込まれて無いだろうな」

ギクリ。

いや、吹き込まれてはいない。それより不味いというか…喧嘩をしたというか…なんのとか言われたら私、恥ずかしくて死ぬが!いや、ここは正直に…っ!

「け、喧嘩してました」

「なんの?」

「………、う、宇野の友達になるかならないか問題…」

「…。は?」

「いやね!違うんだよ!誤解だ!」

「何がだよ。なんのだよ」

「その…うぅ、白状すると、宇野のことずっと綺麗だと思ってた。一人で凛としてて、鼻筋通ってるし顔いいし?でも性格はだいぶ嫌いだった。嫌な事でもズバズバ言うし周りのこと考えないし、絶対に関わりたく無いって思ってたし、見てたいって思ってた。話しかけると冷たいし…」

私はポツリポツリと顔を隠して話し始める。宇野はそれたただ黙って聞いていた。

「でもライブでたまたま会った時、会ったことに対して嫌な気持ちになったけど、足手当てしてくれたの嬉しかった。本当に」

「…」

宇野の足は止まらない。

「でも、家族の話になった途端宇野が私には泣いてる様に見えた」

宇野の足が止まって、私の方を向く。宇野は目を大きく見開いて驚いた顔をしていた。

「泣いてないにのに泣いてるみたいな…その姿が私はすごく…綺麗だなって思った」

「…」

宇野の鞄を握る手に力が入る。

「でも、私はそれと同じくらいすごく腹が立った。だから、これは…私のエゴだし、勝手だけど…宇野に、一人でいてほしく無いって思った。迷惑だったらごめん…でも!話しかけまくるし絡みまくるから!」

ふん!と胸をはって私は言う。宇野は怖い顔で近づいてきて私は生唾を飲む。怒られる…!今にも殴りかかりそうな勢いに私は思わず目を固くつむってきっと来るであろう何かしらの攻撃を待つ。でもいつまで経っても攻撃は来ず目を小さく開けると、仁王立ちで経っている宇野がいた。

「俺もお前がものすごく嫌いだった」

「ゔっ」

覚悟はしていたが、直で言われるとキツイ!

「いつもうるさいし、一樹一樹いつもうるさいと思ってた。今でも正直思ってる。うるせぇ」

「はい。すみません」

ガチ説教…

「俺は元から一人が好きだ。しゃべって欲しく無いから本で話しかけられない様にまでしてたまである」

「そんなに?」

「でも、お前に話しかけられて嬉しかった…ウザかったけど」

「最後の一言いる?」

「いる。そのウザくて迷惑なところがお前のいい所だろ?」

「褒めてる?」

宇野は嬉しそうに笑って

「もちろん。だって、迷惑なくらいお人好しだったからこうやって話せてるんだろ?」

初めて笑ったのを見た。

歯を見せて嬉しそうに笑う宇野は可愛らしくて、いつもの冷徹という言葉が似合う宇野は面影すら残っていない。

ただのやんちゃで可愛いとことの子がいた。

「たし…かに…」

(コイツ…笑うとこんなに可愛いのか…)

尚更、もっと笑った顔が見たいと思ってしまうのは、私の欲なのか…

あるいはイケメン好きのサガか…

「だろ?逆によくアレだけガン無視して話しかけるよな。尊敬する」

私は肩のワイシャツを鷲掴みして、大きく揺らす。

「人ごとにするなーーーぁあああ!」

ぐわんぐわん揺らして私の号哭の限り喚く。

「挨拶返せや!頷けや!未読無視すんなや!宇野からも話しかけて!」

「欲が多い」

「女子だもん!」

と、よくわからない会話が終わって、また歩き始める。

宇野の背中を見て、どこか胸が高鳴っているのは…きっと、宇野がイケメンでびっくりしているだけだ。


ーーー


次の日の朝。いつも通り学校へ行くと、宇野がいた。私はいつも通り話しかける。

「おっはよーーー!」

いつも通り無視されるかと思って席につくと小さく低い声で

「おはよ」

と聞こえた。

宇野をみるとどこか気恥ずかしそうにしていて、本かこちらに視線がくることはない。その姿に、後ろの快晴の空がより青く見えて世界が華やいで見えた。

「ふふ、おはよ!宇野」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゆるふわ推しの『冷たい令嬢』弟を愛します!! 華創使梨 @Kuro1230

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ